【ネタバレ/感想/考察】韓国映画『EXIT』の鑑定【少女時代のユナもアクションに挑戦!】

パニック
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Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『EXIT』です。

突如として街中を覆いつくした毒ガスから逃れるために、高層ビルから高層ビルへ、文字通り縦横無尽に駆け巡る主人公2人のサバイバル劇を描くパニック・アクション映画です。

息をつかせる暇を与えないアクションの連続、時折笑いを誘うコメディ、現代韓国社会を反映したストーリー展開が魅力になってます。

ヒロインに少女時代のユナが出演したことで、日本でもちょっとした話題になっていました。

そんな『EXIT』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

ユナが可愛すぎて集中できない!?

■韓国映画『EXIT』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

【公式】『EXIT』11.22(金)公開/本予告

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■あらすじ

大学では山岳部のエースであったヨンナム(チョ・ジョンソク)だが、卒業後に就職活動に失敗し、実家で家事に勤しんだりのんびり過ごす毎日を送っていた。ある日、母のヒョンオク(コ・ドゥシム)の古希祝いが開かれることになり、親族一同でとあるビルの宴会場に集まっていた。未だに就職ができていない実態を周囲に知られることが億劫になっていたヨンナムは、宴会の最中、大学の山岳部の後輩であり、宴会場の副支配人を務めるウィジュ(イム・ユナ)に再会する。それと同時に、宴会場にいた人々はビルの外が騒がしくなっていることに気付くのだが・・・。

 

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■原題:엑시트/EXIT

■発掘国/制作年:韓国(2019)

■上映時間:104分

■キャッチコピー:命綱無しの緊急脱出!

上昇してくる有毒ガス、

出口は超高速ビルの屋上のみ!

■監督:イ・サングン

■主要キャスト

ヨンナム:チョ・ジョンソク

ウィジュ:イム・ユナ(少女時代)

ヒョンオク:コ・ドゥシム

チャンス:パク・インファン

ジョンヒョン:キム・ジヨン

ク店長:カン・ギヨン

 

■『EXIT』のネタバレ感想と考察

①大胆な発想が痛快、都会のサバイバル・パニック

②『アンチャーテッド』からの影響を感じるスリリングアクションの連続

③等身大のヒーロー

④救いの鍵を握るのは韓国の現代社会?

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:大胆な発想が痛快、都会のサバイバル・パニック

韓国のパニックジャンルものは何故こうも面白いのか。

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本作で脅威となり迫りくるのは致死率100%の有毒ガス。それに対して舞台は開けた韓国の街中と、パニック劇を盛り上げるにはアイテムとステージの相性が悪いようにに感じる。しかし舞台を閉鎖された空間に限定せずとも、ガスが都市部を覆いつくすという大胆な発想、じわじわと下から舞い上がってくるガスの特性、更に高い別の建物への避難を余儀なくさせ、緊張感のあるアクションを継続させる説得力の強さ! 開放的なステージと閉鎖的な状況をうまいこと共存させた設定によって、アクションとスリルを見応えのあるものに仕上げているのと同時に、より規模の大きいパニックの状況を生み出すことに成功しているのが大変素晴らしい。これがガスじゃなくて「水」であったなら流石に無理のある設定だったろうし、舞台を1棟のビル内に絞っていれば、物語の見栄えも展開も地味なものになっていたんだろうな。

一応ガスの出所として、「とある化学会社に恨みを持つ科学者が、報復として自身が生成した有毒ガスを都市のど真ん中でぶちまける」という設定はあるんだけど、ここら辺は基本的に軽く流されており、パニックの根源を突き止めることなどにはほとんどフォーカスが向かずに話が進んでいく。本作において、なぜ都市部にガスが蔓延しているのかという背景、あんなに小さいタンクから都市全体を埋め尽くすほどのガスが出るわけがねーだろという現実的な説明はあまり重要ではないということなのだ。

Jing-Fu
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2人の脱出劇にのみピントを合わせ、分かりやすくスリルを楽しむことができる作品です。

ネタバレ②:『アンチャーテッド』からの影響を感じるスリリングアクションの連続

道なき道を進んでいくスリルとロマン!

