みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『ラーヤと龍の王国』です。
コロナによる映画館への影響がようやく緩和され始め、ディズニー+での配信と合わせてようやく劇場版でも公開されたディズニープリンセス最新作ですけど、メディアではほとんど話題になっていないのが嘆かわしいですね、、、。
昨夜、緊急事態宣言の解除に伴い2ヶ月ぶりにレイトショーが戻ってきたので、仕事終わりに早速劇場に足を運んできました。
それでは早速鑑定していきましょう!
目次
■作品情報
・基本情報
(C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities
■原題:Raya and the Last Dragon
■発掘国/制作年:アメリカ(2021)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:ポール・ブリッグス
ディーン・ウェリンズ
■主要キャスト
ラーヤ:ケリー・マリー・トラン
シスー:オークワフィナ
ナマーリ:ジェンマ・チャン
ボン:アイザック・ウォン
トング:ベネディクト・ウォン
トゥクトゥク:アラン・テュディック
・あらすじ
聖なる龍たちに守られる古代アジアのクマンドラ王国であったが、突如として現れた邪悪な悪魔によって人々は襲われた。龍たちは全力を尽くして民を守り、自らを犠牲にして悪魔を払いのけた。人々には平和が訪れるはずだったが、龍たちが残した、彼らの力が宿るという「龍の玉」を奪い合って争いを起こすようになり、彼らは完全に信じる心を失ってしまった。それから500年後、龍の玉が大切に保管されている国「ハート」に生まれたラーヤ(ケリー・マリー・トラン)は、父親と共に龍の玉を守る使命を与えられていた。ある日、ハートを含む5つのコミュニティに分断してしまったクマンドラの民の集め、信じる心を取り戻そうと父親が提案する。気乗りしないラーヤの思い通り、集められた人々は刺々しい雰囲気に包まれていた。しかし龍が好きという共通の話題で「ファング」のナマーリ(ジェンマ・チャン)と仲良くなったラーヤは、彼女に龍の玉を見せるのだが・・・
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
歴史の深いディズニープリンセス作品の59作目となる本作は、架空の世界ながらも東南アジアの文化と世界観のもと、主人公ラーヤが自身の王国を取り戻そうとする冒険を描くファンタジー・アドベンチャー映画です。主人公のラーヤに声を当てるのは、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』にも出演したケリー・マリー・トラン、お茶目なドラゴンのシスーを担当するのは『オーシャンズ8』や『ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル』などのオークワフィナと、今ハリウッドで旬なアジア人女優が起用されています。
アジア人からすれば、ラーヤは『ムーラン』に続く第2のアジアン・ディズニープリンセスであることが誇らしい限りだが、劇中にはディズニープリンスが登場せず、特徴的なミュージカルシーンも一切描かれないという、それまでのシリーズの定石を守らないかなり異色な物語だった。それがつまらないのかと言われれば決してそうではなく、行く先々で仲間を集めていくロードムービー風の展開、個性豊かなキャラクターたちと彼らの活躍が愉快なのはもちろん、現代社会にも通ずる人々のいがみ合いと信頼、そして壁を乗り越える友情のドラマなどの人情的なストーリーも胸を熱くする。
また本作はラーヤが「強い」という設定もあり、アクション要素に長けた展開が目白押し。素手の勝負では妙にアクロバティックな体技に凝っていたり、武器戦ではフィリピン武術のカリを取り入れていたりと、アクション映画ファンであれば思いがけない収穫となるはずだ。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・第2のアジアン・ディズニープリンセス
精悍な顔つきが様になる、アジアン・ディズニープリンセス。
(C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities
物語の舞台は、古代のアジアとされる架空の土地のクマンドラ。つまり本作の舞台はアジアであるわけで、ラーヤは中国の『ムーラン』に続く第2のアジアン・ディズニープリンセスなのだ。そんなラーヤの特徴的な民族衣装からも分かる通り、クマンドラはタイ・ミャンマー・フィリピンなどの東南アジアの文化がベースとなって構築されており、緑豊かな自然と文明が調和する土着的な色合いが他のディズニープリンセス作品にはない彩りだった。本作の製作に当たってはスタッフたちが実際に東南アジア各国へ現地調査に出向いたらしく、さすがは目と足を使うロケをしただけあってリアリティは格別。『モアナと伝説の海』で描かれたポリネシア文化も重厚であったし、ここ最近のディズニーの「異文化を忠実に再現したい」勉強姿勢には感心しきりだね。
・ディズニープリンセスの型に捕らわれない物語
世界を救うことのできる2人の掛け合いにも注目。
