みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『ダウンレイジ』です。
『あずみ』や『ゴジラ FINAL WARS』、最近だと実写版『ルパン三世』の公開が記憶に新しい北村龍平監督による、日米合作作品です。
アメリカの荒野で謎のスナイパーに襲われる若者6人の悲劇が描かれています。
タイトルのダウンレンジとは軍事用語で「戦闘地帯」を意味する単語で、敵の射程圏内にいるという意味でもあるみたいです。
そんな『ダウンレンジ』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。
「衝撃のラスト37秒」の宣伝通り、ラストは中々衝撃的・・・!?
目次
■『ダウンレンジ』のあらすじと基本情報
まずは予告編をどうぞ☆
(C)Genco. All Rights Reserved.
■あらすじ
大学生のカップルであるトッド(ロッド・ヘルナンデス=ファレラ)とサラ(アレクサ・イエームズ)が運転する車は、そこに相乗り乗車をした同世代男女のジョディ(ケリー・コンネア)、ケレン(ステファニー・ピアソン)、ジェフ(ジェイソン・トバイアス)、エリック(アンソニー・カーリュー)を乗せてアメリカの人里離れた荒野の道路を走っていた。しかし突如としてタイヤがパンクしてしまう。タイヤを交換しようと準備を進める彼らを、遠く離れた位置から狙う影があり・・・。
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■原題:Downrange
■発掘国/制作年:日本/アメリカ(2018)
■上映時間:90分
■キャッチコピー:終わりなき、絶望。
■監督:北村龍平
■主要キャスト
ジョディ:ケリー・コンネア
カレン:ステファニー・ピアソン
トッド:ロッド・ヘルナンデス=ファレラ
エリック:アンソニー・カーリュー
サラ:アレクサ・イエームズ
ジェフ:ジェイソン・トバイアス
■『ダウンレンジ』のネタバレ感想と考察
それでは鑑定していきましょう!
ネタバレ①:車の陰から出れば即死のワンシチュエーションスリラー
盾は車のみ。暑いし圏外だし、誰も助けに来ない。
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『悪魔のいけにえ』の冒頭みたいにのほほーんと走っていた若者グループの車が、突如として謎のスナイパーによる襲撃に遭い、身動きも取れずに車の陰に身を潜める羽目になる様子がひたすら描かれる、ただそれだけの非常にシンプルで分かりやすい作品。遊びと恋しか頭にない男女の若者が一人の殺人鬼に襲われるプロットは、まさにハリウッドの往年ホラーのテンプレ。流石は古き良きアメリカのホラー映画をリスペクトしているという、北村監督ならではの設定だね。けどイカれた殺人鬼ホラーと言うよりかは、動かなくなった車の陰から身を出したら即死という限定空間での攻防が描かれる、ワンシチュエーションスリラーと言った方が正しいかな。
車の陰が舞台と聞くと少々地味な印象で、主要人物が6人しかいないのに、その内2人がいきなりスナイプでクリティカルキルをされてしまうので「中々巻きの展開だな〜」と尺も心配になった。でも「スマホの電波が届くところまで車を動かそうぜ!」と大学生たちが社内のシフトレバーを変えることに躍起になったり、その内の一人を車の陰でなく近くの倒木の裏に設置したり、カレンの父親が元軍人ということが判明し、スナイパーの行動を推測した対抗策に打って出たりなど、意外にも観客が退屈しないような工夫がなされていてイイ。
ただ「今はリロード中だから逃げれるわよッ!」と叫んだカレンの言葉を聞いて走り出したエリックが、早速両脚を撃たれて行動不能になるのはヒドすぎて笑った。
ネタバレ②:理不尽な狙撃の恐怖
車がクラッシュするカースタントは中々の迫力。
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スナイパー自体は割と早い段階からその存在がほのめかされており、その風貌が明らかになるのも予想以上に早め。つまり物語は最初から6人の若者グループと1人のスナイパーで構成されていることが前提となって進んでいるため、「今主人公たちが誰にどのように攻撃されているのかが分からない、相手の素性を追って謎を解明していく」といったカオスなサスペンスの楽しみ方はできない。しかし脅威となる相手がネタバレになっているとはいえ、このスナイパー、劇中では全くその素性が明かされることがなく、それが本作最大の恐怖になっている。何でこんな場所でスナイプをしているのか、何で大学生たちをターゲットにしたのかはもちろん、彼がどういう人生を送ってきた人間なのかも全く説明がないのだ。徹底した迷彩装備に身を包み、ギョロリと光る目で常にスコープを覗き込み、一言も発することなく引き金を引き続ける。単に頭がイカれているのか、罰ゲームをやらされているのか、はたまた戦地から帰ってきたばかりで皆から蔑まれ、ひねくれて立てこもってしまったランボーなのかも何にも分からない。で、最後は何の種明かしもなくスナイパーは返り討ちに遭ってあっさり死んじゃうのよね。一連の真相は闇の中・・・。