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主人公のヨンナムとウィジュは、大学時代の山岳部で培ったボルダリングスキルを活かし、下から迫りくるガスから逃れるためにボルダリングよろしく高層ビル群の側面をわっしわっしと登っていくわけだが、そこには当然通路やハシゴといった都合の良い道なんてものは存在しない。いかにしてガスに触れずに落ちずに高いところを目指いていくのか、常に飛んで登って走る「パルクール×ボルダリング」が本作におけるアクションの魅力だ。夜の摩天楼を舞台に、コンクリートの屋根とか連結路を足場に見立てて走り抜け、壁のなんでもない凹凸や装飾に指を立てて道なき道を進んでいく様子は、視覚的にもギミックが効いていて楽しく、男心を思わずくすぐるようなトキメキすらも感じさせてくれるのがたまらん。

割と序盤に用意されている、親族一同を助けるためにヨンナムが一人でビルの屋上を目指すシーンが一番怖い。下手に音楽を挿入するわけでもなく無音を貫き、下でてんやわんやする親族の騒ぎ声と風が空を切る心細い音が、一歩間違えれば即死である状況のスリルを高めていて、演出力も光っているのがミソ。命綱を外さざるを得なくなったり、支えにしていた装飾が壊れたりと、緊張の糸を常に張り詰めさせる演出によって、観ていて相当しんどいというか、観ているだけでこちら側もカロリーを消費させられる軽い運動並みの没入感。観るプロテインだ笑

Jing-Fu
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細い屋根の上でバランスを崩しながら走る2人が、手を繋ぎながら互いのバランスを支えあって駆け抜けるという、主人公2人という設定をしっかりと活かしたアクションが何気なく用意されていたことも好印象ですネ。

 

また、本作のボルダリングアクションを観ていて真っ先に頭に思い浮かんだのが、テレビゲームの『アンチャーテッド』『アンチャーテッド』はPS3時代から続いている現代版『インディ・ジョーンズ』のようなアクションゲームで、管理人も大好きなゲームの1つです。『アンチャーテッド』では、主人公らが何でもない壁や崖の掴める部分を辿って登っていくアクションが特色の一つになっていて、本作におけるボルダリングアクションの見せ方はまさにそれだった。多かれ少なかれ、本作の制作陣が『アンチャーテッド』のアクションにインスパイアされていることは、確証はないけど間違いないんじゃないだろうか。

Jing-Fu
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現在ハリウッドでは、『スパイダーマン』シリーズでおなじみのトム・ホランドによる『アンチャーテッド』の実写化企画が進行中ですので、本作で描かれた巧みなクライミングアクションを、ぜひ逆輸入して魅せてもらいたいものですね〜。

 

考察①:等身大のヒーロー

ユナが可愛すぎてツラい!

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主人公のヨンナムは、大学卒業後に就職活動に失敗している、いわゆるニートの状態。毎日公園で山岳部時代の名残であるトレーニングをこなしたり、実家で家事を手伝ったり、ベッドの上でスマホをいじったりと、決してハリのある生活とは言えない様子。母の古希祝い(韓国で70歳を祝うイベント)では、親戚に挨拶をする度に「その内上手くいくさ」とばかり言われ、自分の不甲斐なさと周囲の上辺だけの気遣いにうんざりしている様子を見せている。つまり、ヨンナムの社会的立場ははっきり言って弱い。彼は決して絶世のハンサムでもなく、性格は短気で、「なんで俺ばかりこんな目に!」と駄々っ子のように喚き散らすような光景もしばしば。ヨンナムには大学時代にウィジュに告白をしてフラれているという過去があり、職なしニートの身分がばれないように嘘をついてかっこつける有様は、情けなくも微笑ましいもの。そんな人としてのマイナスの側面が目立つところにリアリティがあって良かった。

同ジャンルの主人公には、元々軍人だったり消防士だったという設定をよく見かけるが、ヨンナムには過去にボルダリングで全国大会1位を取ったことのある輝かしい歴史や、今もボルダリングで食べているなどという肩書は一切設けられていない。ガスの浸食によって窮地に立たされた愛する人たちを救うために、ヨンナムはあくまで「自分ができること」として山岳部のスキルを発揮していくのだ。人間誰しもが持ち合わせている何らかの長所を活かして自身と他の人を救うという、まさに等身大のヒーロー像。どこにでもいそうな平凡な人間が自らを奮い立たせるその姿には、他作品よりも深い感情移入をすることができます。

エンディングソングも「自分なりのヒーロー」についてを歌っている歌だったし、本作のハイライトをまるでマーベルなどのアメコミタッチで描いているエンドロールからも、ヒーローの定義に違いはあれど、監督がヒーローという概念を意識していたことが分かる。本作での「ヒーローの定義」は、『キック・アス』のそれと近いかな。

Jing-Fu
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このアメコミ風エンドロールを最後までしっかり観ると、2人が最後にどうやって助かったかが分かります!

