【ネタバレ/感想/考察/トリビア】『ゴジラVSコング』の鑑定【ラストの意味は?勝つのはどっち?】

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(C)2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは『ゴジラVSコング』です。

ハリウッドのレジェンダリーピクチャーズが構築してきた、『GODZILLA ゴジラ』『キング・コング 髑髏島の巨神』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』がクロスオーバーする「モンスターバース」シリーズ。

その最新作にして最終作である本作で、ついにゴジラとコングの2大怪獣が衝突!

怪獣王の座をかけて繰り広げられる「破壊神」と「守護神」のガチバトルは、色んな意味で人類を置いてけぼりにしており、徹底した怪獣バトルの怒涛の迫力に圧倒されっぱなし!

日本からは小栗旬も参戦しています。

そんな『ゴジラVSコング』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

ゴジラとコング、勝者は○○○・・・!?

 

■『ゴジラVSコング』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

映画『ゴジラvsコング』日本版予告編

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■あらすじ

ゴジラとキングギドラの闘いから3年後の地球。怪獣たちが沈静化した状況で、特殊機関のモナークは怪獣たちのルーツを探る研究を進めていた。その過程で、ゴジラと髑髏島のコングが大昔から因縁のライバル関係であることが判明し、本能で引き寄せ合われるゴジラからコングを守るために、モナークはコングを第236前線基地の中で匿っていた。そんなある日、突如として大人しくなっていたはずのゴジラがテクノロジー会社のエイベックス社を壊滅させる事件が起きてしまい・・・。

 

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■原題:Godzilla vs. Kong

■発掘国/制作年:アメリカ(2021)

■上映時間:114分

■キャッチコピー:地球最大の究極対決。

■監督:アダム・ウィンガード

■主要キャスト

ネイサン:アレクサンダー・スカルスガルド

アイリーン:レベッカ・ホール

マディソン:ミリー・ボビー・ブラウン

バーニー:ブライアン・タイリー・ヘンリー

シモンズ:デミアン・ビチル

芹沢蓮/レン・セリザワ:小栗旬

マイア:エイザ・ゴンザレス

ジョシュ:ジュリアン・デニソン

ジア:カイリー・ホットル

マーク:カイル・チャンドラー

■『ゴジラVSコング』のネタバレ感想と考察

①考えるな、暴れろ!怪獣王決定戦!

②第一ラウンド、海上での闘い

③第二ラウンド、香港での闘い

④メカゴジラの介入

⑤果たしてどちらが勝ったのか?

⑥小栗旬の役所について

⑦過去作のオマージュポイント

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:考えるな、暴れろ!怪獣王決定戦!

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2014年のGODZILLA ゴジラから始まった、「モンスターバース」の集大成であること。そして1964年の東宝怪獣映画の『キングコング対ゴジラ』ぶりに実現したゴジラとコングの顔合わせ。これらを踏まえても、怪獣映画ファンであれば観る前からアガらないわけないですよね〜。

結論から言うと、怪獣バトルものとしては期待を裏切らない迫力と規格外のアクションで超・興奮の仕上がりでした! 人間ドラマパートは「モンスターバース」史上最も気薄でスカスカだったものの、その分物語の焦点は徹底してゴジラとコングを含む怪獣たちに向けられており、彼らが暴れる頻度も熱量も文字通りジェットコースター並みの勢い。途中、恐ろしく説明不足で粗削りな展開も多々見受けられ、思わず「バカ映画やん!」とツッコミを入れたくなる気持ちも芽生えてくるけど、それが良いんですよ。理屈とか根拠とか道理とか、そういう無駄な邪念に邪魔されることもなく純粋に怪獣たちの暴れっぷりを堪能できるってのが嬉しい。ゴジラとコングが戦うという意味においてはかなり筋の通ったストーリー展開だと思うし、怪獣モノとはとかくこうあるべきだという、「モンスターバース」が掲げてきた怪獣愛を力強く感じる集大成になっています。

