みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『ジングルオールザウェイ』です。
アクションスターとしてお馴染みのアーノルド・シュワルツェネッガー主演で贈るクリスマスを舞台にしたドタバタコメディ作品を、クリスマスシーズンということでチョイスしてみました。
それでは早速鑑定していきましょう!
目次
■作品情報
・基本情報
©1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
■原題:Jingle All the Way
■発掘国/制作年:アメリカ(1996)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:ブライアン・レヴァント
■製作:クリス・コロンバス
■主要キャスト
ハワード:アーノルド・シュワルツェネッガー
マイロン:シンバッド
リズ:リタ・ウィルソン
ジェイミー:ジェイク・ロイド
テッド:フィル・ハートマン
ハンメル巡査:ロバート・コンラッド
・あらすじ
運動器具を取り扱う会社の社長を務めるハワード(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、仕事に追われて忙しい毎日を送っていた。それ故にハワードは家族との時間を疎かにしてしまいがちになっており、8歳の息子のジェイミー(ジェイク・ロイド)からの視線は冷ややかになっていた。挙句の果てに見に行くと約束をしていたジェイミーの空手教室の昇段式にも間に合わず、ハワードはジェイミーからの信頼を失ってしまう。ジェイミーの機嫌を取り戻すために、ハワードはジェイミーが大好きなヒーローの「ターボマン」フィギュアを翌日のクリスマスプレゼントとして贈ることを決意する。ひとまずジェイミーと仲直りすることができたハワードだったが、実は妻のリズ(リタ・ウィルソン)から1週間前にターボマンフィギュアを予約するよう頼まれていたことをうっかり忘れていた。詰め寄るリズに対して「会社に置いてある」と嘘をついて誤魔化したハワードは、クリスマスイヴ当日に買えば大丈夫と安心するも、リズから「大人気商品でどこにも在庫がない」と聞かされ青冷めるのだが・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
ハリウッドのアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演したクリスマス・コメディ映画です。肉体派のシュワちゃんがコメディ作品に出演しているのはあまりイメージが湧かないかもしれませんが、彼は「アクションしかできない俳優」という烙印を押されまいと、80年代後半から90年代半ばにかけて本作を含むコメディ作品に何本かトライをしていました。スタローンも同時期に同じようなことをしていたので、アクションスターの新境地開拓は喜劇が鉄板となるらしい。
そんな本作では、クリスマスを舞台にシュワちゃん演じる主人公パパが子供のプレゼントをゲットするために大奮闘する姿が描かれている。シュワパパが他のライバルたちと大人気おもちゃの争奪戦を繰り広げて所かまわず大暴れする典型的なドタバタ系コメディ作品だが、笑わし方はいずれもくだらなく、終盤に至っては非常に低俗な演出が目立つため苦手な人にとっては見るに堪えない内容かもしれない。だが『ツインズ』や『ジュニア』などといったシュワちゃんの他コメディ作品に比べて、下ネタなどによる下品な笑いの取り方をしていないこともあって子供でも気軽に観れるのは好印象。実は『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッターと賢者の石』などの監督で知られるクリス・コロンバスが製作に参加をしており、ハートフルな家族愛をテーマにしていることも万人が手に取りやすい理由の1つだ。シュワちゃんの顔と体を張ったコメディ演技は大いに評価できます。
ハワードの妻のリズ役にはトム・ハンクスの伴侶であるリタ・ウィルソン、息子のジェイミーには後に『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』でアナキン・スカイウォーカーの幼少期を演じて名を馳せるジェイク・ロイドが起用されており、意外に豪華なキャスティングなのも注目したい。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・パパたちの何でもアリのクリスマス戦争!
我が子へのプレゼントのためなら手段は選べねえ・・・。
©1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
日本でもクリスマスシーズンには、トイザらスなどおもちゃ屋に行列を成して並ぶ世のパパさんたちの姿がたまにニュースで流れたりするよね。会社帰りのくたびれたスーツ姿で、我が子へのプレゼントを抱えてレジへと向かうパパさんたちの勇姿は涙無くしては見れないが、本作は早い話がそんなクリスマス名物の光景を映像化した作品だ。数の限られた大人気商品を巡って、それを奪い合い共に殴り合うお父さんたちのクリスマス戦争をね・・・。
いやいや、さすがにそこまではやってない・・・ 笑
と少々盛りすぎたけど、「おもちゃ屋でのクリスマスプレゼント品切れ騒動」に着目し、それをオーバー気味で滑稽、スクリーン映えするエピソードに仕立てているのは中々面白い試みだ。劇中ではハワードを始め、おもちゃ屋に「ターボマンフィギュア」を求めて大勢の大人たちが殺到する場面が多い。「物売るってレベルじゃねえぞ!!!」という名言が聞こえてきそうなほど人でごった返している空間の中で、そのセリフ通り大人たちの意地と尊厳をかけた、しかしながらデリカシーを欠いた戦争は最高にくだらなくて笑える。列の無視なんて序の口で、押して奪って噛みつくなどやりたい放題。シュワちゃんのアクションスターステータスはちゃんと意識されていて、ハワードも負けじと強烈な拳を突き出し、ショッピングモール内や街中を縦横無尽に暴れまわるファンサービスとも呼ぶべき見せ場があるのが、他の単なるコメディ作品との差別化ポイントだ。
ハワードとターボマンフィギュアの覇権を競うことになるのが、アメリカの名コメディアンのシンバット演じる黒人郵便配達員のマイロンだ。何かって邪魔が入ると「人種差別だッ!!」とわめくお調子者キャラのマイロンとハワードの掛け合いがこれまた可笑しい。2人はおもちゃ争奪戦では抜きつ抜かれつの熾烈な争いを展開するも、結局品切れで手に入らず、インターバル中に互いのプライベートの悩みを打ち明け合うほどの仲になるも、別の店に在庫があると聞くや否やすぐにライバルに逆戻り・・・がひたすら繰り返される。2人の罵り合いはなんとも幼稚で、困ったらとりあえず暴力に走って妨害するという、まるで中2の喧嘩を見ているかのようなバカバカしさがあって嫌いにはなれない。
・安定したクリスマス・ホームコメディ
飛んで、走って、そして殴るシュワパパ!
