【ネタバレ/感想】映画『ザ・レイド』の鑑定【ラストは? シラットアクションは?】

アクション
(C)MMXI PT.MERANTAU FILMS

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『ザ・レイド』です。

香港のカンフー映画、タイのムエタイ映画に続く、インドネシアの格闘技であるシラットがテーマのアクション映画です。

物珍しくエネルギッシュ、そしてバイオレンスな格闘アクションに世界中が湧き、主演のイコ・ウワイス、共演のジョー・タスリムヤヤン・ルヒアンたちの鮮烈ブレイクに繋がりました!

そんな『ザ・レイド』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

シラットの動きを活かす特殊な立ち回りが印象的!

 

■『ダウンレンジ』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

映画『ザ・レイド』予告編

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■あらすじ

インドネシアの裏社会で強大な権力を誇るリヤディ(レイ・サヘタピー)。彼の犯罪組織は街の郊外にある一等の高層ビルを根城にしており、その中は麻薬の売人やギャングたちの巣窟となっていた。警察も中々手が出せない中、ジャカ隊長(ジョー・タスリム)率いるジャカルタ警察のSWATチームがビルの中に突入する。新米SWAT隊員のラマ(イコ・ウワイス)らの活躍もあって順番にフロアを制圧していく隊SWATであったが・・・

 

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■原題:The Raid -Redemption-

■発掘国/制作年:インドネシア(2011)

■上映時間:102分

■キャッチコピー:強すぎ! 殺りすぎ! 敵多すぎ!

■監督:ギャレス・エヴァンス

■主要キャスト

ラマ:イコ・ウワイス

ジャカ:ジョー・タスリム

アンディ:ドニー・アラムシャー

マッド・ドッグ:ヤヤン・ルヒアン

リヤディ:レイ・サヘタピー

ワヒュ:ピエール・グルノ

ボウォ:テガール・サトリヤ

 

■『ザ・レイド』のネタバレ感想と考察

①とにかく闘え! インドネシア発の荒唐無稽なアクション市

②シラットの特性が活きるアクション構築

③壮絶! 2体1の死闘!

④続編への仕込み

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:とにかく闘え! インドネシア発の荒唐無稽なアクション市

イコ・ウワイスのシラット無双!

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人気のない郊外に佇む1棟のビル。麻薬組織が無数に蔓延るこのビルに突入したSWAT部隊があっという間に全滅寸前に陥るが、それでも残された隊員たちは拳一つで突き進んでいき・・・。と、書いていても分かる通り、B級横スクロールアクションゲームのようにストーリーが非常にシンプル(この映画の場合は縦スクロールだけど)。

インドネシア発祥の武術であるシラットを用いた格闘アクション、SWAT部隊と麻薬組織の仁義なき銃撃戦、追い詰められていくSWAT部隊の臨機応変な制圧術と息を殺した緊急回避。「とにかく闘え!」と言わんばかりに焦点は徹底してアクションに向けられており、徐々に仲間も装備も枯渇していく中、身一つで悪党の波をかき分けて進む主人公たちの荒唐無稽なアクションシーンの連続には唖然とさせられる。「ストーリーはいいからアクションをはよ持ってこい!」と何事にも気が短く待てないような輩にとってはうってつけの親切仕様じゃないか。

それまでアクション関連でインドネシアといえば、香港のショウブラザーズ産の名作『キングボクサー 大逆転』の主演であるロー・リエがインドネシア出身であったことくらいしか思い浮かばず、まさかインドネシアにこんなにも膝を打つアクション映画と逸材が眠っていたとは、初見時にはかなり驚いた記憶がありますね。

とは言いつつもアクションだけが全てではなく、主人公のラマは家庭人で、妊娠中の妻の元へ必ず行きて戻らなくてはならないという信念を激しいアクションと上手く調和させていたり、ラマとアンディ、社会の陰陽で生きる兄弟の物語があったりと、一概に中身のないドンパチアクションになりきっていない点にも注目したい。

Jing-Fu
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終盤に名前のみ登場する「レザ」や「ブナワル」といった、続編の『ザ・レイド GOKUDO』に繋がる人物ワードもあるので要チェックです!

 

ネタバレ②:シラットの特性が活きるアクション構築

身動きが取りづらい環境での闘いも多い!

