みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『シャン・チー テン・リングスの伝説』です。
マーベルコミック初の本格カンフーヒーロー、シャン・チーを主人公としたMCU最新作。
これまでのMCUにはなかったスタイリッシュな格闘アクションの連続には圧倒されるばかり。
主演の新鋭シム・リウを初め、オークワフィナ、ミシェル・ヨー、トニー・レオンなどのアジア系スターたちが集結!
そんな『シャン・チー テン・リングスの伝説』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。
他のMCU作品との繋がりは・・・?
目次
■『シャン・チー テン・リングスの伝説』のあらすじと基本情報
まずは予告編をどうぞ☆
(C)Marvel Studios 2021
■あらすじ
世界中に勢力を広げて暗躍を続けてきた犯罪組織のテン・リングス。その首謀者であるシュー・ウェンウー(トニー・レオン)の息子であり、幼い頃から厳しい殺人能力を叩き込まれてきたシャン・チー(シム・リウ)は、初めての殺しのミッションに失敗したのち、根は心優しい性格もあって父親の元から逃げ出し、アメリカのサンフランシスコに落ち着いていた。親友のケイティ(オークワフィナ)と共にホテルマンとしてごく普通の生活を続けていたシャン・チーだが、ある日バスの中で謎のチンピラ集団に昔から身に付けているネックレスを奪われそうになり・・・
(C)Marvel Studios 2021
■原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings
■発掘国/制作年:アメリカ(2021)
■上映時間:132分
■キャッチコピー:最強ゆえに戦いを禁じた新ヒーロー誕生
■監督:デスティン・ダニエル・クレットン
■主要キャスト
ショーン/シャン・チー:シム・リウ
ケイティ:オークワフィナ
シャーリン:メンガー・チャン
シュー・ウェンウー:トニー・レオン
デス・ディーラー:アンディ・リー
レーザーフィスト:フロリアン・ムンテアヌ
イン・リー:ファラ・チャン
トレヴァー:ベン・キングズレー
グアン・ポー:ユン・ワー
イン・ナン:ミシェル・ヨー
■『シャン・チー テン・リングスの伝説』のネタバレ感想と考察
それでは鑑定していきましょう!
ネタバレ①:溢れる香港アクションへのリスペクト!
痺れる構え!
(C)Marvel Studios 2021
管理人は大学卒業時に、ブルース・リーについてを卒論として提出した経緯がある。アメリカと日本が絡むのであればテーマはなんでも良かったので、ブルース・リーが何故未だに人々の記憶から消えないのかとし、人種差別、後に与えた各界への影響をまとめたんだよね。周りの友人が嫌々進めている中、1人だけ好きなことを調べてまとめて順調に進めていたっけ。
とまあ前置きはさておき、この卒論内でアメコミとブルース・リーについて調べた章があって、マーベルミーハーの管理人はここで初めて「シャン・チー」と言う存在を知った。シャン・チーは1970年代のアメリカにおけるブルース・リーブームにルーツがあるらしく、ブルース・リーに衝撃を受けたスタン・リーは格闘系ヒーローとしてシャン・チーとアイアンフィストを生み出したらしい。「ブルース・リーはスーパースーツを身につけない本物のヒーローだ」とスタン・リー自身が語っていることもあり、やっぱりブルース・リーの影響は相当なものだったのかと驚いてた。
下地が本場のカンフー映画ということもあり、本作で構成されている格闘アクションは超・本格的! いやあ恐れ入った! これまでMCU作品では『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』での近接格闘術、『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』でのブラックパンサーの立ち回り(本家『ブラック・パンサー』のアクションには心底ガッカリしたが・・・)が注目されていたけど、それらとはまた一線を下す格闘アクションが本作には詰め込まれており、MCUにおけるアクションの新境地を切り開くことに成功していると思う。