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ディズニープリンセス作品と聞いてすぐに思い浮かぶのが、イケメンの王子様と魅惑のミュージカル劇だが、本作にはそのシリーズお決まりの2大看板が全くもって顔を見せていなかった。だからラーヤは年頃なのに作中で恋路に迷うこともなく、唐突に歌い出すこともないノンミュージカル調で、強くたくましく、そして堅実に足を進めていく。それらを醍醐味として楽しみにしていた人にとっては少々面食らうかもしれない異彩の持ち主だけど、魔法を帯びたファンタジースタイル、ほっこり微笑みの湧くお笑い要素、擬人化されたマスコットキャラクターたちなど、決してディズニーらしさを忘れているわけではない。そのディズニーらしさを損なってガッカリ仕様となってしまった実写版『ムーラン』と比較すると、違いは顕著に分かるはずだ。
また物語に恋愛要素が一切絡まない分、王道ながらもディズニープリンセスとしては新鮮な冒険活劇色が濁ることなく魅力になっているし、強い女性像を意識した新たなディズニープリンセス物語を描くことにも成功していた。
ラーヤは悪党に侵略をされるご身分ではなく、自ら滅びた王国を救おうと孤独に旅を続けるサバイバーだ。非常に行動的な彼女が行く先々で王国を救うための同士を集めていく流れは、『7人の侍』や『里見八犬伝』などの仲間集めスタイルを思い起こさせるロードムービーとしても見て取れる。お調子者のムードメーカーのドラゴン、料理長兼船長の子供、可愛くて憎たらしいボスベイビーとその連れのおサル3匹、デカいオッサン、そして一輪バイクになる相棒のアルマジロ虫(乗り物の役目を持っているためか、東南アジアの乗り物と一緒の「トゥクトゥク」という名前が付けられているのが面白いね)など、ラーヤに集う主要メンバーの個性はとても豊かで楽しい。しかもこれだけの人数をちゃんと整理し、2時間にも満たない短い上映時間の中で各自に見せ場を設けるまとめ方も秀逸だと思う。
・アクションスターのお株を奪うプリンセス、ラーヤ
やる時は殺る気スイッチを全開にするラーヤ
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それまで闘うプリンセスの代名詞であったカンフー枠の『ムーラン』だが、本作のラーヤはムーラン以上に戦闘スキルを兼ね備えるファイタープリンセスだった。素手の勝負においてはキレキレかつ優美な殺陣を披露し、ジャッキー・チェンばりの烏龍絞柱でパッと起き上がったり、スコット・アドキンスやユン・ピョウがオーバーラップしそうなスローモーション旋風脚、『マッハ!』のトニー・ジャーを彷彿とさせる市街地での疾走パルクールなど、これまでのディズニープリンセスを置いてけぼりにするバイタリティに溢れた動きのアクションが盛りだくさん!
武器戦においても、刀身が鞭のようにしなる蛇腹剣を使いこなす流麗なソードアクションも素晴らしかったが、フィリピン武術のカリによる二刀流の棒術アクションの登場には驚いた(映画で言えば『死亡遊戯』のダン・イノサントが有名)。東南アジアの文化をストーリーや背景だけでなく、アクションにもちゃ~んと反映しているところがこの作品の良いところでもある。
本作のアクションコーディネーターには、『デッドプール』や『ワイスピ』などで活躍するスタントウーマンたちが起用されているようであり、なるほど、良い仕事をしておりますな。アクション映画好きとしては期せずして大興奮を覚えることになった。
ラーヤが勇敢で強いというのは単にアクションシーンが映えるだけでなく、現代の女性像を意識した多様性設定の表れだとも思いますね。
・信頼と裏切りのメッセージ
クマンドラ王国が滅びた理由には、人間同士の憎しみや争いが起因しているという設定で、物語の土台は決して華やかなものではない。劇中では信頼関係に亀裂の生じたクマンドラ内に複数の民族がそれぞれの文化と集落を形成しており、お互いがいがみ合って龍の力を奪おうと画策している状況で、過去のディズニープリンセス並びにディズニー作品の中でも、人間の黒と負の側面が突出して描かれていて泥臭かった。
物語は常に「信頼」と「裏切り」が軸となっていて、裏切りを受けたラーヤの行動がストーリーの流れを大きく変えることになっている。信頼と裏切りの狭間で葛藤するラーヤの姿には、他人を信じることがいかに難しく悩ましいものなのかを嫌と言うほど痛感させ、前述したコミュニティ同士の衝突も含めて、現代社会の縮図を意識していることは間違いないでしょう。
ラーヤの強い女性像もしかり、最近のハリウッドが重点を置いているありがちな設定ながらも、「人から信頼を得るためには、まず自分が相手を信じないといけない」という、簡単そうで実行が難しい現代人が抱える問題点を突きつけられて、思わず考え込んじゃいました。
■日本がらみ
■鑑定結果
従来のディズニープリンセス作品の型にとらわれない、強い女性像の新たな描き方は異色ながらも現代的でカッコいい。アクション好きも発見のアドベンチャー作品です!
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
よろしければシェアをしていただけると幸いです!↓↓
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