【ネタバレ/感想/考察】映画『オールド』の鑑定【ラストは? 老化の謎は?】

スリラー
(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『オールド』です。

『シックスセンス』『アンブレイカブル』などの名作ホラー&スリラーで有名なM・ナイト・シャマラン監督の最新作である本作。

穴場ビーチを訪れた人々が、そこで急速に歳を取って老化していってしまうという異常事態に襲われる様子を描くサバイバル・スリラー作品です。

不可解な状況の連続と、シャマラン監督の持ち味である巧妙な伏線から目を話せません。

そんな『オールド』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

急速な老化の原因は実は・・・!?

 

■『オールド』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

人が急速に老化する奇妙なビーチ…M・ナイト・シャマラン監督『オールド』日本版予告編

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■あらすじ

インターネットで偶然見つけた格安ホテルリゾートへバカンスにやってきたカッパ一家。父親のガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)、妻のプリスカ(ヴィッキー・クリープス)たちは、ホテルの支配人から特別なプライベートビーチへと招待され、娘のマドックス(アレクサ・スウィントン)と息子のトレント(ノーラン・リヴァー)ら幼い子供達も連れてビーチへと向かう。ビーチには他にも何人かの家族やペアが到着しており、それぞれが思い思いの楽しい時間を過ごしていたが・・・

 

 

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■原題:Old

■発掘国/制作年:アメリカ(2021)

■上映時間:108分

■キャッチコピー:そのビーチでは、一生が一日で終わる。

■監督:M・ナイト・シャマラン

■主要キャスト

ガイ:ガエル・ガルシア・ベルナル

プリスカ:ヴィッキー・クリープス

マドックス(16歳):トーマサイン・マッケンジー

トレント(15歳):アレックス・ウルフ

チャールズ:ルーファス・シーウェル

クリスタル:アビー・リー

カラ(15歳):エリザ・スカンレン

ジャリン:ケン・レオン

パトリシア:ニキ・アムカ=バード

セダン/ブレンダン:アーロン・ピエール

運転手:M・ナイト・シャマラン

 

■『ダウンレンジ』のネタバレ感想と考察

①老いと成長がテーマの物珍しいスリル

②シャマラン節が効いているものの・・・

③あの人は実は・・・

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:老いと成長がテーマの物珍しいスリル

美しいプライベートビーチ、実は・・・

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穴場のビーチを訪れた人々が、そこでは何故か30分に1年の速さで肉体が成長と老化していくことに気付き、1日で寿命が尽きることを悟ってビーチを離れようとするも、いかなる方法で逃げようとすると気絶してしまい・・・そんなお話。我が子の身長が低いことを懸念してセノビーとかサプリを買いまくるお母さんもドン引きしそうなほど、過剰な成長促進剤付きのビーチである。

Jing-Fu
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『ロスト・バケーション』と言い、まったく穴場のビーチなんて所はロクなことがありませんね〜笑

 

成長、老化、衰え、そして病。地球上に存在する命を持つ生物に与えられた自然の摂理と、人間の生涯の中で様々な壁として発生する障害など、人間が生きていく上で避けては通れない事象をテーマにしているのが非常に物珍しい。それまで同じような年齢と老いをトリッキーに扱った映画って、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『TIME/タイム』くらいしか思いつかなくて、これらの事象を恐怖と結びつけて描く本格的なスリラー作品って本作が初めてじゃないかなぁ。

急速に進む成長と老化がもたらすイベントを、様々な角度からの焦燥や恐怖として機能させているのがいかにもM・ナイト・シャマランらしい作風。単に「体が衰えて死に向かっている」ことだけが恐ろしいのではなく、状況が理解できない気持ち悪さや、6歳で童貞と処女を喪失してしまう、心が体の成長に追いつかずに本能だけで物事を進めてしまった子供の不道徳さ、そして人間不信と精神疾患から滲み出すカオスな展開など、居心地の悪さを強調するシナリオも優秀だ。止めどなく巻き起こる奇奇怪怪な出来事の連続で一瞬たりとも目を離すことができなくて、悪化の一途を辿る得体の知れないシチュエーションは下手なホラー映画よりも断然怖かったです。

 

Jing-Fu
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特に一番頼りになりそうな医者が精神疾患でイカれて一番の脅威になってしまう絶望感には寒気が走りますね。

 

キャラクターたちは歳を取るにつれて演じている役者が変わっていくんだけど、6歳からトントン拍子で成長していくマドックスとトレント兄妹は風貌と雰囲気が絶妙に似通った俳優を集めて3〜4人で演じ分けているのが面白かったし、ハナから大人だったキャラたちは見た目にもシワがどんどん増えていくのが、特殊メイクかCGか分からんけどリアルだった。

Jing-Fu
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関係のこじれていた夫婦と子供の再起が描かれる定番の家族ドラマは安定ですが、成長、妊娠、出産、老化、身体機能の衰え、両親の介護、看取りといった、残された僅かな時間の中に凝縮された人生の縮図みたいなイベント展開が興味深かったです。

 

ネタバレ②:シャマラン節が効いているものの・・・

このビーチに隠された秘密とは・・・

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シャマラン監督作品らしく、本作にも序盤〜中盤までには「伏線」が随所に張られていて、それらが次第に繋がり合ってラストへと突き進んでいく巧妙さは見応えがあった。結論から言えば、ビーチで急速に老化していく原因はビーチではなく、ビーチを取り囲んだ高い岩の壁にあったみたい。深海から伸びるとされるこの岩から発せられる成分?が肉体の老化を促す力を持っているらしく、んなアホなとも言いたくなるし、わざとらしくも妙に生々しさを感じるケレン味ある設定が斬新だ。地球のどこかにそんな場所、なんだかありそうだもんね。

