【ネタバレ/感想/考察】映画『レイジング・ファイア』の鑑定【ラストは? ドニー・イェンは?】

アクション
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Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは『レイジング・ファイア』です。

香港が世界に誇るアクションスターのドニー・イェンと×香港の実力派スターであるニコラス・ツェーが共演するポリスアクション作品です。

ドラマとアクション、共に見応え抜群の逸品になってます。

監督のベニー・チャンは、惜しまれつつも本作の公開前に逝去し、彼の遺作ともなりました。

そんな『レイジング・ファイアのネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

ベニー・チャン監督の集大成的作品!

 

■『レイジング・ファイア』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

ドニー・イェン×ニコラス・ツェー 香港警察アクション大作『レイジング・ファイア』本予告/12.24公開

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■あらすじ

正義感の熱い東九龍警察本部のボン警部(ドニー・イェン)たちは、長年追っていた麻薬組織がベトナムマフィアと取引する現場に踏み込む機会を得る。ボンの同僚であるイウ警部(レイ・ロイ)率いるチームが郊外の廃ビルに突入するも、突如として5人組の仮面を被った謎の武装集団の襲撃によって麻薬組織は全滅、取引のブツを奪った5人組はイウ警部のチームも壊滅させた。瀕死のイウ警部に向かって仮面を取った1人の男のンゴウ(ニコラス・ツェー)は、「久しぶりだな」と不敵な笑みを浮かべ・・・。

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■原題:怒火・重案 Raging Fire

■発掘国/制作年:香港/中国(2021)

■上映時間:126分

■キャッチコピー:ラスト15分、アクション映画史上最も苛烈で壮絶な死闘が勃発!

■監督:ベニー・チャン

■主要キャスト

ボン:ドニー・イェン

ンゴウ:ニコラス・ツェー

イン:チン・ラン

ポウ:パトリック・タム

イウ:レイ・ロイ

マンクワイ:ベン・ラム

ウィン:ケン・ロー

ロック:サイモン・ヤム

 

■『レイジング・ファイア』のネタバレ感想と考察

①有終の美を飾ったベニー・チャン監督

②真面目ドニーさんと極・闇落ちニコツェ

③壮絶でエネルギッシュなアクションの連続

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:有終の美を飾ったベニー・チャン監督

ベニー・チャン監督の全てが詰まったポリス・アクション!

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いやはや、年の瀬も押し迫る中、とんでもない傑作を引き当ててしまいましたよ・・・。香港国際警察/NEW POLICE STORY『インビジブル・ターゲット』など、香港映画界の顔の1人でもあったベニー・チャン監督の、惜しくも遺作となってしまった本作。個人的にはベニー・チャン監督作品では、泥棒ジャッキー・チェンがひょんなことから赤ちゃんと生活を共にすることになる珍事を描く『プロジェクトBB』が指折りでお気に入りの作品だったんだけど、本作はベニー・チャン監督の集大成的作品になっていて、毛色は違えど『プロジェクトBB』に勝るとも劣らない勢いで胸をアツくしました!!

ベニー・チャン監督の得意分野の一つである「警察」をテーマにしながら、堕落・絶望・暴走・窮地など、人間の負の側面とやるせなさで彩るドラマがこれまた監督らしい作風。本来悪役であるはずのニコラス・ツェー演じる元警官のンゴウが、どう観ても悪役として描かれていないのが印象的でした。言うなればドニーさん演じるボンに並ぶ主人公の1人。自分の信念と正義に従いながらも警察組織内の不正、任務中の不可抗力、信じていた仲間達から見放される不条理と絶望によってダークサイドが開花されてしまったンゴウは、自分たちを見捨てた者への復讐の元に犯罪行為をしていたわけで、理不尽とストレスに塗れる現代人であれば誰もがンゴウになり得る人間臭さを感じずにはいられない。そんなンゴウの内面と背景を丹念に描くのは『香港国際警察/NEW POLICE STORY』ダニエル・ウーが演じた悪役のジョーのドラマにスポットを当てていたことにも通づるものがあって、悪のポジションを純粋な悪として描かない人間模様の映し方、ベニー・チャン監督本当に巧みだと思います。

