一部ネタバレ/感想:『EXIT』の鑑定結果【少女時代と共にボルダリングでガスから逃げろ!】

スリラー

引用:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

Jing-Fu
Jing-Fu

みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは韓国映画の『EXIT』です。

昨年の11月に全国公開された作品ですが、5/2にブルーレイとDVDが発売、そしてレンタルが開始されました。

管理人はリアルタイムで映画館に足を運びましたが、この度手元にブルーレイが届いたので、改めて鑑定をしていきます。

■作品情報

・基本情報

引用:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

■原題:엑시트(英題 EXIT)

■発掘国/制作年:韓国(2019)

■キャッチコピー

命綱無しの緊急脱出! 上昇してくる有毒ガス、出口は超高層ビルの屋上のみ!

 

・監督、キャスト

■監督:イ・サングン

 

■主要キャスト

ヨンナム:チョ・ジョンソク

ウィジュ:イム・ユナ(少女時代)

ヒョンオク:コ・ドゥシム

チャンス:パク・インファン

ジョンヒョン:キム・ジヨン

ク店長:カン・ギヨン

・あらすじ

大学では山岳部のエースであったヨンナム(チョ・ジョンソク)だが、卒業後に就職活動に失敗し、実家で家事に勤しんだりのんびり過ごす毎日を送っていた。

ある日、母のヒョンオク(コ・ドゥシム)の古希祝いが開かれることになり、親族一同でとあるビルの宴会場に集まっていた。

未だに就職ができていない実態を周囲に知られることが億劫になっていたヨンナムは、宴会の最中、大学の山岳部の後輩であったウィジュ(イム・ユナ)に再会する。

彼女はこの宴会場の副支配人を勤めていたのだ。

それと同時に、宴会場にいた人々はビルの外が騒がしくなっていることに気が付く。

外に出た一同は、謎の毒ガスが街を覆い始め、街中がパニックになっている様子を目の当たりにする。

その毒ガスはヨンナムたちのもとにも迫りつつあった・・・。

■ざくっと感想

Jing-Fu
Jing-Fu

本作の鑑定結果は、、、

ダイヤモンド映画(☆7)!!

人気K-POP「少女時代」のユナが出演したことで日本でもちょっと話題になった本作。

「EXIT」というそれっぽいタイトルと「少女時代」と聞けば、誰もが「K-POPの新曲か?」と思い浮かべるかもしれませんね。

しかし本作は、突如として街中を覆いつくした毒ガスから逃れるために、高層ビルから高層ビルへ、文字通り縦横無尽に駆け巡る主人公2人のサバイバル劇を描くパニック・アクション映画です。

ボルダリングで培ったスキルを頼りに、保証の効かないビルの側面を登って渡っていくそのスリリングな光景には常に緊張の糸が張り詰められており、観ているこちらまでカロリーの消費を感じます。

とは言いつつも、適材適所でコメディ演出が用意されており、疲れすぎず退屈しすぎずのバランス調整も心掛けられています。

コミカル演出はダラダラしているものでもなく非常にキレの良いシュールなものばかりで、笑いは必至。

誰しもが持ち合わせている「自分ができること」を駆使して状況を打破していく、等身大の主人公像も、同ジャンルの他作品にはあまり見られない要素です。

2人の助けを担うことになるツールが、今の韓国に浸透している現代社会を物語っていて興味深いものでした。

 

以下、ネタバレありの感想と考察になります。

作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!


 

 

 

 

 

 

 

 

■感想と考察

・大胆な発想のもとで繰り広げられるサバイバル劇

引用:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

迫りくるは致死率100%の毒ガス。

それに対して舞台は開けた韓国の街中と、パニック劇を盛り上げるには不向きなステージに感じます。

しかし舞台を閉鎖された空間に限定せずとも、ガスが都市部を覆いつくすという大胆な発想、じわじわと下から舞い上がってくるガスの特性、更に高い別の建物への避難を余儀なくさせる説得力。

開放的なステージと閉鎖的な状況をうまいこと共存させた設定により、アクションとスリルを見応えのあるものに仕上げているのと同時に、より規模の大きいパニックの状況を生み出すことに成功しています。

これがガスではなく「水」であったなら流石に無理のある設定でしょうし、舞台を逆に1棟のビル内に絞っていれば、物語の見栄えも展開も地味なものになっていたでしょう。

一応ガスの出所として、「とある化学会社に恨みを持つ科学者が、報復として自身が生成した有毒ガスを都市のど真ん中でぶちまける」という設定はあるのですが、ここら辺は基本的に軽く流されており、パニックの根源を突き止めることなどにはほとんどフォーカスがされていません。

本作において、なぜ都市部にガスが蔓延しているのかという「背景」はあまり重要ではないのです。

2人の脱出劇にのみピントを合わせ、分かりやすくスリルを楽しむことができる作品です。

・『アンチャーテッド』からの影響を感じるクライミングアクション

引用:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

冒頭にも記述しましたが、本作は観ているこちら側もカロリーを消費する作品です。

それくらい、本作の「登って飛んで走るアクション」は観ていて重たいものばかりです。

主人公のヨンナムとウィジュは、大学時代の山岳部で培ったボルダリングスキルを活かし、下から迫りくるガスから逃れるためにボルダリングよろしく高層ビル群の側面をわっしわっしと登っていくわけですが、そこには当然通路やハシゴといった都合の良い道なんてものはありません。