「技」と「技」が衝突する格闘術の流麗さにフォーカスしていることがこれまでのMCUとは毛色が異なり、一連の動きをスタイリッシュかつ目で追いやすい、長回しの立ち回りを意識している点がこの上なく素晴らしかった。じっくり本作のアクションを観ていると、70年代のショウブラザーズやゴールデンハーベスト作品、ジャッキー・チェンスタイル、『グリーン・デスティニー』のワイヤーワーク、そしてドニー・イェン確立の総合格闘術など、これまでに香港カンフー映画が築いてきたあらゆる部類のアクションへリスペクトが向けられていることが分かり、この界隈のファンとしては胸が熱くなるばかり。後半からは中盤までの現代格闘アクションから一転、中国ファンタジー風なアクションにシフトするのが意外だったけど、物理を無視した縦横無尽の立体的アクションは流石はMCU! という感じで見応えは抜群でした。
本作でセカンドユニット監督(第二班監督)とスタントコーディネーターを務めたのはブラッド・アラン。ジャッキースタントチーム(成家班)出身のオーストラリア人で、『ゴージャス』ではラスボスとしてジャッキー相手にスピーディかつテクニカルな攻めを魅せていたのが役者として有名なひとときだ。その後は『キングスマン』シリーズや『ソロ スターウォーズ・ストーリー』、『パシフィック・リム』などのハリウッド大作でアクション監督やステントコーディネーターとして縁の下の力持ちを担当してきたと聞けば、本作のアクションに舌鼓を打つのは当然のことだ。歴代MCUの中でも間違いなくトップクラスの殺陣を演出したブラッド・アランだが、なんと先日2021年の8/7に48歳という若さで亡くなったという訃報があって本当にキツかった。本作は公開延期が続いている『キングスマン ファースト・エージェント』と並んで彼にとっての遺作であり、いつか製作されるであろう『シャン・チー』続編では彼が構築するアクションが観れないのが残念極まりない。
エンドロールの最後ではブラッド・アランに捧げる追悼文もあり、製作陣からの多大なる想いが伝わってきました。
ネタバレ②:男心をくすぐるテン・リングスアクション
見よ!この男が喜びそうな厨二病の構え!
(C)Marvel Studios 2021
本場仕込みのカンフームーブメントはもちろんだが、トニー・レオン演じるウェンウーが操るテン・リングスを用いたガジェットアクションも見逃せない。チャウ・シンチーの『カンフー・ハッスル』に登場する洪家鐵線拳の使い手チウ・チーリン、彼が両腕に多数通して武器としていたジャラジャラうるさい鉄の輪っかが真っ先に思い浮かぶ伝説の武器、それがテン・リングスだ。単に攻撃で押したり相手の攻撃を防御するだけではなく、腕から外して自由自在に飛ばしたり、大砲やムチのような扱いができたり、まるで伊藤家の食卓みたいな使い方ができてMCUならではのド派手でダイナミックなアクションも健在であった。用途が千差万別のテン・リングス、これがまた完全に厨二病の動きや構えで、いちいち男心にグッと刺さってくるので興奮必至、ヤバいですよ・・・笑
10個のリングを片腕に集めて力を凝縮させて放つ「極・ワンインチパンチ!」みたいな技が個人的なツボでした。
・トニー・レオンVSファラ・チャン
冒頭のウェンウーと神話の村ター・ローの守護者であるイン・リーの出会いと闘い。シャン・チーとシャーリンの誕生、そして後のウェンウーの暴走につながるきっかけを生むことになる重要なシーンだが、ここで早速カンフー映画ファンを唸らせる立ち回りが展開される。70年代のクラシカルカンフーを思わせる「パン!パン!パン!」という手捌きと挙動は、往年のカンフーを現代版にアップデートさせることを念頭に置いていた、ドニー・イェンの『捜査官X』の雰囲気に近いかな。そこから続く空中を滑らかに動き回って応戦し合うのはまさしくキン・フー作品や『グリーン・デスティニー』を意識しているのが分かる。美しい緑の竹藪に囲まれた幻想的なステージには、古典的かつ武侠チックなアクションがよく似合うというわけだ!
・バス車内での立ち回り
ジャッキー・チェンの動きもリスペクト!