警察のあるべき姿に従って正義の炎を燃やしながらも、(ボンにとっては不可抗力ながら)自分がンゴウの闇落ちの原因の一片でもあることに少なからずシコリを感じているボンと、根は善良ながら不条理な裏切りによって狂気のタカが外れてしまい復讐の炎を燃やすンゴウ。何が正義なのかが線引きが難しい中で、自分の信念と怒りの対象を貫き通し、お互いに引くに引けない衝突を繰り広げる男たちの残酷で熱い怒りのドラマ。警察内部事情に通じた姑息なやり方で翻弄するンゴウに対し、徹底して悪を燃やそうとするボンの怒りのボルテージが高まっていく。全編気の抜けない緊迫感に支配されながら、取調室でのボンとンゴウの睨み合いの緊張具合が特に尋常じゃなくてね。竹刀持って暴れながら「本当のことを言えぇッ!!」と殴り込んでくるドニーさん(怖すぎ)と、それに動じずに自分の信念の吐露をぶつけるニコツェ。2人の魂を震わせる渾身の演技の衝突で、アクションシーンでもないのに演技で殴り合って画面が引き締まっているのが分かりますね。

ラストバトルの末に辛くもンゴウを制したボン。静かに立ち去っていくボンに対し「負けは認めるが運命には逆らわない!」と吐いたンゴウは、「もし(事件当時の)立場が逆だったら、俺たちの今のポジションも逆だっただろうか?」とボンに問いかける。それに対しボンからの返答はなく、ボンはそのまま立ち去る。「違う」と答えられない以上、ボンも状況によっては闇落ちして犯罪者に成り下がっていた可能性があることを痛感し、かつての盟友ンゴウへの最後の哀れみを背中で語っていたんじゃないかな。

Jing-Fu
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ラストバトルの舞台に古びた教会が選ばれたことも、まるで2人の心の中に残る罪への贖罪と繋げているかのようでした。

 

善と悪を紙一重として描き、パワフルでエモーショナルな物語を構築できるベニー・チャン監督の魅力が全て詰まった本格派のクライム・ポリスドラマとして、全力を出し切って有終の美を飾ることができたんじゃないかなと思います。

 

ネタバレ②:真面目ドニーさんと極・闇落ちニコツェ

演技で壮絶な殴り合いをするドニーさんとニコツェ

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警察官役という、香港アクションスターの基本ともいうべき役柄を演じるドニーさんドニーさん自身もこれまでに何回も警察や刑事を演じてきているわけだけど、本作のボンは短気な一面はあれど、体のどこにも刺青やチェーンなどといったヤンキーファッションを纏っているわけでもなく、相手を執拗に煽ってオラついたり過度な暴力で容疑者を病院送りにした過去があるわけでもなく、つまりボンは超・真面目な警察官なのだ。ドニーさんの警察役は見慣れているものの、『導火線』『SPL 狼よ静かに死ね』などでオレオレな警官像がテンプレとなっていただけに、このピシッとスーツで決めた誠実なキャラクター像が逆に新鮮に映る。妊娠中の妻もいて、もうすぐ第一子が誕生する事による危険な任務への複雑な気持ちに憂いる妙に人間臭い演技も良かった。

一方、「香港で闇落ちをさせたら右に出る者はいない」と囁かれているニコツェも、その評判通りの徹底した闇落ち怪演技を芯も強く楽しんでいるようでした。『新少林寺』がよく引き合いに出されるけど、本作のニコツェのダークサイド入りは完全にアナキン・スカイウォーカーで、目が、もう目がね、凄いのなんの。ニコツェもとうとう「目で相手を殺す」俳優になってきたようで。睨まれたら思わず視線を逸らしてしまうような魔の眼光にゾクゾクさせられましたよ・・・。インテリな外見から一転、オダギリ・ジョーみたいなワイルドな風貌になるギャップと落差が大きすぎで、グラサン姿で不敵に笑いながら悪行を遂行する姿に女子が騒ぐのも無理ないな〜と思います。

Jing-Fu
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ドニーさんニコツェが共演して同フレーム内に収まるのは、『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』以来14年ぶりなんですよね〜!

 

ネタバレ③:壮絶でエネルギッシュなアクションの連続

ラストバトルは高いハードルを超える壮絶な熱量!

