【ネタバレ/感想/考察】『シン・ウルトラマン』の鑑定【ラストは? 怪獣は? キャストは?】

SF
(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『シン・ウルトラマン』です。

『シン・ゴジラ』の精神を継ぎ、日本が誇るSF特撮ヒーローのウルトラマンがもし令和の現代日本に現れたらどうなるかを描くSFアクション映画です。

『シン・ゴジラ』の庵野秀明と樋口真嗣が再びタッグを組んでおり、斎藤工長澤まさみ西島秀俊早見あかり有岡大貴などのキャストが出演。

そんな『シン・ウルトラマン』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

 

■『シン・ウルトラマン』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

映画『シン・ウルトラマン』予告【2022年5月13日(金)公開】

(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

 

(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

■発掘国/制作年:日本(2022)

■上映時間:112分

■監督:樋口真嗣

■主要キャスト

神永 新二:斎藤工

浅見 弘子:長澤まさみ

滝 明久:有岡大貴

船縁 由美:早見あかり

田村 君男:西島秀俊

 

■『シン・ウルトラマン』のネタバレ感想と考察

①ノスタルジーとリアリズムの融合した新解釈ウルトラマン

②怪獣バトル

③ウルトラマンが去った後の地球は?

④マルチバースとは?

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:ノスタルジーとリアリズムの融合した新解釈ウルトラマン

現代日本にゴジラが現れたらどうなるかのホワットイフを描いた『シン・ゴジラ』がメチャクチャドストライクな作品だっただけに、やっぱり期待を裏切りませんでした、『シン・ウルトラマン』! 平成生まれだけど、昭和のウルトラマンのビデオを子守唄代わりにして幼少期を過ごしてきた管理人にとってはむしろ、『シン・ゴジラ』よりもノスタルジックに響くわ響く。まず冒頭のタイトルロールから、往年のファンの涙腺を刺激させる演出が続いたり、まさかのペギラやゴメスといった『ウルトラQ』の怪獣たちが召集され物語に絡んでいるなどニクいネタがテンコ盛り。その後は初代マンのテーマ曲の挿入に加え、建物の倒壊音や怪獣の足の轟音、そしてウルトラマンといえばの怪獣の鳴き声やスペシウム光線の鋭い轟きなど、『シン・ゴジラ』よろしく初代をリスペクトした音響効果がたまらないですよね〜。基本は初代マンネタがほとんどだけど、監督の樋口真嗣が強く影響を受けているからか、メフィラスのベータボックスが光る演出は帰ってきたウルトラマンのそれでした。それでいて決して懐かしいオリジナルネタの羅列と化しておらず、ウルトラマンを令和の現代社会に落としこむ新解釈のリアリズム物語も没入感が強めなのもお見事。

『シン・ゴジラ』とは日本政府の描かれ方が異なってましたね。あちらではゴジラと日本政府の2本柱でストーリーが進んでいて人間側の右往左往は日本政府内にほぼ限定されてました。一方本作ではウルトラマン、禍特対、禍威獣と外星人、そして日本政府と4つの勢力が存在していて、この中でも日本政府は地球外の脅威に弄ばれ翻弄されるだけの立場として『シン・ゴジラ』よりもなりを潜めているのが興味深かったです。あとアメリカに対するアイロニカルや風刺も健在でしたけど、『シン・ゴジラ』ではアメリカや諸外国がゴジラに向ける目は調査か駆除だったのに対し、本作ではその2つに加え、ウルトラマンや地球外科学力に対して兵器としての独占欲・奪取などの下心が垣間見えてました。なるほど、星人という知的生命体や近未来的科学力が絡むと人間の汚れた側面にスポットライトが当てられるというか、そこがまさに『シン・ゴジラ』との差別点になってますね〜。

 

ネタバレ②:怪獣バトル

・ウルトラマンVSネロンガ

初代マンでは、ウルトラマンが3番目に戦った対戦相手であり、よく考えれば初の地球怪獣でもあったネロンガ先輩が参戦。普段は透明で電気を食べると姿が現れるという後のエレドータスなどの怪獣にも繋がる鉄板特性や、電撃ビームを放出する際の3本ツノの活かしたギミックが健在してたのが嬉しい。けど結構あっさりウルトラマンに敗れる咬ませ犬となっていて、怪獣バトル的にはちょっと物足りなかったかな〜。まあ尺の都合上しょうがないか。ただ、ウルトラマンの放ったスペシウム光線がハンドガンパニッシャーみたいに、ネロンガとその後ろの山々も貫通して一閃する光景がカッコ良すぎて痺れました、天晴!

