みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『Mr.ノーバディ』です。
地味で冴えないただのおっさんが実は最強だった!?
日々のストレスも限界に達して派手にブチギレるおっさんをを描く、「舐めてた相手が殺人マシーンだった」ムービーの新作です。
あらゆるストレスをぶつけてオーバーキルしていくダーティアクションが天下一品の傑作。
そんな『Mr.ノーバディ』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのドクでお馴染み、クリストファー・ロイドも盛大に暴れる!?
目次
■『Mr.ノーバディ』のあらすじと基本情報
まずは予告編をどうぞ☆
(C)2021 Universal Pictures
■あらすじ
これといった特徴もなく、家庭での家族関係は冷めきり、家と職場を往復するだけの日々を過ごす、地味で冴えない男のハッチ・マンセル(ボブ・オデンカーク)。ある日ハッチの家に強盗が押し入るが、撃退できなかったことでハッチは妻や息子から更に白い目で見られてしまう。しかし、強盗に幼い娘が大切にしていたネコの首輪を奪われたことを知ったハッチは・・・。
(C)2021 Universal Pictures
■原題:Nobody
■発掘国/制作年:アメリカ(2021)
■上映時間:92分
■キャッチコピー:火曜日、ゴミ当番。愛車は路線バス。地味な男が派手に、キレる。
■監督:イリヤ・ナイシュラー
■主要キャスト
ハッチ・マンセル:ボブ・オデンカーク
ベッカ・マンセル:コニー・ニールセン
ブレイク・マンセル:ゲージ・マンロー
サミー・マンセル:ペイズリー・カドラス
ユリアン・クズネツォフ:アレクセイ・セレブリャコフ
ハリー・マンセル:RZA
デビッド・マンセル:クリストファー・ロイド
エディ・ウィリアムズ:マイケル・アイアンサイド
バーバー:コリン・サーモン
■『Mr.ノーバディ』のネタバレ感想と考察
それでは鑑定していきましょう!
ネタバレ①:予想を裏切る、「舐めてた相手が殺人マシーンだった」映画
地味なオッサンのイライラが限界点に到達すると・・・
(C)2021 Universal Pictures
本作の脚本を務めたデレク・コルスタットは、キアヌ・リーブス主演の大人気シリーズ『ジョン・ウィック』シリーズの脚本を一貫して担当している脚本家。家庭も仕事もプライベートも冷め切り、毎週同じことの繰り返しルーティン生活をしている冴えないオッサン。唯一心を寄せる幼い愛娘の盗まれた「ネコの首輪」がチンピラに盗まれ、自信が隠していた殺人ステータスを開花させて「ネコちゃんの首輪はどこやーーッ!!」と盛大にブチギレる。早い話がそんな感じの導入部。脚本家が共通していることもあって、どことなく『ジョン・ウィック』と似通った雰囲気がありますね。
まあよくある「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」ムービーなんだろうな〜、ネコの首輪盗んだチンピラがどっかのマフィアのボスで事態が悪化していくんだろうな〜と完全に気を抜いていたために、中盤以降の想定外の展開には度肝を抜かれた! これは舐めてましたね〜。まず、騒動の発端となったネコの首輪は盗まれていなかったのだ。盗まれたと思っていたら、実は自宅のソファの下に落ちていただけという拍子抜けの事実。それに気づくのはちょっと先の話で、主人公のハッチは情けからチンピラに復讐ができず、普段からストレスが溜まっていたこともあってイライラをバスの中のチンピラに叩きつけることに。で、このチンピラの内の1人がロシアンマフィアのボスの弟で(こっちかい笑)、ハッチはマフィアから狙われることになり・・・。と聞いてても分かるとおり、これは完全にハッチの勝手な勘違いである。ちゃんと家の中を調べていれば、ロシアンマフィアと接点を持つこともなかったわけだ。勝手にキレたハッチに手下をボコボコにされた挙句、次々と手下を送り込むも全て返り討ちにされてしまうロシアンマフィア側からしたら今回の出来事はTHE☆流れ弾じゃないか笑 その過程でハッチの隠された過去が徐々に明らかになっていくという一風変わったストーリー。とばっちりで理不尽で不本意な展開だけど、これはこれで斬新な設定である。売られても売られてなくても、普段のあらゆるストレスをアドレナリン溢れる燃料として燃焼させ、とにかく全ての喧嘩を買い込んでいくハッチの強い気概には惚れ惚れするね。
普段から社畜としてイライラを溜め込むことが多い日本人からすれば、絶賛共感できるストレス解消ムービーになってると思います!
