みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『スカイスクレイパー』です。
現代ハリウッドを代表するアクションスターのドウェイン・ジョンソンことロック様の、超高層ビルを舞台にしたアクションスリラーの良作がこの度土曜プレミアムで地上波発放送!
それでは早速鑑定していきましょう!
■作品情報
・基本情報
(C)Universal Pictures
■原題:Skyscraper
■発掘国/制作年:アメリカ/中国(2018)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:ローソン・マーシャル・サーバー
■主要キャスト
ウィル・ソーヤー:ドウェイン・ジョンソン
サラ・ソーヤー:ネーヴ・キャンベル
ジャオ・ロン:チン・ハン
コレス・ボタ:ローランド・ムーラー
ピアース:ノア・テイラー
ウー警部補:バイロン・マン
シア:ハンナ・クィンリヴァン
ベン:パブロ・シュレイバー
シェン消防署長:ツィ・マー
・あらすじ
FBIの人質救出部隊長であったウィル・ソーヤー(ドウェイン・ジョンソン)は、ミネソタ州で発生した人質立てこもり事件の制圧をあと一歩のところまで進めるが、体中に爆弾を巻き付けていた犯人の自爆に巻き込まれ、瀕死の重傷を負ってしまう。それから10年後、ウィルは爆発で左足を失っていたものの、自分の手術を担当した軍医のサラ(ネーヴ・キャンベル)と結ばれ、娘のジョージア(マッケナ・ロバーツ)と息子のヘンリー(ノア・コットレル)も設けて幸せな家庭を築いていた。事件後FBIを退職したウィルは警備コンサルタントに就いており、FBI時代の同僚ベン(パブロ・シュレイバー)の紹介で香港の高層ビル「パール」でセキュリティ担当をすることになった。中国人起業家のジャオ(チン・ハン)がオーナーであるパールは地上240階建ての世界一の高さを誇るビルで、ソーヤー一家は98階の居住区に住むことになっていた。パールの徹底されたセキュリティを確認したウィルはビルの全館オープンを許可し、彼のみがセキュリティコントロールのできるタブレットを受け取るのだが、、、。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
『ワイルド・スピード』シリーズや『ジュマンジ』シリーズなど、現代ハリウッドを代表する筋肉アクションスターとして活躍を続けるドウェイン・ジョンソンことロック様が、ローソン・マーシャル・サーバー監督と『セントラル・インテリジェンス』に続くタッグを見せたアクション・スリラー映画です。タイトルの『スカイスクレイパー』とは超高層建築物を意味し、その名の通り香港に建築された架空の高層ビル「パール」を舞台に、ロック様演じる主人公ウィルとテロリストの攻防が描かれます。
超高層ビルでテロリストと戦う主人公と聞けば、誰しも往年の名作『ダイ・ハード』を思い浮かべると思うが、まさに本作の基本的なプロットには『ダイ・ハード』と似通っている点がいくつか見受けられる。他にも過去のアクション作品からのオマージュが感じられる部分もあり、驚くような真新しい演出はないものの、80~90年代のハリウッドアクション作品を観ているような安定した迫力がお墨付きの良作だ。特に超高層ビルという特異なステージを活かした、足のすくむ高所でのアクションシーンはスリル満点!
