【ネタバレ/感想/考察】Netflix映画『呪詛』の鑑定【ラストは? 符号の意味は?】

ホラー
(c) Netflix. All Rights Reserved.

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『呪詛』です。

台湾で公開されるやいなや「怖すぎる」としてかなりの話題となって過去最高の興行収入まで記録してしまった台湾産のPOVホラー映画が、日本を含む海外ではNetflixにてついに公開されました。

台湾の台北映画祭では、長編映画賞と監督賞など合計で7部門にノミネートもされたみたいで、映画としての質も認められています。

そんな『呪詛』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

新しい「体感型」のPOVホラー!?

 

■『呪詛』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

『呪詛』予告編 – Netflix

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■あらすじ

6年前にとある山奥の村を取材した際、そこで呪いにかかってしまったというルオナン(ツァイ・ガンユエン)は、自分の身の回りの人間が不幸な目にあって死んでいき、娘のドゥオドゥオにまで呪いがかかってしまったと言う。娘を助けるために祈ってほしいと視聴者にお願いをするルオナンによって、娘との生活を映すビデオ映像が流れていくのだが・・・。

 

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■原題:咒/Incantation

■発掘国/制作年:台湾(2022)

■上映時間:111分

■監督:ケビン・コー

■主要キャスト

ルオナン:ツァイ・ガンユエン

チーミン:ガオ・インシュアン

 

■『呪詛』のネタバレ感想と考察

①新しいPOVホラー体験

②戦慄の「お前らも道連れ」スタイル

それでは鑑定していきましょう!

 

・新しいPOVホラー体験

予告編が公開された段階で、Twitterの界隈がざわついていた台湾発掘のホラー映画。管理人も怖いもの見たさの怖がり(笑)として、予告編の時点で「これはアカンやつでは?」とただならぬ空気を感じ取ってビクつく。大学生の頃にオーストラリア留学で知り合った台湾人で同じく映画好きの友人に「コレ、台湾で話題のホラーだけど観た?」とメッセージを送っても、「んなもん怖すぎて観れねえYO!」と一括される始末笑 本国でもかなり恐れられているようで、やっぱりそんなに怖いのか?? ということで、実現しなかった日本劇場公開スタイルになるべく近づけるべく、部屋真っ暗にして観てみました。

いや〜、電気つけて観れば良かったですね笑笑 怖いもの見たさを案の定半殺しにする雰囲気が完全にOUT。プロットを簡単にまとめると「6年前に遊び半分で取材に行った主人公のルオナンが山奥のカルト村で見事にやらかして呪いを受けてしまい、その時妊娠していた娘のドゥオドゥオに本格的な呪いが行ってしまった」という感じで、そんな過程をPOV方式で映していく映画です。POVホラーは既に珍しくもなくなってしまった昨今ですが、本作は他のPOVホラーとはここに来て系統が違うんですよね。詳しくは後述しますが、本作は主人公が我々観客達に助けを求め、ビデオを観るように促し、こちらと画面越しに繋がりながら進む「追体験」感がかなり強め。リアルタイムで画面の両側を繋がらせようとする設定は、過去のファウンドフッテージ系と比べると異色な雰囲気で包まれていて、中々面白い思いつきだな〜と思いました。

その分伝わる恐怖も生々しくエゲツのないものばかりで、焦らした末に白いババアがこちらに突進してくる意地悪な恐怖演出で脅かしにかかるのはもちろん、大量のイモムシが這ったり潰れたり、娘の体に広がっていくブツブツ穴の空いて血に爛れていく痛々しい光景とか、口の中のあらゆる所から無数の歯が生えては抜ける過剰歯すぎる呪いにかかったり、とにかく生理的に不愉快で気色の悪さを煽るような画が多め。いずれもPOVという恩恵を受けて嫌というほど画面いっぱいに広がるので、苦手な人にとっては相当きついでしょうね。

この世の明るみに出てはいけない呪いをテーマにしていて、「観てはいけないものを観た気がして後悔した」というか「画面越しにタブーに触れてしまった」という点では、昨年映画館で観て夜寝るのが億劫になった『ダークアンドウィケッド』といい勝負ですね。悪魔をテーマにしたあちらも心底恐ろしい映画でしたが、やはり体感型という臨場感では、本作も負けず劣らず背筋が凍りつく良作だと思いますよ。

 