(C)Marvel Studios 2021
シャン・チーにとって初の見せ場となるアクションシーン。ブレーキが効かなくなり暴走し続けるバスの中で敵と闘うという、まるで『スピード』と『ポリス・ストーリー』が融合したかのような大胆なアクションシークエンスとなっています。バス車内で単に殴り合うのではなく、車内という狭い空間をフルで活かしつつ、狭いにも関わらずカメラワークがシームレスで見やすいのにはぐうの音も出まい。
ここでのアクションにはジャッキー・チェンのスタイルが持ち込まれていて、シャン・チーが座席や手すりを猿のようにスルスルすり抜けていく動きは、いかにもジャッキー・チェンがやりそうな立ち回り。おまけに一瞬だけ、シャン・チーが着ている上着を利用して相手を絡め取る動きを見せるんだけど、これは明らかに『レッド・ブロンクス』冒頭でジャッキーがチンピラ相手に披露したトリッキーな技に目を向けてるよね! 両側にいる相手にその場でジャンプして蹴りを突き出すシャリバンキックも眼福で、導入部としては最高のアクションシーンでした!
・マカオでの闘い
シャン・チーと妹のシャーリンが拳を交える闘技場でのバトル。跳ね起きでシャリーンの蹴りを交わしつつ即座に起き上がるのが、これまたジャッキー映画で何度も目にしてきたテンプレ技! 泥臭く相手の足を絡めてマウントを取り合う様子には、『導火線』や『スペシャルID 特殊身分』におけるドニー・イェンからの影響を感じる。その後はテン・リングスの介入によって闘いのステージがビル側面の竹の足場(中国や香港圏では、建物の工事などに足場として実際に竹が利用されている)へとチェンジ。まるでジャッキーの『ラッシュ・アワー2』をアップデートしたかのような高所特有のヒヤヒヤアクションに仰天しっぱなしだった。
「中国の竹は、絶対折れない〜!」とジャッキーが言ってたけど、また折れちゃいましたね〜笑
シャン・チーと彼の師匠とも言えるポジションのデス・ディーラー戦では、驚くべきナイフバトルが勃発。超至近距離・超高速で互いにナイフを振り回しては受け止める応戦合戦の隙に、テクニカルな足技を突っ込んで形勢を奪い合う立ち回りは、『ザ・レイド GOKUDO』ラストのカランビットナイフ戦を凌駕してしまいかねない恐るべきアクションになっている。その途中、シャン・チーがデス・ディーラーのナイフを弾いて空中キャッチするシーンは、驚くなかれ、なんとシム・リウが175テイクを費やして実現させたプラクティカルアクションなのだという! 骨身を削る姿勢こそまさしく全盛期のジャッキーみたいなプロ精神だし、心なしか、ナイフをキャッチするまでとした後のほんのちょっとした顔と手の挙動なんかもかなりジャッキーっぽかった。
デス・ディーラーを演じているのは、アメリカで多くのインデペンデントアクションを手がけてきた独立系アクショングループ「マーシャルクラブ」の創設者であるアンディ・リーという人らしいです。
・シム・リウVSトニー・レオン
善の道に進んだ息子と悪の大ボスである父親とのラストバトルでは、本作ならではのオプションであるテン・リングスによってMCUらしいダイナミックなスーパーアクションが観れます。ウェンウーが連続で繰り出すテン・シングス弾をシャン・チーが棒のしなりで弾いていく様子は、ジェット・リーが『少林寺』や『SPIRIT』で披露した槍術よろしく中国武術っぽい動きだった。
これは余談なんだけど、シャン・チーとウェンウー、お互いがテン・リングスで相手を「押す」のではなく「引き合う」鍔迫り合いになるシーンがある。相手が攻撃対象であるにも関わらずに押さずに引く。これはひょっとして、既に崩壊してしまった家族関係ではあるが、2人とも心のどこかでは再び家族として戻りたいと願っている、そんな心情を表していたのかもしれませんね。考えすぎか・・・?
