【ネタバレ/感想/考察】韓国アニメ映画『整形水』の鑑定【ラストは?】

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Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『整形水』です。

おどろおどろしいポスターが一際目につく韓国のアニメ映画。

韓国のオムニバス漫画である「奇々怪々」の一片を原作とする、整形と外見至上主義に対する風刺をテーマとしたホラー作品です。

そんな『整形水』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

ラストには風刺に止まらない恐ろしいオチが!?

 

■『整形水』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

【本予告】新感覚<整形サイコホラー>映画 『整形水』9月23日(木)日本公開!(2021)

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■あらすじ

人気タレントのメイク係として働いているイェジ(ムン・ナムスク)は、幼少期から自分はブスだと外見にコンプレックスを持っていた。美人タレントのミリ(キム・ボヨン)に外見を罵倒され、SNSでも酷い書き込みをされたイェジは自暴自棄になって部屋に篭ってしまう。そんなある日、巷で噂になっていた「整形水」という美容製品がイェジの元に届けられる。この水を使えば誰でも簡単に美人になれるという説明を聞き、美貌に憧れるイェジは整形水を使用するのだが・・・。

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■原題:성형수/Beauty Water

■発掘国/制作年:韓国(2020)

■上映時間:85分

■監督:チョ・ギョンフン

■主要キャスト

イェジ:ムン・ナムスク

ジフン:チャン・ミョンホク

ミリ:キム・ボヨン

 

■『整形水』のネタバレ感想と考察

①整形と外見至上主義への警鐘

②風刺映画だと油断していると・・・

③日本のアニメってすげえ!

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:整形と外見至上主義への警鐘

楽して美しくなりたい? それなら・・・整形水〜! ぶっかけるだけでどんな外見の人でもあっという間に全身ビューティフルに大変身〜。と、そんな感じでドラえもんが出してくれそうなキテレツなアイテムがあれば、僕だったら窪田正孝真剣佑か、あるいはジャン=クロード・ヴァン・ダムみたいな外見になりたい・・・。とまあ冗談はさておいて、そんな上手い話が転がってれば誰だって苦労はしませんねぇ。軽めに書いてましたけど、本作は今も昔も美容整形大国である韓国に蔓延する社会問題を、整形水なるキーアイテムを用いることによって炙り出す、ホラー兼風刺アニメでした。

主人公のイェジは幼少期から自分の外見をブサイクだとコンプレックスを持っていて、周囲からもブスとかブタとか酷いことばかり言われてる。だからこそ自分を馬鹿にする美女に対して妬みを持ったり、整形水を使って最高に美しい外見を手に入れようと躍起になったり、とにかく「美が正義」と強く思い込んでます。美貌を手に入れるために行き過ぎた行動に出て、更には一線さえ超えてしまうような暴走ぶりを見せ、しまいには本来の自分のアイデンティティでさえ失いかけていくという、外見を美しく360度変えた代償として内面が最高に汚れ、人生が狂っていく過程が最高に恐ろしい。整形水の扱いに失敗をして外見が歪んで不自然な形になったり、整形水の中で長時間爆睡して体がドロドロに溶けてゾンビみたいな醜悪な体になってしまったり、いわゆる体をイジくる整形とは表裏一体の付き物であるリスクをオーバーに皮肉った描写はかなりエグくておどろおどろしかったですね。