壁のなんでもない凹凸や装飾やオブジェに指を立て、利用できるものは何でも利用してとにかく高いところを目指すというのが本作におけるアクションの見所です。

まさに「サバイバル劇」という言葉がぴったりと当てはまる

割と序盤に用意されている、親族一同を助けるためにヨンナムが一人でビルの屋上を目指すシーンが一番怖い。

下手に音楽を挿入するわけでもなく、下でてんやわんやする親族の騒ぎ声と風が空を切る心細い音が、一歩間違えれば即死である状況のスリルを高めています。

命綱を外さざるを得なくなったり、支えにしていた装飾が壊れたりと、緊張の糸を常に張り詰めさせる演出によって、この時点で既に観ていて相当しんどい(誉め言葉ですよ)。

また、本作のボルダリングアクションを観ていてすぐに頭に浮かんだのが、『アンチャーテッド』というTVゲームでした。

『アンチャーテッド』はPS3時代から続いている現代版『インディ・ジョーンズ』のようなアクションゲームでして、管理人も大好きなゲームの1つです。

『アンチャーテッド』では、主人公らが何でもない壁や崖の掴める部分を辿って登っていくアクションが特徴になっているのですが、本作におけるクライミングアクションの見せ方はまさにそれだったのです。

多かれ少なかれ、制作陣が『アンチャーテッド』のアクションにインスパイアされていることは、確証はありませんが間違いないと思います。

『アンチャーテッド』をプレイしている人であればより楽しめるシーンになっているでしょう。

現在ハリウッドでは、『スパイダーマン』シリーズでおなじみのトム・ホランドによる『アンチャーテッド』の実写化企画が進行中ですので、本作で描かれた巧みなクライミングアクションを、ぜひ逆輸入して魅せてもらいたいものです。

 

話が脱線しましたね(汗

ボルダリングアクションももちろんですが、主人公2人はガスから逃れるために飛んだり走ったりを休むことなく続けることを強いられます。

ガスが眼下に迫る中、次から次へとビルを渡り歩いていくテンポの良さとは裏腹に、劇中の2人も相当疲れているはずなのですが、観ているこちら側の全身にも力が入ってしまうような没入感は、軽い運動並みのものです。

細い屋根の上でバランスを崩しながら走る2人が、手をつなぎながら互いのバランスを支えあって駆け抜けるという、主人公2人という設定をしっかりと活かしたアクションが何気なく用意されていたことも好印象です。

・等身大のヒーロー

引用:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

 

主人公のヨンナムは、大学卒業後に就職活動に失敗している、いわゆるニートの状態。

毎日公園で山岳部時代の名残であるトレーニングをこなしたり、実家で家事を手伝ったり、ベッドの上でスマホをいじったりと、決してハリのある生活とは言えません。

母の古希祝い(韓国で70歳を祝うイベント)では、親戚に挨拶をする度に「その内上手くいくさ」とばかり言われ、自分の不甲斐なさと周囲の上辺だけの気遣いにうんざりしている様子を見せます。

上記のようにヨンナムの社会的立場ははっきり言って弱いです。

彼は決して絶世のハンサムでもありませんし、性格は短気で、「なんで俺ばかりこんな目に!」と駄々っ子のように喚き散らすようなこともあります。

ヨンナムには大学時代にウィジュに告白をしてフラれているという過去があり、職なしニートの身分がばれないように嘘をついてかっこつける有様は、情けなくも微笑ましいものです。

そんな人としてのマイナスの側面が目立つところにリアリティがあって良かったです。

同ジャンルの主人公には、元々軍人だったり消防士だったという設定をよく見かけますが、ヨンナムには過去にボルダリングで全国大会1位を取ったことのある輝かしい歴史や、今もボルダリングで食べているなどという肩書は一切設けられていません。

ガスの浸食によって窮地に立たされた親族を救うために、ヨンナムはあくまで「自分ができること」として山岳部のスキルを発揮していくのです。

人間誰しもが持ち合わせている何らかの長所を活かして自身と他の人を救うという、まさに等身大のヒーロー像。

どこにでもいそうな平凡な人間が自らを奮い立たせるその姿には、他作品よりも深い感情移入をすることができます。

エンディングソングも「自分なりのヒーロー」についてを歌っている歌ですし、本作のハイライトをまるでマーベルなどのアメコミタッチで描いているエンドロールからも、ヒーローの定義に違いはあれど、監督がヒーローという概念を意識していたことが分かります(このアメコミ風エンドロールを最後までしっかり観ると、2人がどうやって助かったかが分かります)。