物語に何かしらの理由とかを求める人にとっては消化不良に陥る結末だけど、何でこっちを攻撃してくるかが分からない意味不明な状況は、理不尽な気持ち悪さと怖さがあって下手なホラー映画よりも怖い。本作がシンプルだと言える点は、この殺人鬼側の無駄な背景とドラマが削ぎ落とされていることも関係している。
幽霊とかサイコパスとかに凝ったバックグラウンドを設定して、彼らが主人公たちに襲いかかる理由を紐解いていくサスペンスホラーが主流となっている日本。そんな中で、日本人である北村監督がこの理不尽殺人鬼ホラーを撮ることができたのはかなり異端なことじゃないだろうか。まあ北村監督はホラー専門監督じゃないし、彼のルーツは日本国外にあるので邦画と比べるのは畑違いかもしれないけどね。
ネタバレ③:ドSな残虐描写
カレンの適当な発言を鵜呑みにしてスナイパーに弄ばれる、不憫なエリック。
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スナイパーによって肉体を撃ち抜かれる描写はかなりグロめ。血飛沫ぐらい飛ばしておけばいいところ、銃弾が貫通した穴にカメラをクローズアップさせ、嫌というほど気持ちの悪い光景を見せつけてくる。その他にも銃弾の勢いで目玉部分が破裂したり、指がグシャっとひしゃげてもげかけたりと痛々しさは強い。確かに見応えはあるものの、既にこときれた死体に車がクラッシュし、頭が吹っ飛ぶわ肉塊になるわでかなり趣味が悪い。過剰なグロサービスの連続には、妙なSっ気を憶えるほどだ。
あと、中盤でこの惨劇に巻き込まれる別の家族が車で通り掛かるんだけど、彼らに対する仕打ちも酷い。もちろんこの家族もスナイパーからの被弾を受けることになって、ママは蜂の巣、パパは火ダルマの刑。後部座席に乗っていた小さい娘は車窓を割って派手に外に飛び出すものの、脇道で何とか一命は取り留める。なるほど、ここからはこの娘を守るというミッションが加わるんだ。その方がドラマに深みが出るし・・・と思っていたのも束の間、ヨロヨロと起き上がった娘はスナイパーの放った凶弾によってナイスキルされてしまう!! なんて非情なシナリオなんだろう。
とても『ルパン三世』の監督とは思えませんでした 苦笑
ネタバレ④:衝撃のラスト37秒とは・・・?
正直、ラストに生き残るのはケレンだと思ってた。しかしカレンは煙を焚いてスナイパーの目を奪った後、怖気づくジョディを放り出して自分だけスタコラサッサしてしまい、煙を出た後に呆気なく撃たれて死亡。そして最後まで生き残り、スナイパーに復讐を果たしたのはジョディだった。冒頭で「妹の誕生日だから、パーティーまでに帰らないと・・・」という安定の死亡フラグセリフを発していて、アガると何もできないクラスに1人はいそうな女子のジョディが、まさかまさかの生き残り。いや、正確に言うと彼女も死にます。死亡フラグセリフはちゃんと機能します。警察のトラックでスナイパーが忍ぶ木に特攻して、地上に落ちたスナイパーを彼のライフルの銃床でボコボコにオーバーキルするんだけど、ライフルを振り下ろした拍子に銃が暴発して、なんと彼女の喉にズドン。「そして誰もいなくなった」の如く、生存者は0の状態で唐突に幕が閉じる。後には沢山の死体を残して・・・。
作品宣伝文句の「衝撃のラスト37秒」はこのことか。
まあ、ある意味衝撃的だったけど、ちょっと素っ気ないかな。
ネタバレ⑤:日本がらみ
前述した、途中で登場するドライブ中の家族のママはどう見てもアジア人。監督が日本人だから、何かしら日本の要素が入ってるだろうな〜と思ってたけど、このママを演じているのはやっぱり日本人でした。調べてみたところ、彼女は吉松育美というモデルさんらしく、2012年のミス・インターナショナル・コンテストで日本人は初の世界グランプリを受賞しているくらいの逸材なんだとか。
どうりで出演時間が僅かながらも美しいわけだ。本作ではスナイパーの攻撃によって指がもげ、クラッシュした車の中で押しつぶされ、全身真っ赤に染まった状態で何発もの銃弾を受けて絶命する通りすがりのママという、モデルとは思えない汚れっぷり100%の役を熱演していました。何でこの映画に出演することになったのか、きっかけは不明。
■鑑定結果
まあツッコミどころは色々ありましたけど、理不尽ワンシチュエーションスリラーとしては手堅い見応えがあると思います!
■映画『ダウンレンジ』はどんな人におすすめ?
・北村龍平監督のハリウッド作品を観てみたい人
・ワンシチュエーションスリラーのジャンルが好きな人
・残酷描写が好きな人
■最後に
『ダウンレンジ』と同じく、以下のワンシチュエーションスリラー作品も鑑定しています。
・『海底47m』
・『クロール 凶暴領域』
・『ライフ』
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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