みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『ガンズ・アキンボ』です。
『ハリー・ポッター』シリーズでお馴染みのダニエル・ラドクリフ主演最新作は、怒涛のエクストリーム・ガンアクションが勃発する痛快娯楽作品でした!
それでは早速鑑定していきましょう!
■作品情報
・基本情報
■原題:Guns Akimbo
■発掘国/制作年:イギリス/ニュージーランド(2019)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:ジェイソン・レイ・ハウデン
■主要キャスト
マイルズ:ダニエル・ラドクリフ
ニックス:サマラ・ウィービング
ノヴァ:ナターシャ・リュー・ボルティッゾ
リクター:ネッド・デネヒー
デイン:マーク・ロウリー
クライヴ:コリン・モイ
・あらすじ
ゲーム会社でプログラマーとして働く臆病なマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は、ストレス社会の中でネットのコメント欄に過激なコメント=「クソリプ」をすることによって憂さ晴らしをする毎日を送っていた。世界では人々に殺し合いをさせる様子を生配信する闇サイトの「スキズム」が問題となっている一方で、大勢のネット民が視聴を楽しんでいるのも事実だった。ある日、スキズムを観戦していたマイルズがいつものように過激な暴言を書き込み続けていると、コメントに激高したスキズムの組織によって身元が特定されてしまい、突如拉致されてしまう。自分の部屋で目を覚ましたマイルズの両手には、なんと2丁の拳銃がボルトでがっちりと固定されていた。そしてスキズムのメンバーたちから、「最凶の殺し屋ニックス(サマラ・ウィービング)と24時間戦って勝て」と命令が下され・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
『ハリー・ポッター』シリーズを卒業後、『スイス・アーミー・マン』や『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』など、クセのある役どころを演じる度に注目されるカメレオン俳優のダニエル・ラドクリフ。魔法の杖を手放したダニエルが今回握りしめるのは2丁の拳銃。本作は『エイリアン4』のクリスティンみたいな手にDIYされてしまったオタクの主人公が、ネットで生配信される無理ゲーな殺人ゲームに強制参加させられる様子を描くエクストリーム・ガンアクション作品です。
銃弾を惜しみなくまき散らすスタイリッシュな暴力ガンアクションと、趣味の悪いお下劣な笑いの交差が織り成すシュールさはまさにドラッグムービーと呼ぶに相応しく、身も心も快楽に酔いしれたい時にオススメできる絶品。
あたふた喚きながら殺し合いに放り込まれた主人公を破天荒に演じるダニエルももちろんだけど、『ザ・ベビーシッター』や『レディ・オア・ノット』など話題作への出演が右肩上がりで増えていくサマラ・ウィービング演じる、ネジの外れた殺し屋ニックスの狂人演技も見応え抜群。2人が作り出すハイレベルすぎなキャラクターを観ているだけでもニヤニヤが止まらないほど楽しかった。
激しいガンアクションとエッジの効いたサバイバル/デスゲーム設定を売りにはしているが、一方でネット沼に溺れる無責任な現代人に指を指して警鐘を吹き込む社会派の作品でもあります。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・スタイリッシュ・ドラッグ・ガンアクション
両手から銃が外せなくなっちゃったハリー・ポッター。
(C)2019 Supernix UG (haftungsbeschrankt). All rights reserved.
ガンアクションシーンの跳躍具合は想像以上! 激烈・ハードコア・荒唐無稽の三拍子が揃った銃撃戦を、スウィートの「The ballroom blitz」やMCハマーの「U Can’t Touch This」などといった往年の名POPミュージックでバックを飾り、キレの良いカメラワークで目まぐるしくもリズム的に映し出す。所々にブラックな笑いを入れることによって緩急バランスも良好。まるでマシュー・ボーン監督の『キック・アス』や『キングスマン』で形成されたスタイリッシュでノリの良いゴア・アクションスタイルを彷彿とさせる、スーパーハイテンション必至の迫力は素直に凄まじかった。
終盤ではスキズムの根城に乗り込んだマイルズとニックスが大暴れする見せ場が用意されており、火を噴く火薬量とぶっ飛びアクションがさらに激化する! マイルズは喘息の吸入器で、ニックスはコカインで、お互い方法が異なるドーピング術で支度をする悪どい笑いの誘い。ストーリーの流れ上もあって、完全に殺る気スイッチの入ったマイルズも2丁の拳銃を握りしめて狂喜乱舞に興じることになり、嵐のごとく引き金を引いて宙を舞ってと、THE・男たちの挽歌をしまくる荒れ具合が最高だ! 劇中、実際に『男たちの挽歌』を意識したパロディセリフがあったりするから笑える。他にもマイルズはオタクと言うこともあって、『ランボー』『ロッキー』『コマンドー』『ハードターゲット』などの筋肉と銃撃のアクション映画ネタも随所に散りばめられているのも面白い。
・ぶっ飛び演技の2人
ダニエル、珠玉の 「んぎゃ~」顔芸の数々!