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香港のカンフー映画、タイのムエタイ映画、そしてインドネシアのシラット映画として格闘アクション映画界に新たなる国籍と文化を確立させたのが本作だ。

シラットの最大の特徴は、他の武術とは比較にならないほどの圧倒的な手数の多さ。シラットは元々はオランダ統治時代のインドネシアにおいて、オランダに対する反抗勢力抑止のためシラットを含むあらゆる武術の稽古が禁止されていた中で、舞踊の動きの中にこそっとシラットの動作を取り入れて練習が継承されてきたという経緯がある武術らしい。そんなシラットには流派があり、舞踏×格闘術のシラットは「プンチャック・シラット」と呼ばれる。本作で用いられているのはそのプンチャック・シラットであり、舞踏の動きが活きているからか、相手をラッシュする手技の動きと立ち回りがかなり流麗で、『イップ・マン』の詠春拳とはまた異なる武術映えが魅力的だ。

Jing-Fu
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ちなみに本作ではシラットの他にも総合格闘技や柔道などの他武術の動きも取り込まれていて、ジョー・タスリムVSヤヤン・ルヒアン戦ではジョー・タスリムが柔道技術を披露してます。

 

そしてただ単に動きの見栄えが良いだけでなく、そんなシラットの特性とインドネシア映画ならではの個性を反映したアクション構築も見事の一言に尽きる。

まずは各バトルが繰り広げられることになる場所の選抜。作中で廊下や部屋の隅や障害物の多い空間など、大きな動きが制限されるような場所ばかりが格闘のステージに敢えて選ばれているのは、相手の懐に入り込み小回りの効くシラットの立ち回りを際立たせる目的があるのかもしれませんね。

次に決め技のインパクトの強さ。派手な空中技や豪快なフォームの蹴り技はないものの、相手の頭を連続で壁に打ちつけてノックアウトさせたり、割れて鋭利になったドア下部に相手の首からダイブさせたり、投げ飛ばしたザコが腰から落ちて海老反り死を遂げたり、いちいち脳裏に焼きつくフェイタリティキルが強烈すぎだ。

Jing-Fu
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相手の頭の連続打ちつけは、アクション監督の谷垣健治 氏が『るろうに剣心 京都大火編』内にオマージュで使用してましたね。

 

そして極め付けは情け容赦のないバイオレンス。相手を殴って蹴って沈めるジャッキー・チェンは甘い!と言わんばかりに、隙あらば手にしているナイフや鉈、挙げ句の果てには蛍光灯の破片、ありとあらゆる物を利用して相手に致命傷を刻むゴア描写満載の連続キルにも抜かりはなし。シラットのきめ細かな腕の軌道とナイフの相性も抜群で、まるで画家が筆でキャンバスに絵を描くように、素手のモーションと完全リンクしながら相手の身体に裂傷を走らせる合理的な動きはもはや芸術。この人命軽視の流血描写こそ、香港やタイ映画界が持ち合わせていない、インドネシア映画ならではの個性としてアクションの迫力増しに機能していて見応えが凄まじかった。

Jing-Fu
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途中、壁の中に隠れたイコの頬に外側から差し貫かれた鉈がザシュッと入り込む痛々しすぎるシーンがあるんだけど、これどうやって撮影したんだろうか。どう観ても特殊メイクでなく、本当に鉈が肉をエグったようにしか観えないんだが・・・。

 

ネタバレ③:インドネシアに眠っていた逸材たち

大技よりも手数で攻める!

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主演のラマを演じたイコは幼少期からシラットに励んでいたらしく、先輩アクションスターたちに引けを取らない格闘スキルはリアルそのもの。シラットの国内大会での優勝経験があることも納得の卓越した技術で、全編に渡ってアドレナリン全開のぶっ通しアクションに興じているのが凄い。どんどん敵の懐に入り込み、相手の体を舐め回すように腕を捌いて翻弄していく動きが、これまでの格闘アクションスターにはい新鮮な武器になっている。冒頭にはイコが半裸で筋トレやシラットのシャドーに打ち込むシーンも挿入されており、「この男はなんだか強そうだ」と思わせる期待感の漂わせ方が、『マッハ!』『レッドブロンクス』などの武術映画のセオリーを汲んでいてたまらない。サンドバックに目にも止まらぬ速さで叩き込んでいくラッシュの鮮やかさには思わず目を奪われてしまった。

中盤の大立ち回りで、相手の首をドアの断面に突き刺してしまった時に「あ、やっちまった・・・」とでも言うような、それまでの怒りが顔から消え去って一瞬冷めた顔をするのが興味深かった。このイコが見せた「一線を超えてしまった時の顔」は、『燃えよドラゴン』で妹を殺された仇とはいえ、オハラを殺めてしまった時に見せたブルース・リーのあの物悲しげな表情とオーバーラップしているように思えた。むしろそこから影響を受けているんだろうか。要するにアクションだけでなく死闘の狭間に見せるちょっとした心境表現も上手くて、経験少ない俳優初期作という共通点から見れば、『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』時のトニー・ジャーよりも良い演技をしているね。

Jing-Fu
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俳優に転職する前はなんと電気通信会社のオペレーターだったというから驚き!