ロック様が義足というこれまでにない役柄に挑戦しているのも見所で、それが時にハンデになるかと思いきやまさかの武器になったりと、アクション中の巧みなアイデアに活かされているのにも注目してほしい。
左足がなかろうと、結局ロック様は最強だったのだ、、、笑
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・ロック様版『ダイ・ハード』
高所で頑張るロック パパ
(C)Universal Pictures
初代ハゲ アクションスターのブルース・ウィリスが『ダイ・ハード』でビルを占拠したテロリストと戦ったのに継ぎ(あの頃はまだ髪があったが)、本作では現代のハゲ アクションスターことロック様がビルの中でテロリストに立ち向かう。公式が『ダイ・ハード』のポスターを模倣した本作のポスターを制作していたこともあり、本作が『ダイ・ハード』へのリスペクトを意識しているのがよく分かる。まさに現代版、ロック様版の『ダイ・ハード』とも言っても間違いではない。家族がテロリストの人質になってしまう流れや、『ダイ・ハード』の舞台が日系企業ビルで本作の舞台は香港の超高層ビルと、同じアジア関連のステージが設定されている点など似通っている部分は多い。もっとも、『ダイ・ハード』の舞台がナカトミビルなのはバブル当時の日系企業の著しい世界進出を表していたのに対し、本作は中国からの出資を受けて製作されているが故に中華圏が舞台となっているので意味合いはちょっと違ってくるが。
本作と『ダイ・ハード』の決定的な違いは、激しい銃撃戦がないことだろう。ロック様演じるウィルは「過去の左足を失った事件がきっかけで銃を握ろうとする気概がなくなってしまった」という設定があるため、劇中では一切銃を所持していない。それでも最後には銃を握る場面があり、「ひょっとして『ダイ・ハード』のパウエルと同じ伏線か?」と深読みするも、結局引き金を引くことはなかったのでちょっと拍子抜け。だがロック様は銃を握らずとも強い。この手のジャンルでアクションスターが銃火器を使用しないのも今時珍しいが、ロック様が唯一無二の剛腕マッスルで物を支え、ぶら下がり、そしてテロリストに炸裂パワーの鉄拳を叩き込む様子は、アクション好きのボンクラをウットリさせるのには十分すぎるほど熱を帯びているのでご安心を。ウィルとベンがキッチンで殴り合うシーンは、周囲のアイテムと環境が活かされていて香港映画を観ているかのようにカッコよかった~。
正直本作のテロリストに『ダイ・ハード』でアラン・リックマンが演じたハンスほどの印象的なキャラクターはおらずあっさりしていたし、どこかで観たことあるような展開で新鮮さを感じるアクションアイデアも少なかった。だが裏を返せば同ジャンルの王道スタイルやツボはしっかり押さえており、ストーリーよりも筋肉と爆発のアクションが全盛期であった、80~90年代の古き良きハリウッドアクション作品を観ているかのような約束された面白さの詰まった作品だった。本作を手に取ればハズれる事はないだろう。
自分の行動範囲を広げるために新たな飲食店を開拓するのではなく、とりあえずいつも行き慣れた定食屋でカレーライスセットを頼んどくような安パイ感ですね。
『ダイ・ハード』以外にも往年のハリウッドアクション作品の影響を感じる本作。ビルの中腹で火災が発生して火に追われるディザスター感は『タワーリング・インフェルノ』だし、後述するビル側面への粘着物によるしがみつきは『ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル』。個人的に一番興味深かったのが、ビルの最上部に位置する球体の中で勃発する最終決戦。この空間には317枚ものパネル型モーションスクリーンが設置されていて、このパネル1枚1枚に球体の内部にいる人間の姿を別角度から映すことができる。分かりやすく言うとびっくりハウスというか、周りに無数の姿見が立っている感じで、1人の人間が無数に映っているのでどこに本人がいるのかが分からず、それを利用した緊張感ある戦いがハイライトとなっている。ここは完全にブルース・リーの『燃えよドラゴン』の有名な鏡の間のシーンそのままだった。舞台が香港ということもあって余計意識してしまった 笑
・スリリングな高所アクション
ロック様、飛びま~す!
(C)Universal Pictures
「パール」は地上225階建て、高さ914メートルを誇る世界一高い超高層ビルという設定で、『ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル』で一躍有名になったドバイのブルジュ・ハリファよりも高いと聞けば、そのスケールの凄さが伝わってくるだろう。実際にパールのデザインにはブルジュ・ハリファの設計をした建築家のエイドリアン・スミスが起用されているようだし、近代建築物の多い香港という立地が選ばれていることもあり、絶妙なリアリティで映えるパールは圧巻だ。