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ダニエル・ラドクリフは、自身の生涯において運命のシリーズとなった『ハリー・ポッター』で稼いだ100億円のギャラを貯蓄するという健全な選択をしたことにより、「お金のために出演する」のではなく、「本当に出演したい作品に出る」という環境を整えたようだ。流石は謙虚な少年、ポッターである。だからこそ彼は『ハリー・ポッター』以降に出演する作品のほとんどで特異なキャラを筋良くこなしてきてそれが評価されているわけだけど、本作でも本当に楽しそうに仕事をしてましたね~。
彼が演じるマイルズは職に就いているので低カーストの人間ではないものの、仕事に対しての誠意もなくぐうたらな日々を過ごし、彼女にも愛想をつかされて破局中の締まらない身。ネットでは平気で攻撃的な暴言を吐き続けるくせに現実ではハエも殺せない小心者だ。在宅中に例の剛毛過ぎる毛ずねを見せながら酒を飲み、SNSに熱中するダニエルの怠慢演技はとても泥臭く、いざ殺人ゲームに巻き込まれてからの臆病・慌てぶりは真に迫っていた。両手が銃化して日常生活に支障が出る様子をシリアスかつシニカルな笑いで表現し、ゲロは吐くわ放尿するわチンコ出すわの、歯止めの効かないやりたい放題状態。本作でもその背徳感を感じさせない演技インパクトの強烈さは健在で、ドラッグムービー作風に絶大な風味を与えていた。
完全にイっちゃってるサマラ。
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だがそんなダニエルにも引けを取らない演技を披露するのが、マイルズを追う存在である殺し屋のニックスを演じたサマラ・ウィービングである。頭のネジが何本か足りないイカれ言動、見た目にも凶暴すぎる刺激の強いルックス、明らかに過去最強にキャラが立っている。ニックスには物語において重要な過去が設定されており、狂人キャラの中にもどこか人情を感じさせる場面もあり、難しい役どころをそつなくこなす技量の高さ。そしておもちゃのサングラスをかけて嘲笑しながらガトリングガンをぶっ放す姿を観て、彼女がハーレイクイン役に抜擢されても十分ハマっていたのではないかと思わせるほどの鮮烈さだった。
いち映画としてだけでなく、2人の俳優が放つオーラと極端な個性を眺めることもまた一興な1作です。
・現代人への警告
ズボン履けねえし、ドアも開けれねえ!!笑
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一日中SNSに没頭し、ネットでは匿名環境であることを良いことに誹謗中傷コメントのマシンガン。いざ現実的な対面に立たされると怖気付くことしかできない内面の弱さ。マイルズをはじめとする劇中のネット民のキャラクターは、まさに現代のネット社会で調子をこきすぎなアホどもを代弁したものであり、そんな小心者たちへの警告も兼ねているのだ。今はネット上での誹謗中傷で人が死んでしまう事態も珍しくはなく、自分の放った言葉の重みに責任の取れない、現代人の麻痺した感覚を痛烈に批判するメッセージ性。ハッチャケ映画ながらも風刺が効いており、鑑賞中に観るドラッグで高揚感が高まっている中、ふと冷静に考えさせられる場面も少なくない。
ネットとは関係がないけど、社会警鐘話をもう一つ。劇中ではマイルズが日常的に会社の上司から嫌がらせをされている様子が伺える。普段怠慢な勤務姿勢なマイルズに非があるかもしれんが、いざマイルズのが痛さ爆発でブチギレると、威圧される上司は何も言い返せない。そりゃいきなり両手に固定された銃を突きつけられれば誰だって腰が引けるかもしれないけど、これは普段自分より弱いと思い込んでいる人間に対して威張っている人間への戒めに違いない。怒らないことをいいことに攻撃しまくってた奴が、逆にキレられて縮こまる情けなさ。結局後輩とか店員とかに怒鳴ってるような奴は大体そう。「弱い犬ほどよく吠える」って、つくづく上手い言い回しだよね〜。
■日本がらみ
グータラ ダニエルの左上に注目!(C)2019 Supernix UG (haftungsbeschrankt). All rights reserved.
■鑑定結果
ガンもヤクもガンガン決めちゃう、新たな痛快ドラッグムービーが登場!
社会問題を心に留めるのも良いけど、頭空っぽにして過激な画を楽しむのがこの作品の真骨頂だ。
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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