前作に該当する『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』も、東宝の老舗怪獣たちが共演した珠玉の怪獣バトルが素晴らしい作品だった。怪獣の種類の多さで言えば前作に劣る本作だけど、本作の真髄はその希少価値。ゴジラとコングが共演したのは1964年の『キングコング対ゴジラ』のただの一回のみ。この2体が映画の中で共演するためには非常に面倒臭い大人の事情がついて回るため、この企画の成立と完成自体が奇跡としか言いようがないのだ。2匹が同じスクリーン内でドンパチやっているだけでも拍手を送ることができるくらい、嬉しさ極まりない。そしてコングは他の怪獣にはない機動性と高等知能を有している存在であるため、必然的に他のどの怪獣たちとも戦闘スタイルが異なる。VSゴジラの画に今までに観なかったようなアクションが展開されるので、既視感などは感じさせず新鮮な気持ちで楽しむことができた。特撮映画であった『キングコング対ゴジラ』は、2匹によるくんずほぐれずの怪獣プロレスが繰り広げられるのが売りで、今観ると特撮ならではの味わいの中に滑稽な一面も感じる。しかし流石は半世紀後の進化した映像技術で描かれる本作、特撮では描ききれない限界を超え、怪獣プロレスから怪獣コンバットへと発展した究極の頂上決戦が醍醐味になっていた。

更には「モンスターバース」を活かしてこの2大怪獣の対決にサプライズでメカゴジラをも投入したり、HEAV(ヒーヴ)と呼ばれる東宝特撮メカを彷彿とさせる探査機が登場したりと、往年の東宝怪獣映画に対するリスペクトがあらゆる角度から吹き込まれているのが分かります。加えて「地球空洞説」や「怪獣たちの起源」などといった、「モンスターバース」シリーズで匂わされてきた伏線や前振りにもしっかりと対応して回収していく後片付けの徹底ぶり。定食屋に入って食事を済ませて満腹になり、「もういい、もういい!」と言っているにも関わらず店の主人が表に出てきてあれもこれもと定食をサービスで持ってくるような感覚。アダム・ウィンガード監督による過剰なファンサービスに思わずはち切れてしまいそうな、怪獣好きによる怪獣好きのための究極の怪獣映画と呼ぶに相応しい終着点でした!

Jing-Fu
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脳味噌ではなく、五感を使って堪能しましょう。

 

・ニンマリドヤ顔のゴジラ

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序盤から人間たちに牙を剥く存在として、本作では『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のヒーロー像から一転、悪役としてのポジションを担うことになっているゴジラ。その影響もあってか、でっぷり筋肉ダルマのような巨躯の重厚感はさらに増しているように見え、こちらを睨む顔のデザインもどことなく鋭さが増しているというか、カミソリのような印象さえ感じた。ボコボコにしたコングを見下すなり、『プレデター』のラストのように、醜悪な面持ちでニンマリドヤ顔を向けるシーンがもう最高。

 

・ヒロインをも担うおっさんコング

『キング・コング 髑髏島の巨神』から50年以上が経過していると言う設定なので、当時はまだ青年期であったコングは、ウホ! 貫禄を感じ始めさせるおっさんへと成長。いや、第一印象が本当におっさん笑 朝日に顔をしかめて渋々起床し、ケツをボリボリ掻きながら歩き、滝という名の朝シャワーでリフレッシュする姿、どうみても二日酔いのおっさんの日曜の朝だろ笑

そんな感じで、ゴジラや他の怪獣たちよりも喜怒哀楽の感情が分かりやすいコング。ジアと心を通わせながら意思疎通を図ったり、家族と故郷の匂いにテンションを昂らせたり、非常に感情表現豊かな愛おしいキャラクターになっている。本作のヒーロー並びにヒロインのポジションを担っているのはコングですよ笑『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で既にゴジラのバックグラウンドには触れていたためか、本作ではコングへの掘り下げに寄っており、ストーリーはコングを中心に進んでいくのが特徴です。