ネタバレ③:隙がないアジア人キャスティング
主人公シャン・チーを演じたシム・リウはカナダ系の中国人俳優。なんと本作以前にはアクションの経験がほぼ皆無だったというから驚き! そんな経験の浅さを感じさせないアクションへの励みと肉体作り、そしてユーモアと親しみを感じさせる人柄に一気にファンになってしまいました。
『インファナル・アフェア』や『レッド・クリフ』などで知られるトニー・レオンは、決してカンフースターというわけではないにも関わらず、悪役のウェンウーとして力強く暴れ回っていました。それだけでなく、悪役ながらも妻を失った喪失感に溺れて自分なりの正義を貫き通す複雑な心境を、哀愁漂う演技と大物オーラで卒なくこなすあたり、さすがはアジア圏の代表格俳優であることを再認識させられた。
シャン・チーの伯母であるイン・ナンを演じたミシェル・ヨーも、流石は周囲とは異なる風格で、全盛期のジェット・リーを彷彿とさせるような、円の動きが非常に優雅で美しい太極拳のムーブメントは圧巻だった。
実はミシェル・ヨーは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でラヴェンジャーズの一員としてカメオ出演しており、本作はMCUにおける2個目の役柄で、全くの別人物と考えて良さそう。
ケイティ役のオークワフィナは全然演技をしてなかったですねー笑 というのも、ケイティは「友達に彼女がいてツルむと楽しそう」という、彼女の素がそのまま反映されている非常にユニークな役柄で、シャン・チーとの親友以上恋人未満の関係におけるやり取りや絡み方には万人が笑顔になること間違いなし。
そして忘れてはいけないのが、ター・ロー村の弓使いとして登場したおじいちゃんのグアン・ポー。彼こそは七小福出身、つまりジャッキーやサモ・ハンと同じ釜の飯を食ってきたスタントマン出身名優、ユン・ワーであらせられるのだ。『燃えよドラゴン』ではブルース・リーのスタントを担当し、『サイクロンZ』や『イースタン・コンドル』などで一癖あるラスボスを演じたり、『カンフーハッスル』の大家さん役が1番の有名どころだろう。満を持してのハリウッド進出となったユン・ワー。本作における一番と言っても良いほどの衝撃的なサプライズ出演でした!!
ネタバレ④:MCUとの関連性
単独作品として申し分のない面白さを誇る本作だが、フェーズ4の新規ヒーロー映画第1号を担っていることもあり、他作品との交わりも非常に多く見受けられた。
本作の悪役ポジションであるグループのテン・リングスは、MCU超初期作の『アイアンマン』から登場していたこともあり、本作でその実態がようやく明かされた事になる。マカオの闘技場におけるワンシーンでは体がオレンジに光るエクストリミス・ソルジャーが闘いに興じていたり、過去にマンダリンを「演じて」いたトレヴァー・スラッタリーが出てきたりと『アイアンマン3』ネタがよく絡んでいた。他にも『ドクター・ストレンジ』のウォンと『インクレディブル・ハルク』の悪役であるアボミネーションが何故か闘っていたり、エンドロール後にはキャプテンマーベルやハルクことブルース・バナーが登場。テン・リングスが全く未知の素材でできていることと、この中から謎のビーコンが発信されていることが判明し、シャン・チーたちが今後のMCU作品にも深く関わっていくことが仄めかされていた素直にドキドキ。MCUならではの醍醐味だね。
その後にはシャーリンによって解体が進んでいたテン・リングスの現状として、過去よりも多くの女性が鍛錬に励んでいる様子が映って幕を閉じる。シャーリンがどういう思惑なのか(まさか闇落ち?)分からんけど、解体というよりかは組織を改変しているような感じ。「テン・リングスは戻ってくる」というメッセージもあったため、この新生組織が今後どのようにシリーズに関わってくるかがめっちゃ気になる!
ネタバレ⑤:日本がらみ
・相撲と柔道
マカオの闘技場内において、個室の中で相撲取りと柔道家が闘っている様子が映っている。相撲取りが圧勝してた。
・カメハメ波
ター・ローでの激戦を語るケイティが、シャンチーがモンスターに放った技のことを「クレイジーカメハメ波」と表現していた。これはあながち的外れな発言ではなく、このシーン意外にも本作のテン・リングスアクションには、少なからず『ドラゴン・ボール』がもたらした影響も反映されているのかもしれませんね。
■鑑定結果
MCU×カンフーの化学反応は期待以上のクオリティと大迫力! 間違いなく、MCUにおけるトップクラスの格闘アクションを観ることができます!
■映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』はどんな人におすすめ?
・MCUファンの人
・これまでのMCUアクションとは毛色の異なるアクションを観たい人
・大作でのアジア人の活躍を堪能したい人
■最後に
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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