Jing-Fu
Jing-Fu

とにかくイェジに振り回され続ける両親が不憫でならなかったです。

主人公のイェジだけが美しい外見のみを正義としているわけではない。劇中ではイェジを取り巻くモブキャラたちが多く登場するけど、前述したように彼らはイェジの外見を醜いとして酷い言葉を浴びせたり嫌らしい態度で接したりもする。そんな彼らはイェジが整形水で超絶美人になった途端、誰も元はイェジであったことを知らないこともあり、「なんて美人だ・・・」とか「ええ匂いや〜」とか、手のひらを返したように鼻の下を伸ばしている連中ばかり。劇中には他にも似たような演出があって、イェジは幼少期に素晴らしいバレエの素質がありながらも「ブサイクだから」という理由で1位になれなかったり(あくまでもイェジの憶測に過ぎないけど)、SNS上にはブスを袋叩きにする罵詈雑言コメントで溢れかえっているという光景も。これらはつまり、人を内面ではなく外見だけで判断し、見た目で価値が付けられてしまう「外見至上主義=ルッキズム」に対しての風刺でもあるんですねぇ、きっと。ここまで来るともはや韓国のみの国民性と止めるわけにもいかず、日本も含める全世界共通の古来から続いている問題ですよね。要約すると差別にも通づる話ですし。

 

ネタバレ②:風刺映画だと油断していると・・・

一方、そんな韓国と現代社会の風刺映画に徹する物語かと思いきや、後半からトンデモない展開を見せる本作。主要キャラの1人である、超美形男子のジフン。もうハナから怪しさプンプンで、「あー、きっとこいつも整形水を使ってて、ラストはイェジと結ばれて子供が生まれたら全然顔が違った、とかになるんだろうな〜」と読んでたんですけど、そんなセンスのない先読みを覆す衝撃のジフンくん。実は彼は元々女性で、幼少期からイェジと同じく外見に酷いコンプレックスを持っていて、整形水を使って男になっていた!! なんで男?と思う暇もなく、「元が悪いから整形には限界がある。それならイケメンの男になって美人を呼び寄せ、自分が最高に美しいと思えるパーツが揃うからよ!」と恐ろしいことを淡々と説明。ここで冒頭からの「美人女性の相次ぐ失踪事件」がリンクする。つまりジフンは、自分の理想のパーツを持つ美人をイケメンルックスでモノにしてパーツを奪い、将来的にそれらのパーツで美人女性に進化する気らしいです。んなモンタージュみたいなことできるかいとか野暮なツッコミをするまでもなく、ジフンがガバッと服を脱ぐと、今まで集めてきた目とか鼻とか口とかの美形パーツコレクションが生きたまま体中に埋め込まれているという気色悪すぎる光景が・・・。なんて趣味の悪い保管方法なんだ・・・。自分の意識を奪われて他人として生きなければならないという戦慄のホラーには、『ゲット・アウト』を観た時と同類のトリハダが立ちましたよ。

で、イェジは元から綺麗と言われていた目玉をジフンに奪われて彼の太ももに保管されてしまうというオチ。イェジにとってはバッドエンド、ジフンにとってはハッピーエンドというなんとも複雑な幕引きだ。このジフンの狂気じみた思考と行動も、元は「外見至上主義」からきてる訳で、前述した現代社会が産み落とした結果とも言い換えれるんですよね。

Jing-Fu
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こういう舵取りがキツすぎるラストを用意できるのは、やっぱり流石は韓国映画って感じで侮れないなぁ〜。

 

ネタバレ③:日本のアニメってすげえ!

脚本はともかく、アニメ映画としての質にはちょっとお粗末な部分も。キャラクターの顔が安定していなかったり、例えばイェジの眉毛がいきなり消え去る(描き忘れ)ショットがあったりと、いわゆる「作画崩壊」が散見され、「よくこれで納品できたな」と思わず見定めのレベルを疑ってしまいました。キャラクターの口の動きと声優のセリフが微妙に不自然にズレていたりもして、改めて「日本のアニメのクオリティって凄いんだなぁ!」と日本国民として鼻が高くなる機会にはなったので良かったです笑

 

Jing-Fu
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これは実写映画だったらもっと面白くなってたのかな〜。でも内容だけに、実写だと描写がエグすぎるか・・・。

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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現代社会の風刺×度肝を抜くホラーで期待を裏切らない韓国映画!

 

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)

 

■最後に

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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