 

もう1人、麻薬組織の幹部の1人であるマッド・ドッグを演じたヤヤン・ルヒアンも、イコに負けず劣らずのインパクトだった。この人、画面越しに観ていてもかなり小柄であることが分かって「ただの小さいオッサンやん・・・」とか思わず鼻で笑っちゃうんだけど、いざ暴れ出した時の豹変っぷりがエゲツない。全身凶器とでも言わんばかりに隙が全く見当たらず、上から横から下から拳と脚が止めどなしに飛んでくるので観ているこちらも思わず体がこわばる。特に短いながらも華麗に動く脚癖が悪く、空中に突き出した脚が瞬時に軌道を変えてホーミングミサイルのように追尾してくるので手に負えない。マッド・ドッグ=狂犬のニックネームがピタリとハマる荒々しいキャラクターだった。

あと忘れちゃいけないのが、序盤のザコたちを統率する中の下のボスみたいなあんちゃん。鉈を振るって人斬りを楽しんでいるこの人、常に目が異様に飛び出しているのが怖すぎるんだよね。どう観てもカタギじゃないというか、確実にキメているというか、こんな人スクリーンに呼んできたらあかんやろうと本能で感じさせるナイスキャスティングでしたね〜。

Jing-Fu
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ジャカ隊長を演じたジョー・タスリムは、最近『モータル・コンバット』でサブゼロを好演してたのが記憶に新しいですね。

 

ネタバレ④:壮絶! 2体1の死闘!

2対1の醍醐味が詰まったハイライト・バトル!

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アクションラッシュの締めを飾るバトルは、ラマとアンディ兄弟VSマッドドッグ、つまりイコドニー・アラムシャー(なんてワイルドな名前だ!笑)VSヤヤン・ルヒアンによる2対1の立ち回りだ。

2対1の殺陣において最大の醍醐味は「2人側がどういう連携を取るか」「1人側がどうやって2人の攻撃に対抗をするか」に尽きる。その点、このアクションシーンでは2人側が交互に1人を攻めるだけでなく、1人の窮地をもう1人がすんでのところでカバーしたり、1人が作った隙を無駄にすることなくもう1人が追撃に繋げたり、そして2人同時に1人を攻めたりと、ちゃんとファンが観たがっている立ち回りを余すことなく盛り込んでいるのに拍手を送りたい。ヤヤン・ルヒアンも数に押されることなく逆に圧倒してアホみたいに暴れ回るのが凄い。ドニーに後ろから羽交い締めにされた時、勢いよく相手の股に両足を飛び込ませて背負い投げする身長の低さを利用した技も目を見張るんだけど、『ミッションインポッシブル フォール・アウト』ヘンリー・カヴィル相手にこの技を取り入れていたトム・クルーズは、本作のこのシーンにインスパイアされたんだろうか。

基本的に常に3人全員が動き回っているのでスピード感を欠くこともなく、2人の連携にラマとアンディ兄弟の絆が重なるドラマも繋がっているし、命を賭けた死闘を際立たせる無機質で殺風景な立方体の部屋の下支えも素晴らしい。一品の最後を飾る立ち回りとしては申し分ない迫力だ!

Jing-Fu
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『ドラゴン×マッハ』トニー・ジャーウー・ジンVSマックス・チャンが現れるまでは、間違いなく世界一の2対1バトルでした!

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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普段聞き慣れないインドネシア映画だからと舐めてかかるな! アクション映画好きの期待を決して裏切らない、未開の地から発掘された傑作です!

 

鑑定結果:エメラルド映画(☆8)

 

■映画『ザ・レイド』はどんな人におすすめ?

 

・アクション映画や格闘アクション映画が好きな人

・ドラマよりもアクション重視の人

・真新しさや刺激に飢えている人

 

■最後に

続編の『ザ・レイド GOKUDO』の鑑定はコチラ☆

 

主演のイコ・ウワイスについて紹介しています☆

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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コメント

  1. 岩石入道 より:

    ザ・レイド、いいですよね…私はたぶん50回以上観ました。ナタを振り回してダッシュしてくる相手にナイフをドスドス刺してオーバーキルしていくのが気持ち良すぎて。それにしても、凄いシーンばっかりの映画なのにイコウワイスの頬をナタが掠めたところが気になるとは、さすがマニアの目の付け所は違いますね。いくらインドネシアでも俳優の顔をわざと傷つけたりはしないと思うし、なんか仕掛けがあったんでしょうね。

    • Jing-FuJing-Fu より:

      岩石さんこんばんは〜!
      ザ・レイド、やっぱり岩石さんもおかわりしまくりですか!笑
      あのシーンの緊張感半端ないんですよ、その場面の状況も。
      本当に傷つけていたら労組問題になると思うんで特殊メイクとは分かっていても、そうは見えない生々しさに呆気に取られますね。

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