 

・ウルトラマンVSガボラ

ガボラはかなりデザインが一新されてましたね。地中を『トレマーズ』のグラボイズみたいに高速で掘り進み、豪快に山々を砕いていくカタルシスや、首回りのヒレと背中をドリルのように高速で回転させる生物と機械のハイブリッドのような、着ぐるみでは絶対に再現不可能な動きのある斬新な見た目に目を惹かれます。ウルトラマンとのバトルでは、突き出したドリルをウルトラマンの顔に刺そうとして、それをウルトラマンが左右に首を振って避けるという、昭和ウルトラマンでは定番中のド定番である攻防戦ネタが取り入れられていたのが懐かしくもどこか可笑しい。最終的に空手の正拳突きというかブルース・リーのワンインチパンチというか、ウルトラマンがパワー一点凝縮の一撃必殺をガボラの顔面に叩き込む白星の飾り方はイカしてました。

Jing-Fu
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ガボラを退治した後、人類のことを考えてしっかりと「大怪獣のあとしまつ」をするウルトラマンの好感度は、色々な意味で上がって皮肉めいていてサイコーでした笑

 

・ウルトラマンVSザラブ

ザラブ星人、いやザラブ。CGになったことによっておちょぼ口が開いたり体の裏側がスッカスカになっていたり、不気味なのにどこかひょうきんなイメージ。やっぱザラブといったらニセウルトラマンでしょう。まさか『シン・ウルトラマン』でいきなりウルトラマンVSウルトラマンの対戦カードを拝むことができるとは思わなかった。この立ち回りの最大の見どころは、何と言ってもウルトラマンがニセウルトラマンの頭部にチョップを放ち、当たりどころが悪くて逆に痛がるという瞬間に間違いない。コレ、元ネタを知らない人からすればなんでもない場面なんですけど、実はめちゃくちゃ遊び心に溢れた場面でもあるんです。実際に初代マンにて、ウルトラマンがチョップして痛がるというシーンがあって、それがモノホンのアクシデントであったということは初代マンを観たことがある人でも知っている人は多くない。ここでウルトラマンのチョップがニセウルトラマンの硬い目の部分にヒット(よく見ると目の破片が衝撃で割れて飛び散っているのが分かる)してしまい、ウルトラマンのスーツアクターである古谷敏さんがリアルガチに痛がっている様子がNGではなくそのまま本編に使われているんです。本作『シン・ウルトラマン』にて、ウルトラマン同士の殴り合いを眺めていて「・・・まさか・・・?」と思っていた矢先に本気でそれをぶちこまれたのでもうニンマリするしかない。そんなオタクにしか分からないネタをそのまま引用してくる樋口真嗣監督、分かってますな〜☆

 

・ウルトラマンVSメフィラス

メフィラスのデザインはかなりスタイリッシュに生まれ変わってましたね〜。線がかなり細くなっていて、同じく線の細いウルトラマンとの激しい立ち回りには、明らかに総監修・脚本・企画で参加している庵野秀明の『エヴァンゲリオン』からの影響を感じます。初代マンと同じく光線同士の鍔迫り合いはもちろん、お互いにソバットを繰り出して脚で鍔迫り合いするスタイリッシュならではのアクション画も良かったです。
Jing-Fu
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メフィラスを演じた山本耕史の、原作メフィラスの武力で侵略を好まないモットーを反映した、目的を紳士的に告げて物事を論理的に説くも、倫理と価値観が違いすぎて自分では対処ができない「得体の知れない」感を醸し出した演技には圧倒されました。