ネタバレ②:主人公がアクションスターでないことの意味
強そうなオーラのないオーラ
(C)2021 Universal Pictures
同ジャンルの主人公には、ほとんどドル箱の大物スターや屈強な往年のアクションスターが起用されるのが鉄板だけど、本作の主人公ハッチを演じたボブ・オデンカークは、お世辞にも華があるとは言えない役者。これまでのフィルモグラフィーを眺めていてもアクションスターとしての印象が湧かないし、過去の「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」ムービーの主演俳優たちとは毛色が違う佇まい。だがそれがいい! 華があるとは言えないだけに、他のどんなアクションスターたちよりも負のオーラが強い。つまり普段そこらへんにいそうなくたびれたオッサン像を極めてリアルに醸し出せており、いざ暴れ出す時のギャップがより際立っているナイスキャスティング。
これがキアヌ・リーブスとかデンゼル・ワシントン、あるいはスタローンとかであれば、長年染み付いている最強のオーラを隠せず、それはそれで面白い映画になっていたことでしょう。しかし本作では、日本で言えば家庭に居場所がなく社畜として会社の歯車になる毎日を送る中年のサラリーマンが派手にキレるような、華のない地味さが最強の隠し味になってます!
冒頭、ハッチの代わり映えしないルーティーンの1週間が次々と過ぎていくテンポの良さと、生きている意味が不鮮明になりそうなリアル日々とのシンパシーがたまらない。
ネタバレ③:ダーティに攻めるストレス爆発アクション
『ジョン・ウィック』では、銃撃と格闘術を組み合わせたガンフーが披露され、そのスタイリッシュな殺しの立ち回りが最高にキマッていた、一方の本作のアクションはと言うと、テーマはズバリ泥臭さ。特にそれが顕著に現れているのが、初のアクション見せ場となるバス車内での乱戦だ。チンピラたちに拳を振るうはいいが、ハッチ自身もバカスカ殴られるんですよね。ジョン・ウィックも戦いの最中で怪我はするが、ハッチの場合は怪我というより返り討ち。敵のパンチに沈み、ぼろ雑巾みたいになって痛みに顔をしかめるハッチの姿ははっきり言って情けない。だがこの泥臭さが良い! 拳を顔面で受けながらも、ゴリ押しで少しずつ優勢になっていくダーティな闘い方。何事も綺麗に決まらない、現実とは得てしてこんなもんだ。殺しのプロとはいえ長年のブランクをチラつかせるようなハッチの殺陣は、スタイリッシュアクションとはまた異なるリアリティとかっこよさで満ち溢れています。
終盤の最終決戦も凄まじい迫力だった。自分の会社をありったけの金塊で買収したハッチは、会社の中に殺る気100%のトラップを張り巡らして大胆リフォーム! 会社内に籠城し、侵入してきたマフィアがトラップにかかって怯んだ所に銃を撃ち込むオーバーキル! 本気で人が死ぬ殺人版『ホームアローン』なシチュエーションは観ていてワクワクするし、金型工場ならではのトラップギミックも個性が効いていて見どころ満載。ここに来て若干のスタイリッシュな動きも見せつつ、実は張っていた伏線を回収しながら応戦したり、何より人がゴミのように死んでいくので気分いいったらありゃしないね!
溜め込んできたストレスを文字通り大爆発させる、地味な男の最高に派手で痛快な無双アクション。観ているこちらもストレスが吹っ飛び、ヤクでも決めたんじゃないかと思うほどの高揚感と爽快感で満たされますよ☆
ネタバレ④:笑いながら銃をぶっ放すクリストファー・ロイド
地味な最強トリオ、壮絶に暴れる!
