みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『スパイダーパニック!』です。
画面を覆いつくすほどのクモたちが溢れ出る、安定のB級満載なクモ・パニック作品です。
それでは早速鑑定していきましょう!
■作品情報
・基本情報
(C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited. (C) 2002 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
■原題:Eight Legged Freaks
■発掘国/制作年:アメリカ(2002)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:エロリー・エルカイエム
■主要キャスト
クリス:デビッド・アークエット
サム・パーカー:カリ・ウーラー
マイク・パーカー:スコット・テラ
アシュリー・パーカー:スカーレット・ヨハンソン
ハーラン:ダグ・E・ダグ
ピート:リック・オーバートン
ウェイド:レオン・リッピ―
ジョシュア:トム・ヌーナン
・あらすじ
アメリカのアリゾナ州に広がる田舎町、プロスパリティ。産業廃棄物を搭載して走行していたトラックが町はずれの道で危うく事故を起こしかける。そのはずみで荷台から1個のドラム缶がすぐ側の池に落下してしまい、池の水は化学物質で汚染されてしまった。そんなことを知らない池の近くに住むジョシュア(トム・ヌーナン)は、その池にいるはずのない大量のコオロギを捕まえて持ち帰る。彼は世界中の多種多様なクモを飼育して繁殖させているクモマニアで、コオロギをクモのエサとして捕まえていたのだ。1週間後、街に住むクモ好き少年のマイク(スコット・テラ)がジョシュアの家を訪ねると、コオロギを食べたクモたちが何故か若干巨大化しているとジョシュアが興奮していた。マイクが帰った後、ショーケースから脱走した一匹のクモがジョシュアを襲撃、騒ぎに乗じてすべてのクモが脱走してしまい・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
みんなが最も毛嫌いするであろう虫の一種、クモをテーマにしたモンスターパニックムービーです。化学物質の影響で巨大化したクモたちが群れを成して田舎町を襲撃し、それに翻弄される人間たちが描かれるという、いたって単純明快な物語。原題の「Eight Legged Freaks」は「8本脚の怪物」、つまりはクモのことを指したタイトルなんだけど、劇中でクモたちが派手に町を襲う様子をイメージして設定した『スパイダー パニック!』という邦題は的外れでもなく、これまた単純明快で分かりやすく大変よろしい。
特筆すべきはクモたちの映像。巨大化したクモたちはフルCGで描かれているんだけど、これが驚くほどリアルなのだ。思わず身の毛のよだつ脚、体毛、ネバネバ糸噴射も含めて、クモたちの生き生きとした動きが抜群に良い。クモを扱ったモンスターパニックは数あれど、CGのリアルさで見れば圧倒的にA級の作品で、Z級底辺作品の『キングスパイダー』なんかとは雲泥の差である。おまけに単にクモと言っても様々な種類のクモが登場し、それぞれの特性に合わせてサスペンスやアクションを演出しているセンスの良さも光っているね。
監督のエロリー・エルカイエムなんて1ミリも聞いたことのない映画人だが、本作の製作総指揮に『インデペンデンス・デイ』や『デイ・アフター・トゥモロー』などの大規模ディザスタームービー常連監督であるローランド・エメリッヒ先生が名を連ねていることに驚いた。さらには後に『アベンジャーズ』入りすることになる無名時代のスカーレット・ヨハンソンが主要キャラにいて、無名ながらも可愛さとセクシーさが爆発してる。なるほど、後に「ブラックウィドウ=クロゴケグモ」と呼ばれる彼女はこんなところでクモに襲われていたのだ。あと、クモ相手に果敢にショットガンをぶっ放すヒロインのサムを演じるカリ・ウーラーが、『アナコンダ』でヘビに悲鳴を上げていた小鳥ちゃんだったのは知らんかった。本作の方が人妻らしい大人の色気が出ていて好み♡
全体的なワーナーらしいコメディタッチが人によってはキツいかもしれないけど、ポップコーン片手に観るクモ・パニックとしては普通に面白いバカ作品です。ポスターに映るデヴィッド・アークエッドの、驚いているのか爆笑しているのか分からないアホ面がもうバカ 笑
↑登場シーンも多いので、スカヨハファンなら食いついてみる価値はあるネ!