また、海中からのゴジラの熱線をぴょーんと飛んで回避する様子は『ダイ・ハード』、外れた肩をビルに打ちつけて修復するのは『リーサル・ウェポン』、メカゴジラの頭を背骨ごと引き抜くフェイタリティキルは『プレデター』と、ハリウッドアクション映画のオマージュを連発してくれるコングサービスも旺盛だ。

 

ネタバレ②:第一ラウンド、海上での闘い

この2大怪獣の巨躯を支える戦艦のポテンシャルよ・・・

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コングの海上輸送中に、コングの存在を本能で察知したゴジラが襲撃してくることで勃発する第一ラウンド。不安定な戦艦の足場と海中という特撮映画でも見かけたことのない、まさかのトリッキーなシチュエーションが舞台になるとは思ってませんでしたね。制限が強い分、緊張感とアイデアが秀逸でした。戦艦の甲板に登ってきたゴジラに放つ、コングの目覚めの一発、メガトンパンチ! まるで蝶野ビンタを喰らったかのように首が吹っ飛ぶゴジラ(コングのパンチは最大マグニチュード4.3相当の威力があるらしい!!!)。2匹の顔合わせの実現としては最高の掴みで、ここで一気に心を奪われるファンも多いことでしょう。

闘いの場が海中に移ってからはゴジラのターン。完全にマウントを取ったゴジラが、必死に息継ぎをしようともがくコングにしがみついて巻きつき、そのまま何度も何度も深海に向かってコングを持っていくゴジラ。「とにかく勝ちゃええねん」と言わんばかりに、堅実に勝とうとするゴジラの戦闘ポリシーが垣間見えて面白かった。まあ怪獣に騎士道なんてないですからね笑

Jing-Fu
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まるでスマブラで、ドンキーコングで相手を掴んだまま落下するような感じ。コング、それやるのお前だよ!笑 みたいな。

 

ネタバレ③:第二ラウンド、香港での闘い

カラフルな夜のネオンが、2大怪獣の決戦を神秘的に彩る。

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夜のネオンで色とりどりに照らされる、高層ビルのそびえ立つ香港が最終決戦のステージ。当然の如く、巨体と巨体が激しくぶつかり合いによって次々とビル群が崩れていく破壊の景気と高揚感に圧倒される。

ゴジラは近距離では噛みつきや引っ掻きなどの裂傷攻撃や体幹100%の体当たり攻撃を仕掛け、遠距離からは自慢の熱線を放出するなど、リーチにおいてはどこにも隙がない。コングの打撃攻撃にびくともしていないあたり、防御力も高めの典型的なパワータイプとしての佇まい、一方のコングは、ゴジラにはない機動力を活かして動き回り、ゴジラの背後を常に取って強力な肘鉄やダブルハンマーで応戦。高層ビルを支えにした三角飛び殴りなんかも超かっこよかった。また、コングには道具を扱うという文明知性が備えられているため、先祖が残した斧をテクニカルに操ることができ、怪獣映画としては異質な武器での立ち回りも斬新。コングが斧でゴジラの頭部に一閃する瞬間なんかトリハダもんだよ。というような感じで、ゴジラとコング、それぞれの闘い方がちゃんと差別化されているので画的にもかなり引き立ったアクションが映し出されており、空前絶後のラストバトルに酔いしれること間違いなし。高層ビル群地帯と機動力のあるコングを掛け合わせ、地の理を活かしたアイデアによって三次元を意識した立体的なアクションとなっているのもまた一興。

コングを追い詰めたゴジラがヌッと顔を前に出してメンチを切るシーンがあるんだけど、目の前で咆哮をあげたゴジラの口からは大量の飛沫が・・・。完全にソーシャルディスタンスを無視した凶行である。ここでコングが明かに嫌な顔をしていて、思わず顔を背けているのが笑える。「ソーシャルディスタンス守れや!!」と聞こえてきそうに、コングも咆哮して飛沫を飛ばし返す!! 汚ねえ!!