・戦慄の「お前らも道連れ」スタイル

この映画、そもそも最初から何か不穏な空気が漂う。映画が開始していきなりルオナンが画面越しに観客たちに「万が一の時のためにこの符号を覚えて」と何やら不吉そうな符号を10秒間見させられたり、「娘のためにこう祈って、いや思うだけでもいいの」と「ホーホッシオンイー シーセンウーマ」という謎の祈りを強要してきたり、「右に回ったり左に回ったり、あなたの意思で変えられる」と目の錯覚を利用すする映像で妙な気分にさせたり。娘を呪いから解くためとして、観ているこちらに対して祈りの原理とやらを淡々と説明してくるんですね。

Jing-Fu
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物凄く胡散臭いというか、意味は分からないけど明らかに「ホーホッシオンイー シーセンウーマ」がヤバい言葉だと悟ったので祈りませんでしたけどね、僕は笑

 

で、終盤あたりになって「あなたたちに嘘をついてた・・・、ごめんなさい」とルオナンがこちらに詫びを入れてくるあたりから段々と血の気が引いていく。それまで漠然と「ヤバい」とだけ感じてた「ホーホッシオンイー シーセンウーマ」が祈りでもなんでもなく「私は名前を差し出して呪いを受ける」みたいな完全デススペルで、冒頭で素直にこの祈りを唱えた人はもれなく呪われます苦笑 「呪いを完全に消すことはできず、みんなに広めて薄めるしかない」と。つまりルオナンは娘を救うために僕たち観客にもれなく呪いを分配していたんですねえ。要するにこれは『リング』のラストで松嶋菜々子「お前らも死ねぇ!!」と画面越しにいきなり言われるようなものなんですよ。はた迷惑極まりない話ですけど、これはかなり斬新な体感要素じゃないでしょうか。「あなたの意思で変えられる」というのは、祈りと呪いは紙一重になっているという意味だったのか? 観客に対して呪いをかけてくるという、過去のPOVやファウンドフッテージ系の映画には見当たらなかった戦慄の演出力とアイデアと構成力、そして映画だと分かっていても「自分達はガチでヤバいことに巻き込まれてしまった」と錯覚させてしまう説得力、僕は鳥肌を通り越して感心しましたよ。

Jing-Fu
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つまり本作の呪いは、ネトフリによって世界中に拡散されたことになります(恐ろしい)。皆さんも観て、僕の呪いを薄めてください笑

 

おまけにルオナンはこの呪いの本質と「ホーホッシオンイー シーセンウーマ」の意味を6年前に既に理解していた事実も判明して、里親おばさんとかチーミンとかお医者さん達とか道士夫婦とか、劇中で死んでいったキャラクターたちはルオナンが意図的に呪いをおすそ分けして呪い死にしてたってことなんです、多分。そう、ルオナンは娘を助けるために、観客も含めて最初からみんなのことを殺る気マンマンだったんですねえ。

Jing-Fu
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冷静になって考えると、めっちゃ怖くないですか!?

ラストは自分も石段に向かって強烈なヘドパンをお見舞いして死亡したルオナン。自分の命も含めて娘のために大量の犠牲を払ったことによって、ドゥオドゥオは助かったのだろうか。ラストには元気そうなドゥオドゥオが映るんですけど、「お城がなくなっちゃった」とか「お城は遠い、バスで行かないと」とか意味不明な言葉を発しています。お城ってのは、呪いの元凶である邪神「大黒仏母」のいる所なのか? この発言がドゥオドゥオの本心なのか操られているのか、きっと呪いは解けてないんでしょうね・・・。よく見るとドゥオドゥオの頭の横に他人の髪の毛のようなものが動いていて見切れていたり、そもそも誰がこのビデオを撮影しているのだろうと考えると寒気が止まりませんね。

母は強しというか、母は子のためにはなんでもするというか、それこそ『リング』とか『仄暗い水の底から』とかみたいな、子のために母親が勇敢に立ち上がるという設定が多いJホラーとおんなじ設定ですね。ネチネチ湿り気のある呪いを連鎖させていくのも白人文化にはないJホラー特有の概念ですし、台湾の山奥にあるカルト村というアジアンな土着的雰囲気は映画じゃないけど『サイレン』っぽい。その一方でカルト宗教や異形の儀式で精神を削っていくあたりは『へレディタリー 継承』『ミッドサマー』とかのハリウッドホラーに通づるようにも感じます。

Jing-Fu
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古今東西の様々なホラー要素を巧みかつ効果的にブレンドしているように思いました!

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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本作、なんと三部作としてこの後もシリーズ化が予定されているとのことで、まだまだ嫌らしい呪いの連鎖が続きそうで楽しみですね。

 

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)

 

 

■最後に

韓国のPOVホラー『コンジアム』の記事はこちら☆

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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