本作での「ヒーローの定義」は、『キック・アス』のそれと近いです。

ヨンナムを演じているチョ・ジョンソクは本作で初めて見ましたが、韓国では出演するすべての作品がヒットするといわれているくらいのトップスターだそうです。

個人的には「髪の毛の生えたあばれる君」が第一印象でした。

大学卒業後という設定にも関わらず実年齢は30代後半と、年齢を感じさせない若々しさと体を張りすぎたアクションに感心しきりでしたね。

 

一方のウィジュも魅力的なキャラクターでした。

少女時代のメンバーであるユナが演じていることもあり、とにかく可愛いの一言に尽きます。

蹴っ飛ばしたら折れてしまうんではないだろうかというくらい細い脚と華奢な体つきながら、劇中のハードアクションを見事にこなしていることに好感が持てます。

ウィジュは宴会場での副支配人を任されていることもあり、ヨンナムよりも強い芯を持って冷静な判断をすることができます。

しかしそんな彼女でも、自分たちだけが乗れなかったヘリを見つめながら必死に泣くのを堪えているという弱い側面(泣き顔をヨンナムに見せないようにしている)もあり、そして希望が絶たれた時には膝から崩れて泣いてしまうんですね。

周囲から頼りにされていてしっかりしているはずの人間の脆い側面を見せることにより、他作品にはない現実味を感じ取ることもできます。

顔をくしゃくしゃにして泣くユナの姿が、これまた可愛いんですよね~。

 

苦労の末に自分たちがヘリに発見されて歓喜するも、横のビル内に取り残された大勢の学生らにヘリを譲るシーン。

人間は自分が一番かわいいと思う生き物ですが、そんな自己欲求と目の前の子供たちを見捨てられないという良心が拮抗して「助かりたいけど彼らをほっとけるわけないじゃんか~(涙)」と2人が無言で泣き出し、結局はヘリを子供たちに譲るシーンも人間らしい葛藤具合ですよね。

決して映画の中の飾られた人物像ではないことが、前述している通り観客のより深い感情移入を促し、彼らが劇中でスタミナを削ればそれと同等にこちらも疲れる理由なのかもしれません。

・救いの鍵を握るのは韓国の現代社会?

物語の終盤、これ以上逃げることができないと2人が諦めかけたその時、目の前に現れたのは1台のドローンでした。

ぽかーんとする2人の前に、さらにたくさんのドローンが集まってきます。

それはまるで『アベンジャーズ エンドゲーム』で全ヒーローが集結したり、『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』で銀河中の宇宙船が集結するかの如く、希望が生まれる瞬間が描かれます。

 

・ガスが蔓延して封鎖された都市をドローンで撮影しようとしていた男2人↓

・先に都市を脱出していたヨンナムの父親のチャンスの頼みで、ドローンでヨンナムを探す↓

・ドローンの映像をあるニュース番組が独占で流す↓

・ライブ配信サイトで配信者による映像の拡散↓

・2人を助けるために何人かがボランティアでドローンを飛ばす

というテンポの良い一連の流れを観ていて印象的だったのが、ずばり韓国内におけるインターネット並びに最新テクノロジーの普及率です。

韓国内ではeスポーツ文化(TVゲームやPCゲームを競技としてプレイする)が非常に盛んであることは、日本のニュースやバラエティ番組でも時々取り上げられています。

劇中ではそれを象徴するかの如く、ネットカフェの内部に何列もずらりと並べられたテレビモニターで大勢の人間がゲームをプレイしている様子が映りますが、その規模は明らかに日本とは異なります。

ゲームを映したモニターが次第にビルの屋上を駆ける2人の映像に変わっていき、人々の注目に熱が帯びていくのですが、スマホや家庭にあるテレビ画面ではなく、ネットカフェのテレビやニコ生のような配信映像を通して2人の姿を認識するという様子は、裏を返せばネット文化をたしなむ人口の多さを表現しているのです。

また、前述したドローンも本作においては欠かせない存在となっており、2人の映像を配信することはもちろん、2人に迫りくるガスを拡散させたり、対岸にロープを運ぶという重要な役割を担います。

韓国内ではドローン文化にも力を入れているらしく、日本と比べてもその普及率と浸透率の高さが伺えます。

物語の後半は特に、これらインターネットと最新テクノロジーの活躍が目立っており、韓国の現代社会が垣間見えるストーリー展開は非常に興味深いものでした。

人によってはご都合主義とも見て取れる奇怪な成り行きかもしれませんが、自国にしかできない、自国の文化をアピールしてストーリーに活かすアイデアを、個人的には新鮮な気持ちで楽しむことができました!

■日本がらみ

・劇中でヨンナムとウィジュが、ビル側面に掛けられた巨大な蟹のオブジェにしがみつくシーンがあります。「韓国にも かに道楽あるんだー」とか思っていましたけど、特に関係ないみたいですね。

 

■鑑定結果

 

Jing-Fu
Jing-Fu

手に汗握る緊迫したスリリングなアクションとキレの良いギャグ。

緩急の効いた韓国発の痛快エンターテインメント作品でした。

 

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)

 

となります!!

 

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

よろしければシェアをしていただけると幸いです!↓↓

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