Jing-Fu
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今のご時世だからこそ頭をよぎるそんなお茶目っぷりに、真剣なシーンなのに思わずほくそ笑んじゃいましたね。

 

ネタバレ④:メカゴジラの介入

映画ファンであればあるほど、日本公開前から外国人がアップロードしたYouTubeのTLが不可抗力で目に入って落胆し、サプライズにならなかった人も多いかもしれないけど(管理人もその1人)、やはり目玉キャラは満を持して登場したメカゴジラでしょう。予告編が公開された時からその存在が匂わされていたけど、やっぱり怪獣ファンとしてはテンションが上がる。しかもメカゴジラの操縦には、「テレパシー機能を有したキングギドラの頭蓋骨から人間がDNAコンピューターを介してドッキングする」という設定があり、まさかここに『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のラストの伏線が効いているとは思ってもいなかった。メカゴジラが登場してからは、ゴジラとコングが結託して2対1の構図になるという、VSモノでは結構お決まりの展開。今まで殺し合っていた仲の2匹が互いにサポートして手を取り合い、コーププレイでメカゴジラを追い詰めていく流れはかなり胸熱。

2018年のスピルバーグ監督作品の『レディ・プレイヤー・1』にメカゴジラが登場したのも記憶に新しく、ハリウッドのトレンドとなりつつあるメカゴジラ。『レディ・プレイヤー1』でのデザインはかなり原作寄りのビジュアルだったのに対し、本作で登場するメカゴジラはかなりオリジナリティが強め。なんというか機械仕掛けの骨格が生々しく、頭部の形も含めて、本当にゴジラの生皮を剥いで骨にしたかのような薄気味悪さがある。しかも本作のメカゴジラは非常に動きがアグレッシブで、特に脚の可動域がかなり広い。ちょっとしたストンプや膝蹴りではあるものの、打点の高い脚技を使えるのは怪獣映画としてはかなり珍しい戦法なんじゃないだろうか。背びれの動きやジェット噴射など、往年のファンが喜ぶような男心をくすぐるギミックの数々も芸が細かい。

実はここにも本作とは全く関係のない作品からインスパイアされたと思われるシーンがちらほら。まずはゴジラとメカゴジラが互いに口から熱線を発射して鍔迫り合いになるシーン。ゴジラが青、メカゴジラが赤。なんか既視感があると思いきや、これは『ハリー・ポッター』シリーズでのハリーとヴォルデモートの杖鍔迫り合いじゃないか。また、メカゴジラが繰り出した腕を片方が止め、そちらを攻撃しようとした別の腕をもう片方が止め・・・という光景は、まんま『ザ・レイド』のラストのイコ・ウワイス&兄貴VSヤヤン・ルヒアンのそれだった。

 

考察①:果たしてどちらが勝ったのか?

ファンが本作で最も気になるのは、「ゴジラとコング、どちらに軍配が下るのか」に尽きる。先の『キング・コング対ゴジラ』では熱海城をやりたい放題に破壊し終えたのち、組み合って共に崖から海に落下。その後海上に浮上してきたのはキングコングのみでゴジラの姿は見えず、キングコングは故郷の島に帰っていくというラストで幕を閉じていた。ゴジラの死や負けについては全く言及されていなかったので、あの作品では勝敗が明確に描かれていなかったのが事実。それも引き合いに出し、アダム・ウィンガード監督が事前のインタビューで「本作では中途半端なことはしない、白黒ははっきりつける」と言っていたので、ますますラストの決着が気になった。