思わず息を呑むになる高所からの見下ろし映像の凄みやセットのインパクトなど、さすがはハリウッドの大作だと頷ける説得力の強いクオリティ。そんな天空にそびえ立つ他に類を見ないほどの超高層ビルで光るのは、やはり「高さ」を活かしたアクションだろう。主人公のウィルは銃が握れないため、ガンアクションはほぼ皆無、自然とアクションはスタント系に限定される。激しく動き回るのが苦しそうなほどの屈強な巨体を持つロック様が、筋肉をドシドシ揺らして登り、ぶら下がり、そしてジャンプする体を張ったアクションが目白押しで否が応でもテンションは右肩上がりに。セット撮影とは分かっていようが背景に広がる地上の風景がとてもリアルなため、高所アクションの一つ一つにスリルが約束され、手堅く握った拳を汗で湿らすことができるでしょう。ロック様が出たとこ勝負に挑み、巨大クレーンのアーム上を走ってビルに飛び移るという、本作の象徴シーンが生む興奮とロマンと言ったらもう、、、。「筋肉アクションスターが披露するアクションは老若男女を虜にする」という自然の摂理に従った胸の高鳴りは、良い意味で80~90年代のアクションムービーの魅力を思い起こさせてくれた。ロック様は現代ハリウッドで全盛期のスタローンとシュワちゃんのポジションに一番近い存在なのでなおさらだ。
アクション面で少ない不満があるとすれば、敵サイドの紅一点暗殺者シアを演じたハンナ・クィンリヴァンの見せ場くらいかな。演じるハンナは台湾の人気女優で、オーランド・ブルームの『スマート・チェイス』や『ボルケーノパーク』などにも出演してキャリアを積んでいる彼女。本作では冷酷無慈悲のシアを恐ろしく近寄りがたい存在に表現することに成功していて、決して出番は多いとは言えないものの演技に注ぐ力量を見せつけられた。シアが格闘するシーンはちゃんとあるけど、どれも印象に残らないものばかりなのが悔やまれる。せめてラスト付近のサラとのキャットファイトはあんなにあっさりと終わらせずに作り込んでほしかったなあ。あと余談だけど、倒れたウィルをシアが無理やり起こして、顔認証させるために下がっている頭をグイってあげるんだけど、毎回ここで「髪を掴んで顔を上げ、、。あ、ロック様髪の毛ないや、、、」という邪念が邪魔をするんだな。
実は夫は台湾の人気歌手兼俳優のジェイ・チョウだったりする。
角度によっては悪女味を強めたダレノガレ明美に見えなくもなくないデスネ。
・義足はハンデか武器か
こんなにも光り輝く頼もしい義足の使い方を見たことはない。
(C)Universal Pictures
数々のアクション作品への出演を続ける売れっ子のロック様だが、本作で演じる主人公のウィルに左足がなく義足であることが、他作品で演じてきたキャラとは思い切った違いになっている。ロック様は本作の撮影にあたって実際に義足の人と交流をしてその動作を研究したらしく、歩く際に少しぎこちなさの見える動きを細かい部分まで表現しているのが、彼の役作りへの信念を表しているかのようだ。ロック様は頭の先からつま先までが筋肉のアクションスターなのだが、やはり他の同ジャンルを得意とするスターよりもドラマ面での演技力と表現力が高く、本作では家族との交流で見せる人情味に溢れた一面を観ることもでき、そしてそれらはもっと評価されるべきだと思う。
肝心の義足は当然のようにアクションの中で活かされることになる。普通に考えれば義足は激しいアクション下では大いなるハンデになることが予想され、それによってアクションの緊迫感とスリルを高めてるんだろうな~とか軽い気持ちで先読みをしていると仰天するになるだろうね。だってウィルにとって義足が全くハンデになっていないから! 笑 むしろ武器になっている 笑 義足を無理やり奪われようが片足で相手を返り討ちにしたり、閉まりそうになる電動ドアに義足を突っ込んでつっかえ棒にして通り抜けるとか、違う意味でアクションを盛り上げるアイデアに感心する。自分の弱点を弱点としないロック様の勇姿が心に響く人も少なくはないでしょう。
惜しむらくは、最後の最後に義足というアイテムを有効活用できなかったことだ。ラストはウィルとテロリストの首領コレス・ボタが鏡の間で『燃えよドラゴン』ごっこをやり、不意に姿を現したウィルがコレス・ボタを地上へ蹴り落とすことによって決着をつける。ここでコレス・ボタを蹴っているのが義足の左足なのだが、これだけではせっかくの感動が薄い。どうせならウィルとコレス・ボタがもみくちゃになって落下 → ウィルが穴のへりにしがみついてコレス・ボタがウィルの義足にしがみつく → それを見たウィルがギリギリで義足を外し、コレス・ボタが義足もろとも落ちていく、で占めれば完璧だったんだけど、どうだろうか。
『ダイ・ハード』のハンスばりにスローモーションで落ちていくという、むしろ清々しいオマージュでもやってくれれば良かったのに。
■日本がらみ
■鑑定結果
とりあえず本作を手に取っておけば外れのない楽しさ。そんなハリウッド産筋肉アクションの王道がタップリと詰まった安パイの良作だ。
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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