みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『クライマーズ』です。
中国の歴史的イベント、チョモランマ(エベレスト)山脈の登頂に挑んだ中国登山隊たちを描く大作が日本でも公開されました。
主演がウー・ジン、友情出演にジャッキー・チェンとあっては見逃すわけにはいかない。
公開初日に映画館に足を運んできました。
それでは早速鑑定をしていきましょう!
目次
■作品情報
・基本情報
(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
■原題:攀登者/The Climbers
■発掘国/制作年:中国(2019)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:ダニエル・リー
■主要キャスト
ファン・ウージョウ:ウー・ジン
シェイ・イン:チャン・ツィイー
チュイ:チャン・イー
リー:ジン・ボーラン
ヤン・グアン:フー・ゴー
ヤン・グアン(老年):ジャッキー・チェン
・あらすじ
1960年、中国登山隊は世界最高峰の山脈であるチョモランマ登頂の最中に雪崩に遭遇。
犠牲となった隊長の代わりを務めることになったファン・ウージョウ(ウー・ジン)率いる僅か3人のメンバーは、何とか北稜からのチョモランマ登頂を初めて成し遂げた。
しかし雪崩の際にチュイ(チャン・イー)を救った登山隊はカメラを失っていて山頂での映像が残せず、彼らの偉業は国際社会では認められなかった。
ほどなく中国が不遇の時代に突入、登山隊は解散。
ファンは登山の知識を若手登山者たちに広げながら、気象学を学ぶシェイ・イン(チャン・ツィイー)に想いを寄せながらも、自分たちの偉業が認められなかったことに心を沈めてボイラー室で働き続けた。
それから15年後、冬の時代から抜け出した中国は第2次登山隊を結成し、ファンは隊長として召集された。
ソ連で気象学を学んでいたシェイ・イン、カメラマンを任されたリー(ジン・ボーラン)、測量士のヤン・グアン(フー・ゴー)らをメンバーに迎え、登山隊は再度チョモランマ登頂達成に挑むのだが・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
1960年に無謀と言われていた北稜からのチョモランマ登頂を達成しながらも、西欧諸国にその偉業を認められず、15年後の1975年に2度目の登頂に挑んだ中国登山隊の実話をベースに描かれるドラマチック・アクション作品です。
実際にチョモランマ山脈の高地でロケがされているみたいで、過酷で険しい山の天気が自然そのままに映し出されており、観ていて思わず凍てつく寒さが伝わってきそう。
史実をもとにした物語のため、登山隊らの苦悩や葛藤といったドラマが中心に描かれているものの、登山中の危険なスリルや派手なアクションには予想以上に力が入っているので思いの外ハラハラすることができた。
非常に愛国心の強い作品で、中華圏のお国柄が綺麗に表れている作風が最も印象的だった。
ただ、全体的に話の展開がものすごく速いので、ちょっとドラマの盛り上がりに欠ける気もする。
『SPL狼よ静かに死ね』でドニーさんと死闘を繰り広げ、「次世代のカンフースター」と称されたウー・ジンが主役のファン・ウージョンを演じていますが、『ドラゴン×マッハ』や『戦狼』シリーズのメガヒットで驚異的なキャリアを積んできているとだけあって、カンフースターというよりかはすっかり中華圏を代表するスターの顔つきになっていますね~。
もちろん、劇中では彼が体を張ったアクションシーンも用意されていてファンの期待に応えてくれているのも良かった。
ヒロインのシェイ・イン役は中国を代表する大女優のチャン・ツィイーが務め、そして友情出演としてジャッキー・チェンも顔を出しており、現代と過去を繋ぐ重要な役柄を担当しています。
プロデューサーには「香港のスピルバーグ」こと名監督のツイ・ハークの名前も。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・心も凍てつく過酷な山岳アクション
(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
ウー・ジンが主演とあって、それとなくアクションシーンはあるものの、基本的には登山隊たちのドラマが中心に描かれる、そんなイメージで挑んだ作品。
しかし管理人の予想以上にスリリングなアクションシーンに力が入っており、いずれも大迫力で映画館での鑑賞にはうってつけだったのには面食らった(良い意味でね!)。
雪崩に滑落に強風と、山脈の気難しい天候が生み出す過酷な状況下で『クリフハンガー』も真っ青な危険なアクションが次々と展開される。
実際にチョモランマ山脈でロケがされていることもあり、映像のリアリティと出演者らの過酷な形相は、演出と演技を超えたまさに本物そのもので、しかもウー・ジンをはじめとする主要キャラクターたちは、山脈でのアクション中はノースタントで気張っていたらしいのも驚きだ。
劇中では登山隊たちが体づくりのために、障害物や重りを使った様々なトレーニングをこなすシーンがある。
タイヤを引っ張ったり高い組み木を超えたりする、テレビ番組で中国の体育学校が映るときに見ることのできるようなかなりハードなあれです。
往年のカンフー映画にある修行シーンの進化版みたいな種目を登山に活かすという展開は、今までに観たことがないながらも確固たる実用性と歴史を感じる現実味があって新鮮な体験だった。
後で調べて分かったけど、本作のアクション監督は、「成家班」ことジャッキー・スタント・チームのメンバーであるアラン・ンが担当しているんですね。
『スキップトレース』や『カンフーヨガ』、『レイルロードタイガー』など近年のジャッキー作品に携わってきた彼の手腕が活きる、そんな迫力のアクションでした。