結論から言うと、本作で勝ったのは「ゴジラ」です。

ただし、それは物語を観ただけでは確固たる確証は得られない。何故なら、ラストになってもゴジラとコング、どちらも死亡していないからだ。「白黒ついてないじゃん???」と首を傾げながら、悶々とした気分でエンドロール中に考えを巡らす。するとエンドロールの最後の最後に、唐突に響くゴジラの喉鳴り・・・。なるほど、上手い。その瞬間感心してしまいましたね。

香港での死闘では、ゴジラによってコングが倒され、コングは心臓の鼓動が止まる一歩手前の瀕死状態まで陥ってしまう。その後コングは人間によって蘇生されるが、つまりこれは死んだも同然の有様。そう、メカゴジラとの共闘に入る前にすでに決着はついており、ゴジラが勝っていたのだ。メカゴジラ戦で協力したから曖昧になっていたけど、確かに軍配は下っていた。「白黒をつける」という言葉には、必ずどちらかがこの世から姿を消すという錯覚成分があっただけに、両者が生き残るというラストは全く予想していなかった。ゴジラとコング、両方のファンに配慮し、「どちらも殺さず決着を着けさせた」監督のアイデアはかなり粋だったと思う。

でも何故監督は便宜上の勝者をゴジラに選んだんだろうか。アメリカ資本の映画で日本のキャラクターが勝つなんて全く想定外の事態だったから余計に気になる。あくまでも予想に過ぎないけど、『キングコング対ゴジラ』のラストシーンとは真逆のオチにしたかったんじゃないのかな〜。ゴジラにもスポットライトを当てたかったんじゃないだろうか。

Jing-Fu
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だからエンドロールは最後までちゃんと観ましょうね。

 

考察②:小栗旬の役所について

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前述した通り、本作は「モンスターバース」史上最強と言ってもいいほど人間側の描写がスッカスカで浅い。主役ポジションのネイサンとアイリーンにも全くと言っていいほど魅力を感じなかった。物語もとにかく無駄が削ぎ落とされ、例えばコングがモナークの施設に連れてこられた経緯と過程も全く持って描写がない。本作でハリウッド進出を果たした小栗旬ももれなくその影響を受けており、演じた芹沢蓮も恐ろしいほど中身のないキャラクターだった。

芹沢蓮は、「モンスターバース」シリーズで怪獣と人間の共存について唱え続けてきた、渡辺謙が演じた芹沢博士の息子という役柄で、芹沢博士の意思を次いで物語のキーパーソンになるはずだと思っていただけに拍子抜け。何故彼がモナークではなく革新技術を開発するエイペックス社に勤めているのか、何故メカゴジラ開発に携わっているのか、何故メカゴジラとドッキングする役割なのか、本当にマジで何も説明がない。下手をすれば父の芹沢博士の精神を完全に潰しかねない役回りで、何でこの場にいるのか、存在意義もほとんどなし。「メカゴジラとドッキングをする際に白目になって昇天してた人」という印象しかない笑

ただし、これは小栗旬が力不足であるとか、決して彼が悪いわけではない。元々の段階では、芹沢蓮をはじめとする各キャラクターの背景が深掘りされた物語であったにも関わらず、テスト試写で流したプロトタイプの本編が大不評。アダム・ウィンガード監督は急遽方針を変え、人間パートよりも怪獣パートを前面に押し出すことになったらしい。その結果、各キャラクターの掘り下げはほとんどないに等しいものとなり、前作と同役で参加したチャン・ツィイーをはじめとする何人かのキャストに至っては、存在そのものをカットされることになってしまったんだとか。Twitterとかを観てると激しく小栗旬を「大したことない」とか批判している人がいて胸が痛くなるけど、そういう事情があるからそんなこと声を大きくして言わないでほしい。

Jing-Fu
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それだけ、ハリウッド進出は色んな意味で甘くはないということですね。そもそもハリウッド映画に出演できるってだけで凄いと僕は思うんですが・・・

 