(C)2021 Universal Pictures
表向きにはあまり宣伝されていないけど、地味に出演者が豪華だったのには面食らった。ハッチの義父であり会社の上司でもあるエディを演じているのは、『スキャナーズ』や『トータルリコール』などで知られる、名バイプレイヤーでありカナダのジャック・ニコルソンでもあるマイケル・アイアンサイド。言われるまで気付かなかった。そして理髪店にいた指示役のバーバー(そのまんまやないかい)はコリン・サーモン。ほら、『バイオハザード』や『エイリアンVSプレデター』でサイコロステーキになっていた(なりかけていた)あの黒人のおっさんだ。顔は全然変わってないけど、ちょっとふくよかになったような体の幅には加齢を感じた。
あとは、ハッチの腹違いの兄弟としてラストに姿を現すハリー・マンセルがなんとRZAだった! 『マッハ! 無限大』や『アイアンフィスト』など、ヒッポホップアーティストながらもアクション映画にも多数参加している彼なので、至近距離からスナイパーライフルを発射して3人まとめて貫通キルさせる制圧術に拍手喝采。そして最大の目玉キャスティングとなっているのは、ハッチの父親のデビッド・マンセルを演じたクリストファー・ロイドでしょう! そう、ご存知『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのドクその人です。あのドクが、80歳を超えておじいちゃんになったドクが、まさかまさかの豪快にショットガンをぶっ放し、返り血を浴びてヒャッハーと笑う日が来るとは・・・。ここにきて実現した、クリストファー・ロイドの『エクスペンダブルズ』アクションを観るだけでも、本作を手に取る価値は十分にある! 本当に素晴らしい、涙が出てくる〜。
デビッドが老人ホームで夜な夜な西部劇を観ているのは、間違いなく『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』へのオマージュポイントですよね笑
考察①:ハッチは結局何者? ラストの意味は?
劇中では、ハッチは元々軍の中で会計士をやっていたと説明される。軍人は軍人でもデスクワークだったのかと思いきや、徐々にその実態が明らかになっていくサスペンス。「俺は3文字の政府機関で、最も恐れられていた会計士をやっていたんだが・・・。」というハッチのゾッとする発言から、会計士というのはデスクで会計をするのではなく、007のような殺しに特化したコードネームの一種だと推測できる。なるほど、金銭を処理するように相手を「精算」するってか。この3文字の政府機関が何なのかも気になる。CIAかFBIかMI6か・・・。ここはハッチの父親のデビットが元FBI捜査官だったと説明があったことから、ハッチはFBI内で汚れ仕事を請け負い、殺しのライセンスを持っていた人物だったんじゃないかな〜って予想しました。続編や前日譚のスピンオフでこの種明かしを描いても面白そう。
全てにカタをつけて家族を守り切ったハッチが、メチャクチャになった自宅から離れて新居購入を検討するラストシーンでは、ハッチの元に一本の電話が。電話から漏れてきたメッセージはこちらに聞こえないけど、それを耳にしたハッチは「この家に(家族を守るための)地下室はあるかな?」と質問して画面が暗転、素晴らしいオチだった。ロシアンマフィアを壊滅させたことによって別のグループから目をつけられたか、ロシアンマフィアのボスのユリアンも関わっていた、「オブシャック」と呼ばれる共有財産チームから反感を買ったか、はたまた暴れすぎたことで元々所属していた3文字の機関から抹殺命令が出たか・・・。いずれにしてもハッチがまた誰かから命を狙われていることを匂わせるラスト。続編では間違いなくこの背景が伏線になりますね。
エンドロールの途中で流れる、ハリーとデビッドが1台のバンを走らせ、その社内には大量の武器が乗せられているシーンも気になります。これも明らかに続編への伏線ですよね。ハッチから新たに連絡を受けた2人が、彼に協力するために動いているんでしょうか。
■鑑定結果
ストレス社会に君臨する、超スッキリ爽快の「舐めてた相手が殺人マシーンだった」ムービーの新機軸!
■映画『Mr.ノーバディ』はどんな人におすすめ?
・「舐めてた相手が殺人マシーンだった」映画が好きな人
・ヒネリのあるストーリーを楽しみたい人
・ショットガンをぶっ放すクリストファー・ロイドが観たい人
■最後に
本作と同系統の「舐めてた相手がマ・ドンソクだった」映画の『悪人伝』も鑑定してます☆
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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