 

ヨンナムを演じているチョ・ジョンソクは本作で初めて観たんだけど、韓国では出演するすべての作品がヒットするといわれているくらいのトップスターだそう!個人的には「髪の毛の生えたあばれる君」が第一印象でした笑 大学卒業後という設定にも関わらず実年齢は30代後半と、年齢を感じさせない若々しさと体を張りすぎたアクションに感心しきりでしたね〜。

一方の、少女時代のメンバーであるユナが演じているヒロインのウィジュ。ミーハーも虜にするK-POPのアイドル、とにかく可愛いの一言に尽きる。ボルダリング経験者という役柄にはちょっと無理があるような、蹴っ飛ばしたら折れてしまうんではないだろうかというくらい細い脚と華奢な体つきながらも、劇中のハードアクションを見事にこなしていることに好感が持てた。ウィジュは宴会場での副支配人を任されていることもあり、ヨンナムよりも強い芯を持って冷静な判断をすることができるキャラクター。しかしそんな彼女でも、自分たちだけが乗れなかったヘリを見つめながら必死に泣くのを堪えているという弱い側面(泣き顔をヨンナムに見せないようにしている)もあり、そして希望が絶たれた時には膝から崩れて泣き出してしまう。周囲から頼りにされていてしっかりしているはずの人間の脆い側面を見せるところがいかにも現実的。

Jing-Fu
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顔をくしゃくしゃにして泣くユナの姿が、これまた可憐すぎて目の保養になるよ( ^ω^ )

 

苦労の末に自分たちがヘリに発見されて歓喜するも、横のビル内に取り残された大勢の学生らにヘリを譲るシーン。人間は自分が一番かわいいと思う生き物だけど、そんな自己欲求と目の前の子供たちを見捨てられないという良心が拮抗して「助かりたいけど彼らをほっとけるわけないじゃんか~(涙)」と2人が無言で泣き出し、結局はヘリを子供たちに譲るシーンも、これまた人間らしさが如実に表れているんじゃないかな。

Jing-Fu
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決して映画の中の飾られた人物像ではないことが、前述している通り観客のより深い感情移入を促しているのかもしれませんね。

考察②:救いの鍵を握るのは韓国の現代社会?

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物語の終盤、これ以上逃げることができないと2人が諦めかけたその時、目の前に現れたのは1台のドローン。ぽかーんとする2人の前に、さらにたくさんのドローンが集まってくる。なんだこの、『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』で銀河中の宇宙船が集結するみたいな頼もしい画は!

ここからの流れが非常に興味深い。ドローンの映像をあるニュース番組が独占で流す →ライブ配信サイトで配信者による映像の拡散→ みんなが注目する →2人を助けるために他の人たちもボランティアでドローンを飛ばす・・・というテンポの良い一連の流れを観ていて印象的だったのが、ずばり韓国内におけるインターネット並びに最新テクノロジーの普及率。韓国内ではeスポーツ文化(TVゲームやPCゲームを競技としてプレイする)が非常に盛んであることは、日本のニュースやバラエティ番組でも時々取り上げられていて有名な話だ。劇中ではそれを象徴するかの如く、ネットカフェの内部に何列もずらりと並べられたテレビモニターで大勢の人間がゲームをプレイしている様子も描かれているけど、その規模は明らかに日本よりも大きい。ゲームを映したモニターが次第にビルの屋上を駆ける2人の映像に変わっていき、人々の注目に熱が帯びていくんだけど、スマホや家庭にあるテレビ画面ではなく、ネットカフェのテレビやニコ生のような配信映像を通して2人の姿を認識するという様子は、裏を返せばネット文化をたしなむ人口の多さを語っていることになる。

また、前述したドローンも本作においては欠かせない存在となっていて、2人の映像を配信することはもちろん、2人に迫りくるガスを拡散させたり、対岸にロープを運ぶという重要な役割を担っている。韓国内ではドローン文化にも力を入れているらしく、日本と比べてもその人気ぶりと浸透率の高さが伺えた。

Jing-Fu
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物語の後半は特に、これらインターネットと最新テクノロジーの活躍が顕著に描かれていて、自国らしさをモチーフにしたいかにも韓国映画らしいストーリー展開が面白くて強みになっています。

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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手に汗握るアクションの連続とスリリングなストーリー展開を、韓国映画らしいキレの良いコメディで味付けした秀逸なパニック作品です!

鑑定結果:エメラルド映画(☆8)

 

■映画『EXIT』はどんな人におすすめ?

 

・面白い韓国映画を探している人

・パニックアクションが好きな人

・少女時代のユナを観て目の保養にしたい人

 

■最後に

韓国映画を代表するゾンビサバイバルアクションはこちら☆

『新感染 ファイナルエクスプレス』

 

ヒネリの効いた韓国アクションスリラー映画はこちら☆

『THE WITCH 魔女』

 

眼福な女子たちが微笑ましい、韓国産のPOVホラー映画はこちら☆

『コンジアム』

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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