・ウルトラマンVSゼットン

原作では「宇宙恐竜」という生々しさとロマンを帯びた名前でウルトラマンをKOしてしまったゼットン。本作では生物ではなく、ゾーフィが持ってきた光の国の(?)究極兵器として無機質な佇まいになっていることが驚愕。これはこれで斬新だけど、残念だったのは、前述した山本メフィラスのインパクトが強すぎて、トリとしてはちょっと肩透かしになってしまったことくらいかな〜。

考察①:ウルトラマンが去った後の地球は?

物語は、ゼットンの脅威から地球を救ったウルトラマンにより、再び神永新二に命が与えられて目覚める場面で唐突に幕を閉じます。ウルトラマンとゾーフィが去った地球のその後はどうなるんでしょうか。ゾーフィが今回のゼットンの件で人類の脅威に気付いた宇宙の他の知的生命体に攻撃される可能性がある、みたいなことを言われてたけど、仮にウルトラマンが地球に戻ってこないとすると、人類はウルトラマンに頼らずに外星人に立ち向かわなければいけません。その鍵を握るのが、ウルトラマンが人類に託した「ベータシステム」の技術知識でしょう。『シン・ゴジラ』ではゴジラを地震や台風などの日本とは切っても切り離せない自然災害に置き換え、完全冷凍されたゴジラがその状態から抜け出そうとしており、その後も人類はゴジラの脅威と共生しなくてはいけないというメッセージ性が叩きつけられて完結していました。一方の本作では、地球外の化学知識のみがラストに地球に残った。ウルトラマンは人類がこの知識に自分たちで辿り着き、その暁に完成するであろうベータシステムを好きにして良いとか言っていましたけど、それは何を意味するのか。人類がこの技術を公に手に入れたらどうなるのか。僕は外星人の脅威とか以前に、人類の中でこの技術をめぐって争いや戦争が起こって地球が滅亡すると思います。外星人からも人類は下劣で残酷だと指摘されていたくらいですしね。ウルトラマンも人類が未熟だと理解してましたし、その可能性を払拭できないながらも人類を信じて成り行きを任せたんですかね。とにかく情報量が多い作品なのでもう1回観ないと考察難しいな笑 要するに、技術革命が起こるほどの科学知識を手に入れた人類の行く末をさりげなく暗示しているんですね、きっと。

 

考察②:マルチバースとは?

昨今、特に直近の『ドクターストレンジMoM』によって映画界隈では一種のトレンドとなっている「マルチバース」という単語。ちょっと前にシンゴジラ、シンエヴァンゲリオン、シンウルトラマン、そして公開を控えるシン仮面ライダーの4作品が「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」として繋がりを見せることがニュースになってましたね。本作で「マルチバース」という単語が何回か飛び交っており、だからこそ本作のラストで何かしらマルチバースの概念が具体的に語られると思ってましたが、特にそういったサプライズはありませんでした。同じ実写作品の『シン・ゴジラ』とのちょっとした繋がりとしては、主演の斎藤工をはじめ、総理大臣役で嶋田久作『シン・ゴジラ』でアメリカの一方的な核兵器使用要求に対し「これはあまりにも酷すぎます!」と机を叩いていた人)國本鍾建『シン・ゴジラ』でも本作でも自衛隊役だった強面の人)、そして竹野内豊と、『シン・ゴジラ』とは別の人物設定で同じ俳優が出演していたことくらいかなぁ。この仕様がマルチバースに繋がっているのかは不明ですけど、ひょっとしたら『シン・仮面ライダー』にも本作や『シン・ゴジラ』からのキャストが顔を見せるかもしれないですね。

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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ウルトラマンを好きな人でもミーハーでも楽しめるリアリズムSF映画!

 

鑑定結果:エメラルド映画(☆8)

 

 

■最後に

ネタにされまくっている邦画の新たな黒歴史、『大怪獣のあとしまつ』はコチラ☆

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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