・バーティカルリミットするウー・ジン
(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
『戦狼』シリーズに続き、ウー・ジンの主演作が日本でも全国公開されるのは非常に喜ばしいことですね。
本作は山岳アクション映画のため彼のカンフーシーンは存在していないが、筋トレシーンや過酷なトレーニングはもちろんのこと、パルクールとロッククライムの混合アクションに挑んだり、ハシゴにしがみついて雪山を滑走したり、今までの作品にはなかったような体当たりアクションに挑戦しているのがたまらない。
巨大な雪崩に襲われるシーンでは、10メートル近くはあろうクレバスの向こうにロープを張って登山隊たちを避難させるために、おもむろに両手にツルハシを握りしめ、勢いよくクレバスを飛び越えるという中国版バーティカルリミットまで披露してくれるサービスっぷりには度肝を抜かれたね。
評価ポイントは体を張ったアクションだけでなく、彼の演技の力量も随分と広がったように感じないだろうか。
仲間想いの勇敢なファン・ウージョウを演じ切ったウー・ジンの表情には、中華圏の大物スターとしての存在感が板に付いていて、今後の大作での活躍もますます楽しみになりますね。
・ジャッキー・チェンの友情出演
(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
日本公開にあたっては、早くからジャッキー・チェンの友情出演が大々的に宣伝されていた本作。
未だに日本で根強い人気を誇る彼のネームバリューに頼るのは至極もっともな話だ。
予告編を観ると、いかにもジャッキーが登山隊の主要メンバーとしてクライミングをするかのように編集されているけど、実際に彼が登場するのは物語の一番最後であり、1回目のエンドロールを挟んだ後での顔見せとなるので、過度な期待は禁物。
それでもさすがはジャッキーの風格。
僅かな出演時間ながらも顔が出た途端に一気に画面が引き締まるのが分かる。
劇中では1975年の登山中に、凍傷で右足を失ってチョモランマ登頂を断念したヤンの老後を演じており、2019年に義足で再び頂上を目指すという、過去と未来の想いを繋ぐ熱い役どころに華を添えていた。
今年は日本では『ナイトオブシャドー 魔法拳』しか主演作が公開がされていないこともあり、実際に登山ロケにも参加したジャッキーの勇姿を観るだけでも、ファンであれば劇場に足を運ぶ価値は十分にあると思う。
・山の天気のようなテンポの速さ
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中国登山隊メンバーの恋愛、努力、苦悩、葛藤に重きを置いた作風ではあるものの、全体的なストーリー展開がとにかく速い、速いったら速い。
それこそ気性の荒い山の天候を見ているかのようなテンポの速さで、次から次へとあらゆる出来事が矢継ぎ早に語られていくんですね。
しかも一つ一つのイベントの間に変な区切りが発生してしまっており、作品を全体的に見るとどうもドラマの厚みが足りないように感じてしまう。
実話ベースの作品とだけあって、重厚な人間関係がドラマチックに描かれるのだろうと期待していたが、もう少し1シーン1シーンのリンク性を意識していれば、全体的にまとまりのあるストーリーが楽しめたのかもしれないと思うと残念だ。
展開のスピーディな作品は実際の上映時間よりも短い体感をすることが多いが、本作に限っては上記の通り区切れによるまとまりの薄さと蛇足に感じるシーンの多さによって、2時間という長尺はそのままの長さになっていた。
恋愛ドラマも、主人公のファン・ウージョウとインだけに絞れば良かったのに、カメラマンのリーとサポート役のヘイムーダンの恋の芽生えは明らかに冗長である。
テンポの速さはアクションシーン中も例外ではなく、とにかく色んなアクシデントを起こせと言わんばかりに様々なアクションを畳みかけさせている。
これをジェットコースタームービーとするか、アクションのごった返しと捉えるかは価値観によるが、管理人は後者ですね。
一連のアクションの整合性が管理されていないので、あれもこれもと詰め込まれても観ていて疲れるだけだからね。
製作陣は何を気に入ったか、実際にチョモランマ山脈の天候の変化を早回しで流すシーンを幾度となく挟んでいて、これも物語の目まぐるしさに拍車をかけている。
もうちょっと落ち着いた流れをで観たかったですね。
・愛国心の強さ
中華圏では、外からの悪を成敗したり困難に立ち向かっていく主人公を国の英雄として賞賛する映画が人気だ。
本作でも実在した中国登山隊たちによる前人未到の活躍を描いた作品だけあって、常に壮大な音楽がバックに流れており、各登場人物たちの1つ1つの行動が都度称えられるように演出されているのが印象的だった。
エンドロール中にも実際の中国登山家たちの映像が流れ、1人1人の人物の名前や素性を詳細にクローズアップする徹底ぶり。
中国の国民性がテンプレ的に垣間見える作品でした(決して悪口ではありません)。
国際社会から大いに注目された出来事ということで、「母国の登山の英雄たちに捧げる」という強いメッセージで幕を閉じることからも、中国国内ではかなりの歴史的イベントなのかもしれないですね。
■日本がらみ
■鑑定結果
豪華な出演陣、危険な山岳アクションも見応えがあって良かっただけに、もう少し全体的なドラマにまとまりと落ち着きが欲しかったというのも正直な話。
恐らく今年日本で観ることのできる最後のジャッキー出演作品なので、ファンは要チェックだ!
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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