©1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
現時点でシュワちゃんが本格的に主演した最後のコメディ作品であり、それまで何本か出演をしてきた同ジャンル作品で喜劇の要領は得ているようで、シュワちゃんのコミカル演技は観ていて普通に面白い。体格が大きいこともあって1つ1つのリアクションが派手でインパクトも大きいし、目を見開くようなひょうきんな顔も良い味が出ている。キリっとした男前な顔立ちが印象的なシュワちゃんだが、実は笑うと笑顔が弾けるようなユーモアのある人物なので、ある意味スタローンよりもコメディ作品に恵まれてるんじゃないかな。
監督は後にジャッキー・チェンと『ダブル・ミッション』で組むことになるブライアン・レヴァント、そして製作にはクリス・コロンバスが名を連ねていることからも、本作が家族向けのスラップスティックコメディとしての安定感を持っているのがよく伝わってくる。そんな製作陣からの要望に体を張って応えているシュワちゃんの演技も作風と程よくマッチしているので、『ホーム・アローン』が好きな人ならきっと楽しめるはずだ。
おもちゃの違法商売をしている工場でトラブルに巻き込まれたハワードが、突入してきた警察官たちに取り押さえられそうになったところ、そばにあった警察バッジのおもちゃを利用して潜入捜査官を装うくだりが、個人的にはくだらなさ過ぎてツボに入った。
「さっと見せてパッと閉じれば誰も気づかねえ」って、『ラッシュアワー』でクリス・タッカーも言ってたもんねえ 笑笑
・シュワちゃんの赤っ恥パレード
ジャジャンとターボマン!! 本人も少なからずこの過去は抹消したいと思っているはず・・・。
©1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
さて、本作の問題シーンは終盤のクリスマスパレードの場面にある。このパレードの主役はもちろんターボマンのパフォーマンスなのだが、ここでひょんな勘違いでハワードがターボマンになってしまい、不本意ながらもジェイクが大好きなターボマンとしてパレードに参加することになる。ハワードが本物のターボマンになって活躍をし、ジェイクからの信頼を取り戻すというなんともご都合主義な展開だが、最終的にターボマンフィギュアが手に入ったのにも関わらずそれを手放したジェイクが「家に本物のターボマン(ハワード)がいるからいらない!」と言い放つのは中々洒落ていてちょっと好き。
だがそこに至るまでの経緯に難があり。まずターボマンの衣装がびっくりするくらいクオリティが低い。いや、所詮はそこそこのパレードやヒーローショーの衣装の出来はこんなものなのかもしれなく、そう考えるとリアルっぽいのだが映画としてスクリーンに映るとどうにもビミョー。衣装チェンジを溜めた割には正直出オチにもなっておらず、エキストラという名の大衆の前で必死に演技をしているシュワちゃんが心の中で赤面しているのが見え隠れするくらいダッセエ 笑笑 パレード中の出し物として用意されているパフォーマンス進行も物凄く子供ダマしな「なんじゃそりゃ」の連続で、真面目が取り柄のような人にとってはしんどい鑑賞になりそう。
多分シュワちゃん史上、最も赤っ恥な時間だったでしょうよ。
極めつけとして、ハワードがターボマンの装備であるジェットパックを使って空を飛ぶシーンも実にシュール。パレードの出し物の枠を超えて、アイアンマン顔負けのスピードと飛行能力でビルの間を飛んでいく、まるでギャグのような映像には失笑するしかない。しかも役者と背景の合成のレベルが、映画界にCGが導入され始めた当時の水準と比べても明らかに低くて違和感バリバリで、「ああ、もう予算がなかったんだろうな~」と見ていて涙をこらえるのが辛いよ。
■日本がらみ
ジェイミーは空手教室に通っている。冒頭、昇段式に行けなかったハワードは不機嫌になったジェイミーのご機嫌を取ろうと空手の話題でオーバーに絡んでくるが、帯をハチマキのように頭に結んだり、空手なのにブルース・リーのような雄たけびを上げてカンフーの鶴の型を構えて・・・、ともう滅茶苦茶。ハワードがそれだけジェイミーのことを理解していないというあえての演出かもしれないが、まあ、所詮白人社会での空手イメージなんてこんなもんだ。
■鑑定結果
あまり知名度は高くないけど、シュワちゃんのコメディ作品って貴重だし、『ホーム・アローン』系の作品が好きな人は観て損はないと思うので、今年のクリスマス映画にいかがでしょうか。
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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