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想
・テンポ良すぎなク黙示録
クモの量と鮮度の良さは気持ち悪いほどに格別。
(C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited. (C) 2002 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
とりあえず舞台となるプロスペリティにはかつて金で栄えた鉱山、今は町全体が不景気、町長が勝手に建てたショッピングモールといったバックストーリーがあるけど、そこらへんはあまり気にしなくても大丈夫。なんで化学物質を帯びたコオロギを食べたクモが巨大化したのかについてもこれといったメカニズム説明もなく、要するにストーリー進行に全く持って無駄がないのだ。「モンスターパニックにおいてモンスターが巨大化した理由はさして重要ではない」という頭の悪さを全面的に肯定し、さっさと巨大クモたちが暴れまわる様子を流してくれるテンポの良さ、いいじゃない。でもって早い段階から進撃のクモが展開し、無数に膨れ上がったクモたちがアメリカの田舎町を覆いつくしていく大規模な光景は、ディザスターモノを得意とするローランド・エメリッヒの参加があってこその迫力と演出力でしょう。まさにク黙示録。でも人間が喰われるシーンへのクローズアップ、ゴア描写はほぼ皆無なので、そういうのを期待してる人にとってはちょっと物足りないかも。
追い詰められた町民たちが最後に逃げ込むことになるのがショッピングモールという点もオツじゃないだろうか。ショッピングモールでの籠城と言えばゾンビ映画のお約束ではあるが、クモたちと闘うために各々がモール内の日用品や武器を調達していくシーンはやはりワクワクするもんだ。でも所詮はただの町民たちだから、手にした武器を全く活かせずにどんどんクモに喰われていくのがなんともマヌケで景気が良い。その中でご丁寧にもホッケーマスクを被ってチェーンソーを起動させるジェイソンのネタ要員みたいな奴までいるのがくだらない。こいつもすぐに死ぬ。しかもジェイソンは鉈とかナイフを使うキャラじゃない?『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスと混同している気が・・・。わざとか?笑
まあこのチェーンソーがあったからこそ、格子から突き出た多数のクモの脚をピートが連撃チョンパするという名場面が生まれたんだけどね 笑
・十蜘蛛十色のアクション
跳躍力の高いハエトリグモ先輩の見せ場多し。
(C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited. (C) 2002 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
クモという生物は非常にロマンの溢れる虫の一種で、単にクモと言っても種類ごとに生態や狩りの方法が全く異なります。クモの巣を空中に張る奴もいれば、トンネル状の巣を作る奴、巣を張らずに飛び回る奴、土の中に潜る奴、カウボーイの投げ縄のように糸を振り回す奴など、他の虫と比べてもかなり個々の色が強い。十人十色ならぬ十蜘蛛十色なのだが、本作はそんなクモの多種多様性をフルで活かした演出力が最大の長所ポイントとなっている。
コガネグモとかタランチュラとか、普通に歩き回ったり糸を噴射してくるクモだけではない。例えばハエトリグモ。ほら、よく皆さんの家庭にも出没する、ピョンピョン跳ねるアイツだ。本作ではそんなハエトリグモの特性を活かし、砂漠地帯を走るエキサイトバイクをピョンピョン跳ねながら追跡するという名シーンが存在する。これは面白い。勢い付けてジャンプしたバイクを、続けてジャンプしたハエトリグモがエクストリーム空中キャッチする姿なんてトリハダもんだ。快晴で明るい砂漠でバイクヤンキーたちとクモが入り乱れる非常に動きのあるシーンなんだけど、実写とCGの粗はなく至って自然だし、何気にバイクスタントのレベルが高かったりもする、クモ映画屈指の名シーンと言える。バイク集団を睨みつけるクモの目に逃げていくバイク集団が反射するカットなんか天才すぎだ。