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現代香港アクションを牽引してきたベニー・チャン監督作品らしく、銃撃戦・爆発・カーアクションなど一連のアクションシーケンスには1ミリの抜かりもなし。近年中の他の香港アクションと比べても突出したレベルのクオリティになってるんじゃないだろうか。中でも終盤で市街地が戦場と化す銃弾と大爆発の嵐は、まるで『キングスマン』で打ち上がる花火のように観ていて痛快で爽快。多くの一般市民が行き交うコンクリートジャングルで白昼堂々エゲツない量の火薬と火花を出し惜しみなく撒き散らし、宙を待ってガラスを突き破るカースタント、とにかく派手でエネルギッシュ。当然あそこまで大規模な街中ロケの敢行はそうそう容易いことではないのでセット撮影ってことは分かるんだけど、それを感じさせないリアルな臨場感とカタルシスには思わず目を見張ってしまいます。

Jing-Fu
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もう『ヒート』ですよコレは・・・

 

本作でスタントコーディネーターを務めた谷垣健治氏によると、本作の格闘シーケンスでは『SPL 狼よ静かに死ね』『導火線』などで構築してきたMMA(総合格闘技)スタイルのアクション路線を強めるように意識していたらしい。腕と脚が複雑に絡み合う壮絶な取っ組み合いや、正面から脚を払い合うマウントの拮抗、壁際の攻防でとんでもない角度からの飛びつき式腕ひしぎを決めたり。過去作のアップデート版とも言うべき卓越した動きと魅せ方に思わず膝を打つのと同時に、窒息、目潰し、生身を盾にせざるを得ない緊急回避など、肉体の痛みでアドレナリンを絞り出すようなブルータルな立ち回りが非常に泥臭くてリアル。一方、ドニーさんの過去MMAアクション路線の作品って、結構気合の喧嘩殺法(特に『スペシャルID』)として描かれている印象があったんだけど、本作でドニーさんが演じるボンはヤンキー気質なキャラクターではないので、戦闘スタイルに落ち着きがあるというか、堅実的な手段を選んでいる一面も。拳と脚を頼りにゴリ押しで突き進んでいくのではなく、例えば武装した集団を前にして防弾ベストを腕に巻いて補強しながら拳を振るう様子もあったりして、これはかなり現実的な闘い方ですよね。もちろんドニーさんが自慢の拳で敵たちをボコボコにしていく爽快感も健在なのは変わらないけど、キャラクター像がアクションにしっかりと反映された、ケレン味とリアルのバランスなんかが過去最高に絶妙でした。

その真骨頂がラストのドニーさんVSニコツェ戦。『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』で僅かながらも拳を交えていた2人が14年ぶりに再戦! 『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』ではテクニックと大袈裟な動きでエンタメ感抜群に闘った2人だが、本作では前述した通り、死が瀬戸際に迫るブルータルバトルが展開されるのでスタイルがまるで異なる。驚くのは宇宙最強ドニーさんを揺るがすかのように粗暴に暴れ回るニコツェで、『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』の時に披露していたテコンドー仕込みの回し蹴りやソバットのキレと威力がかなり強烈。体を回転させながら両手を床について繰り出す躰道みたいな蹴り技(『酔拳2』ジャッキー・チェンもやってた)も凄かった。

先鋒は警棒ドニーさんVS二刀流バタフライナイフのニコツェなんだけど、この構図、ドニーさんファンなら思わず興奮するんじゃないでしょうか。そう、往年の歴史的名バトルである『SPL 狼よ静かに死ね』ドニーさんVSウー・ジンと同じ画なのだ! しかも2人とも『SPL』よろしく、長回しの超高速鍔迫り合いの中にちょっとしたズレや外しやフェイントを取り込む「本当に闘っているように見せる殺陣」を体現していて、『SPL』の時に感じた興奮が今再び蘇りました・・・。

Jing-Fu
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耳をつんざく銃撃や空を鋭く斬るナイフなど、本作は耳に響く音響のレベルも高く、できれば音響設備の整った映画館で観るのがベストですよ!

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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これぞ観たかった香港映画!って感じの満足感でした!

鑑定結果:ミスリル映画(☆9)

 

■最後に

ドニー・イェンの主演作品についての鑑定はコチラ☆

 

『イップ・マン 序章』

 

『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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