中盤まではビーチからの脱出方法は全く読めないけど、ホテルでトレントが仲良くなっていたホテルオーナーの甥であるイドリブが描いていた暗号の解読で、終盤に物語が一気に動く。なんと老化を防ぐのは岩の成分を否定する成分を持つ「サンゴ礁」で、海中のサンゴ礁のトンネルを泳いでいけば気絶することもなく脱出できるのだ! ちょっと軽いな。

で、結局全ての元凶は主要人物たちをこのビーチに勧誘したホテルのオーナーだった。このホテル、序盤から部屋に置いてあった様々な薬が伏線となっていて、表の顔はリゾートホテルで、裏の顔はとある製薬会社の実験場だったということが判明する。ホテルのオーナーは身体に何かしらの病気や疾患を持つ人間をターゲットにし、その人とその家族やペアを口車に乗せてビーチに送り込んでいた。なんとこいつら、客がホテル到着した直後にカクテルと偽った病気に対する試作特効薬を飲ませており、ビーチでこの薬の効き目が出るかを観察していたのだ。つまり、一生が1日で終わるほど時間が速く進むビーチであれば、特効薬が何年間病気の進行を食い止められるかが1日で分かる。通常であれば何十年もかかる臨床実験をあっという間に終わらせ、利益を独占できるというわけ。

Jing-Fu
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自社の利益のためには手段を選ばない、ポストアンブレラ社みたいな奴らだったのだ!

 

オチとしてこのビーチの特性を黒幕に100%利用させている設定は素晴らしかった。「うわあ、上手いな」という素直な感じ。ただし、これがシャマラン監督節の一つである「ドンデン返し」になっているかと問われれば微妙なところ。というのも中盤からビーチを遠くの山から観察する存在が何回かほのめかされていたり、トレントもその存在に気付いていたりと、今回の事件が説明のつかない自然現象によることオンリーなのか、第3者が絡んでいるのかがいとも簡単に分かってしまう。シャマラン監督作品にしては、ラストへの繋げ方がやけに親切設計じゃないだろうか。結局ビーチから無事脱出したトレントとマドックスによってホテル側が告発されるラストも見事なまでに綺麗だった。伏線の張り方と活かし方は秀逸だったけど、オチが少々弱かったかな〜。

事件が一件落着しても、たった1日で生涯の半生を失ってしまったトレントとマドックスの実態は、「大丈夫よ」と本人が言うも、美しいビーチの景色と反してなんとも後味が悪かった。ドラえもんの「無人島へ家出」で、たった1ページで10年歳を取り、タイム風呂敷で元の年齢に戻って10年間の記憶を持ったまま小学校に通うことになったのび太じゃないけど、年齢と中身が釣り合わないことによるやるせない感情に支配されてしまいました。

Jing-Fu
Jing-Fu

なんとなく、コロナウィルスのパンデミックによって貴重な学校生活や青春が奪われ続けながらも、止められない人生の時計の針を進めている、まさにたった今を生きる子供たちと重なりませんか・・・?

 

ネタバレ③:あの人は実は・・・

看護師のアジア人男性はあの人!

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ビーチを訪れた内の1人、唯一のアジア人中年男性であるジャリン。この人を観ていて、『ラッシュアワー』とか『ソウ』ケン・レオンが歳食ったらこんな感じになるんだろうな〜。・・・と、ぼんやり考えていたんだけど、エンドロールを観ていてなんとまさしくケン・レオンご本人だったことが分かり、本編以上に素直にビビりました 笑 『スター・ウォーズ フォースの覚醒』でレジスタンスの一員役でちらっと顔出ししていたぶりにこの人を新作で観たけど、もうこんなにオッサンになってたんだ・・・。看護師という役柄もあり、人情あふれる優しいキャラクターで好感が持てます。

もう1人、自撮り写真を撮れるくらいスレンダーナイスバディなヤンママのクリスタルを演じていたのはアビー・リー。なんと薬物映画として大人気の『マッド・マックス 怒りのデスロード』にて、ワイブスという5人の美女の内の1人である、スレンダーなブロンド美人で植物の種を抱えていたザ・ダグ役の女優さんだった。それで納得のスタイルの良さだったのね。

あとはツイッターのフォロワーさんから教えてもらいましたが、16歳のマドックスを演じていたのは『ジョジョラビット』のエルサを演じていたトーマシン・マッケンジー。15歳のカラを演じたエリザ・スカンレン『ストーリーオブマイライフ』に出演していたりと、ハリウッドで活躍中の人気子役も集まっていたみたいです!

Jing-Fu
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ちなみにシャマラン監督作品の恒例事業として、シャマラン監督本人はホテルの客をビーチへと誘うバス運転手でありながら、彼らの実態を観察する要員役で出演してます。

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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他に類を見ない独特なスリラーと終盤までの展開と伏線の張り方は見事なものの、ラストに向けて失速した感じは否めない。それでもシャマラン監督作品として手堅い興味深さはあります。

 

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)

 

■映画『オールド』はどんな人におすすめ?

 

M・ナイト・シャマラン監督作品が好きな人

・もの珍しいスリラー作品を観たい人

・伏線が好きな人

 

■最後に

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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