あとはトタテグモ。こいつは地中にトンネルを掘って入り口をワンタッチ開閉みたいな便利なフタで閉じ、近くに獲物が通りかかるとパッて飛び出して捕まえるという切れ者。日本ではこいつよりも、家の軒下で筒状の糸袋を壁に貼り付けるジグモの方が馴染みがあるかもしれないけど、ようするにトタテグモは地中のスペシャリスト。本作でも突如地中から飛び出してダチョウや人間たちを捕まえ、次々と地中へ引きずり込んでいく見せ場があり、サスペンスフルなアクションシーンでの盛り上げに一役買っているのだ。
クロゴケグモの女王に追われながらバイクで坑道を疾走するハイライトも中々見応えがあるし、全体的なアクションのキレも良い。そしてクモは音に敏感、嗅覚が鋭いなどといったリアリティのあるクモの特性を伏線としてちゃんと仕込んでいて、バカ映画なのに意外と抜かりがないことも分かる。
モンスター映画界において、本作のクモのように、他にもヘビやサメなどが大量に襲い掛かってくる作品は山ほどある。それでも他の映画においては、クモならクモ、ヘビならヘビとその生物を単なるいち生物とくくってしまっているのがほとんどだ。本作のように一つの生物が大量発生するという設定の上で、種類ごとに特徴のある生態を活かした見せ場を創作して単調化を回避している映画はとても貴重なポジションだと思う。
なんで僕はこんなにもクモを熱く語れるのか。実は管理人は小学生時代の一時期、クモの魅力とロマンに魅了されるという一般道を完全に外れてしまった期間があったのだ。夏休みの自由研究のためにクモを飼育して観察日記を付け、それがそこそこ評価されたという何の役にも立たない経歴もある 笑 その好奇心はすでに下地のあった映画という趣味にも派生して、だからこそリアルタイムで劇場で観た『ハリー・ポッターと秘密の部屋』とか『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』に巨大クモが出てきたときには痺れた。今となって考えたら、クモを好きになったことで本作を含むクモ映画をはじめとする大量のモンスター映画を観ることになったし、幼いながらも少年心を裏切る沢山の底辺映画を観てモンスターパニック界隈並びに映画界の闇を知るきっかけにもなったなあ 笑 それまで母親に紹介してもらってた王道・大作のアクション、ファンタジー、アニメとか安パイしか知らなかった自分にとって、初めてジャンルを開拓して地雷を踏みに行くという行為だった。クモは管理人のルーツの1つと言うべきなのかもしれない 笑
・わざとらしすぎるコメディ
志村うしろ~うしろ~、的な定番シーンもあり。
(C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited. (C) 2002 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
本作のクモには、何故か全面的にコメディの味付けがされている。クモたち一匹一匹が甲高い鳴き声でわちゃわちゃと言葉を発していたり、「アッオー」と驚いたり、砂煙にむせたりと、クモたちに人間のような感性が設定されていて、やたらとその描写が多い。それを言い換えるのであれば、例えば『スター・ウォーズ』シリーズの酒場シーンで宇宙人たちがわちゃわちゃ楽しんでるシーンと言うか、『グレムリン』でグレムリンたちがいたずらをして騒いでるシーンと言うか、いかにもワーナー印のコミカル調と言うか(そう言えば『グレムリン』もワーナーだ)・・・。いずれにしても、コミカルな言動を見せるクモたちの様子がかなり大袈裟に描かれているのでパニック劇としての緊張感が欠けてしまっているのが残念。子供だましもいいとこくらいのレベルでわざとらしすぎるので、人によっては背筋に強い寒気が走るだろう。
少なくとも管理人はそうなりました 苦笑
■日本がらみ
■鑑定結果
わざとらしいタッチが気になるものの、クモ映画の中でもずば抜けてリアルに動き回るクモを観ることができるので、地雷を踏みたくない人が安心して歩くことのできる作品だ。
となります!!
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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