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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『悪人伝』です。
次々と新作を放出する旬の韓国スター、マ・ドンソクの新作を、公開日である昨日に早速観てきました!
■作品情報
・基本情報
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■原題:악인전 /The Gangster, the Cop, the Devil
■発掘国/制作年:韓国(2019)
■キャッチコピー
世界が熱狂した凶悪ヴァイオレンス・アクション!
・監督、キャスト
■監督:イ・ウォンテ
■主要キャスト
チャン・ドンス:マ・ドンソク
チョン・テソク:キム・ムヨル
カム:キム・ソンギュ
・あらすじ
ヤクザのボスであるチャン・ドンス(マ・ドンソク)は、ある夜に車を運転中、後ろから追突をされる。
車を降りたドンスは、追突してきた運転手に突如ナイフでめった刺しにされるが、なんとか犯人を返り討ちにして一命をとりとめた。
一方、署内でも手に負えない荒くれ刑事のチョン(キム・ムヨル)は、最近何件も起こっている謎の殺傷事件とドンスが刺された事件の犯人が同一人物で、これは世間が気づいていない連続無差別殺人と推測し、独自に捜査に乗り出していた。
謎の殺人鬼に襲われた被害者の中で唯一の生存者であるドンスに目を付けたチョンは、犯人の手掛かりと協力を得て逮捕に向かうために、ドンスに共闘の話を持ち掛ける。
ドンスは手下を使って犯人を詮索中で、犯人を見つけて見せしめのために殺そうと動いていた。
利害の一致した2人は、どちらが先に犯人を捕まえるかを競い、互いに敵意を向けたまま手を組むことになるのだが・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
現代の악인전は直訳すると「悪人」、英題は「The Gangster, the Cop, the Devil」=「ギャング、刑事、悪魔」と直球なタイトルが分かりやすくて好ましい。
ここでの「悪魔」は、無差別殺傷事件の犯人であるサイコパスのことを指しています。
絶対に手を出してはいけない凶暴なヤクザと、武井壮を水で2割薄めたような荒くれ刑事が手を組み、共通の敵である謎の殺人鬼を追うことになる韓国産のバイオレンス・クライムアクション作品だ。
今をときめく韓国スターのマ・ドンソクが主演し、持ち前の強面を活かしてどう見ても本物にしか見えないヤクザのボスを演じている。
韓国映画特有のバイオレンス描写はそこまで強めではないものの、マ・ドンソクの存在そのものがバイオレンスで、相手を粉砕するパンチはもちろん、鼓膜破壊ではすまない連続ビンタの凄まじいこと凄まじいこと。
ヤクザのボスと刑事が手を組むという異色のコンビ、共闘とは言いつつも互いを出し抜いて牽制し合う捜査、どんどんカオス化していく極道と警察内部など、真逆の世界が混ざり合う化学反応がどこかシュールな一面もあり、複雑ながらも斬新な韓国ノワール映画の新たな境地を観ることができた!
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・筋はビンタで通すマ・ドンソク
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映画においてヤクザやマフィアという役柄は比較的に多い。
しかし、見た目だけで「こいつは本気でヤバい」と本能的に恐怖を感じる俳優は決して多くはなかったりする。
相手を萎縮させる目つき、ドスの効いた声、威圧感120%の屈強な体つき。
近年でここまでヤクザ役に必要な見た目を持つ俳優としては、間違いなくマ・ドンソクことマブリーが筆頭に上がるだろう。
スタローンやシュワちゃんのような鍛え上げられた筋肉の迫力とはまた異なる、相手を掌握して潰し込んでしまうような圧迫感が、ヤクザという役柄によって助長されている。
そんな彼が上物のスーツに身を包み、タバコをふかしながらサングラス姿でこちらに歩いてこれば、それだけで「死刑宣告」のようなもので、もしかしたら今までで一番怖いマブリーを観たのかもしれない。
もちろんマブリーの凄みは見た目だけではなく、暴力アクション中も折り紙付きだ。
冒頭でドンスがサンドバックを使ってトレーニングをしているのだが、マブリーは『ロッキー』を観てボクシングを始めたということもあり、パンチの軌道とフットワークのこなし方に妙に説得力があった。
しかもこれは単なるトレーニングではなく、サンドバックの中に入っていた対立する組の人間をボコボコにしていたというオチで、映画の冒頭から戦慄と興奮の背徳的な名シーンを創り出している、ひえ~。
そして極めつけはマブリーのビンタの破壊力。
これまでの作品でも自慢の腕から繰り出されるビンタアクションを観ることができたが、何回観ても彼のビンタの威力は恐ろしい。