それを踏まえて、何故小栗旬演じる芹沢蓮がメカゴジラ開発に携わっていたかを考察してみる。設定上、「父親からタイタン(怪獣)について学んだ知識と共に、エイベックス社で革新的な開発を担う」というキャラクターの蓮。しかしメカゴジラはシモンズが対ゴジラ兵器として密かに開発を進めていたテクノロジーで、要するにゴジラを殺すための機械である。これに蓮が携わっているというのは、父親の研究を学んだにも関わらず、怪獣との共存を誰よりも訴えかけていた父親に対する謀反に等しい行為じゃないだろうか。ただしよくよく考えてみると、レンは「父親から怪獣について学んだ」としかなく、父親と同じ考えを持っていたという心境は定かではない。父親から知識を学んだものの、蓮としてはひょっとしたら共存説には同感できなかったのかもしれない。彼は怪獣を殺す対象と考えており、その意思と怪獣に関する知識を買われてシモンズからエイベックスにスカウトされた、とかだとごく自然な感じがするんですけど、どうですかね? あるいは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でゴジラを核ドーピングさせるために自らが犠牲となった芹沢博士の死をゴジラのせいだと考え、ゴジラに対して恨みを持っていたというのもありですね。

 

トリビア①:過去作のオマージュポイント

・コングの空輸

ゴジラの襲撃を喰らいコングの海上輸送が困難になった一行が選んだのは、コングを複数のヘリで空輸するという方法。これは『キングコング対ゴジラ』のラスト、ゴジラが待ち受ける富士山にコングを風船で(笑)空輸するシーンのオマージュだと、アダム・ウィンガード監督も認めている。

 

・ゴジラの口に突っ込むのは・・・

香港での決戦で、コングは熱線を吐こうとしているゴジラの口内に、思わずえずきそうな勢いで斧の柄を突っ込んでいます。『キングコング対ゴジラ』では、コングはゴジラの口に同じように抜いた木を突っ込んでましたよね。

 

・コングと電気

香港での決戦で敗北し、鼓動が著しく弱まるほど瀕死状態になったコング。しかしゴジラがメカゴジラに苦戦している様子を見たネイサンがコングを救おうと考え、コングの胸に「ラスベガス一週間分の電力」を備えるヒーヴを設置し、いわゆる電気による心臓マッサージを行って覚醒させる。『キングコング対ゴジラ』には、ゴジラに押されて劣勢になり岩に埋もれたコングが、たまたま落ちた雷を受けて雷ドーピング状態で復活するというトンデモアイデアがあり、これの明らかなオマージュですね。

 

・ギラーミンとは

例の人間パートを削ったせいでワンシーンしか登場していなかった、モナークの指揮官である黒人男性のギラーミン(演じるのは『ジョン・ウィック』シリーズで訛りのある英語が魅力的だったホテルのコンシェルジュ役のランス・レディック)。ギラーミンという名前は、1976年版の『キング・コング』の監督であるジョン・ギラーミンから拝借した名前・

 

・デナムとは

ネイサンの研究室があるデナム理論科学大学。デナムというのは『キング・コング』で私利私欲のために髑髏島からキングコングを連れ出した張本人の名前から来ていると思われます。最近の人だと、2005年のピータ・ジャクソン『キング・コング』ジャック・ブラックが演じた役柄と言えば分かりやすいでしょうか。

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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モンスターバースが現状が本作で終わってしまうのは寂しいけれど、しっかりと最終作としての役割を果たし、ファンが望んでいた怪獣バトルに徹底した最高にバカで素晴らしい怪獣映画です!

 

鑑定結果:ミスリル映画(☆9)

 

■映画『ゴジラVSコング』はどんな人におすすめ?

 

・モンスターバースシリーズのファン

・ゴジラとコングの決着が気になる人

・究極にアガる怪獣バトルを堪能したい人

 

■最後に

過去のモンスターバースシリーズについても鑑定しています☆

 

『GODZILLA ゴジラ』

 

『キング・コング 髑髏島の巨神』

 

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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