ヤクザのボスとして、何事も猛烈ビンタで筋を通していくドンスには痺れた。
こんなビンタを連続で食らった日には、相手は山崎(月亭)方正のように「終わりまじだ」では済まないぞ。
マブリーのアクションのトレードマークは、高速のパンチではなく、華麗な飛び蹴りでもなく、相手を破壊する「ビンタ」として今後も定着していくんだろうな~。
しまいには裁判で証拠が不十分の中で無罪になりかけていた無差別殺人犯にトドメの事実を告げるために、法廷のど真ん中で刺青に包まれた屈強な上半身をさらし出すドンス。
神聖ともいえる法廷内にて、こんな視覚的なパワープレイを見せた大バカ者(褒め言葉)がいただろうか。
上記のように、凄みのある恐ろしいキャラクターであるドンスだが、組の手下をかわいがる様子を見せたり、雨に打たれる少女に対して自分の傘を優しく差し出したり(まるで巨体のトトロがサツキに傘を渡すみたいだ!)と、どこか人情味のある顔を見せるのも愛おしかった。
マブリーは強面だが、だからこそ愛嬌のある表情がより一層目立つ。
そこで注目されても粗のない、柔らかくてエモい演技ができるところも、管理人がマブリー大好きなポイントの1つだ。
・勝てば官軍負ければ賊軍
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自分を刺した犯人を殺したいヤクザと、連続殺人を止めるために正義として犯人を逮捕したい刑事。
互いの持つ情報と捜査力をミックスさせて共通の敵にたどり着こうと、今日結成された異色のコンビ。
手を組んだとはいえ、犯人に対する目的の異なるドンスとチョンは、「先に捕まえたもんが勝利だ」と躍起になり、まるで競争のように犯人を追っていくことになる。
水と油の存在である2人が仲良く共闘できるはずもなく、互いに首根っこをつかみ合い、利用するだけして消す=逮捕することが念頭に置いた出し抜き合い。
言い換えればコンゲーム的なバディストーリーは掴みどころがなく、先が読めなくて面白かった。
出し抜き合いの過程で発生した飛び火によって、ヤクザ界で新たな抗争が勃発したり警察組織内が荒れたりと、二転三転するストーリーは複雑ながらも斬新で観ていて飽きない。
一触即発の空気で共闘していたヤクザチームと刑事チームが多くの時間を共にした結果、対立を忘れて焼肉屋で一杯やるような仲睦まじい関係を築ていたかと思えば、いざ犯人を前にするとそれらを忘れて再び争いだすといった、腐っても犬猿の仲な2組の関係の起伏は激しくて、まるで子供の喧嘩を観ているようで滑稽だ。
犯人が運転する車をヤクザチームと刑事チームがそれぞれの車で追跡するシーンでは、狭い路地の中での危険な爆走カーチェイスによる迫力だけでなく、1人の犯人を求めて互いに「邪魔すんな!」と派手にけん制し合う2組の熾烈なデッドヒート展開して二重に見応えあるものになっている。
ヤクザと刑事が一緒の空間で犯人のガサ入れについて聞き入っているシーンは、非現実的すぎてシリアスながらもシュールな笑いを誘われることに。
真剣な空気の中での笑いは、作品全体を下手にコメディ調に持っていくよりもダレなくていいよね。
・不憫な犯人
結果的に犯人は有罪で死刑判決となり、ドンスもヤクザとして手を汚していた罪によって逮捕され、すべてはチョンの勝利か・・・。
と思いきや、犯人が死刑まで服役している刑務所の中に、なんと逮捕されたドンスが送り込まれてくるという衝撃のサプライズ!
「よお、これから楽しみだな・・・」と言わんばかりにニンマリ笑いながら刑務所に入ってくるドンスには、犯人ともどもこちらも思わず血の気が引く。
ヤクザと刑事が互いの利害を一致させるために仕組んだ策略によって、刑事側だけでなくヤクザ側も勝利を果たしたことになる、伏線をすべて回収したキレイなオチだった。
刑務所という閉鎖空間にドンスとともに取り残された犯人のことを思うと、無差別殺人犯とはいえなんだか気の毒である。
この犯人も指す相手を間違えたよな。
誰だって街中で肩のぶつかったマブリーに喧嘩を売ろうなどとは思わないよね。
劇中にも「普通ならお前なんかに手を出さない」というセリフがあるくらいなのにな(だからこそ犯人のサイコパス感を強めているのだが)。
人間の生と死を論じ、死に対して無感情になっていた犯人も、ここばかりは本物の恐怖が湧いて出ただろうに・・・。
犯人ではなく、主人公のマブリーの笑顔に身震いして幕を閉じる、下手なホラー映画よりも絶望な最後なのであった。
■日本がらみ
■鑑定結果
対立関係の2人が手を組んで巻き起こるカオスを楽しむ、韓国ノワールの新たな第一歩。
画面に映るだけで圧倒されるようなマブリーの迫力が、ヤクザ役としてより重くなっている1作。
この次は『96時間』のような、純粋な「舐めてた相手がマ・ドンソクだった」映画も観てみたいと思わされた。
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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