みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『バトルヒート』です。
ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアルテミスの師匠となるハンター役のトニー・ジャーを勝手に応援企画第4弾!
『ワイルド・スピード SKY MISSION』に続いてトニー・ジャーが参戦したハリウッドアクション作品です。
それでは早速鑑定していきましょう!
目次
■作品情報
・基本情報
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
■原題:Skin Trade
■発掘国/制作年:アメリカ/タイ(2015)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:エカチャイ・ウアクロンタム
■主要キャスト
ニック:ドルフ・ラングレン
トニー:トニー・ジャー
ヴィクター・ドラゴヴィッチ:ロン・パールマン
リード:マイケル・ジェイ・ホワイト
ミン:セリーナ・ジェイド
コステロ:ピーター・ウェラー
セネター:ケイリー=ヒロユキ・タガワ
・あらすじ
タイ警察に所属するトニー(トニー・ジャー)は、国内で問題になっている若い女性を中心とした人身売買摘発に躍起になっていた。人身売買に携わっていた男の口を割らせたトニーは、セルビア人のヴィクター・ドラゴヴィッチ(ロン・パールマン)率いる家族ぐるみの人身売買組織が、近日中にアメリカのニュージャージー州の港に現れる情報を得る。タイ警察からの情報提供をもとに、アメリカ地元刑事のニック(ドルフ・ラングレン)はニュージャージー港に強制捜査に入り、銃撃戦の末にドラゴヴィッチを逮捕する。一件落着かと思いきや、ドラゴヴィッチの息子たちからの報復を受けたニックは妻子を殺害され、自身も大怪我を負ってしまう。一命は取りとめたニックだったが、保釈されたドラゴヴィッチは姿を消してしまった。復讐に燃えるニックはドラゴヴィッチがカンボジアに逃亡したことを知り、単独で行動に出るのだが・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
ハリウッド往年のスウェーデン人アクションスターのドルフ・ラングレン、『マッハ!』や『トム・ヤム・クン!』などで超人的なアクションを披露してきたタイ出身のアクションスターのトニー・ジャー。2大新旧アクションスターの共演兼バトルが本格実現した夢のアクション作品です。アメリカとタイの合作で、安っぽ~い邦題がその予算の低さを物語っているようだが、実はインデペンデント作品として勝手に負の烙印を押してしまうのがもったいないくらい、劇中のアクションは硬派で本腰の入ったクオリティを誇る。
それはやはり、現代の格闘アクションスターの代表格にあるトニー・ジャーを主演に招き、かつ彼のアクションの持ち味を前面的に意識しているからだと思う。ジャーのハリウッドデビュー作は『ワイルド・スピード スカイミッション』だけど、撮影は実は本作の方が先。『ワイスピ』もジャーの見せ場は意識されてたけど、主演と言うこともあって見せ方は本作の方が凝ってる。現時時点において、最もカッコよく動くジャーを拝むことのできるハリウッド作品として、ファンなら欠かせない代物だ。また、ジャーがこれまで見せたことのない大人の演技をしているのも見逃せない評価ポイント。
主演2人の他にも、『ヘルボーイ』や『ブレイド2』のロン・パールマンをラスボスに迎え、『スポーン』や『デッドロックⅡ』の、黒人なのにホワイトな(失礼しました)マイケル・ジェイ・ホワイト(MJW)、あのロボコップ俳優ピーター・ウェラー、ドルフとは『リトルトウキョー殺人課』以来の共演となるケイリー=ヒロユキ・タガワなど、妙にこの界隈の物好きたちを刺激するというか、無駄に豪華なメンツが集結しているのも嬉しいところ。ジャーVSドルフ、ジャーVS MJWのドリームマッチが何よりのセールスポイントだろう。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・アクション俳優の可動域を広げたトニー・ジャー
ジャーはガンアクションにも挑戦。
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
現時点でジャー唯一のハリウッド主演作(W主演ではあるけど)ということもあり、ジャーのアクションどころは全体的に多い。そしてヒジとヒザを駆使したムエタイ戦術、道なき道を進むパルクールなど、デビュー当時からジャーが売りにしてきたアクション要素をきちんと詰め込んでいるのはかなりの好印象だ。といっても一連の動作をカット割り連発で映すという、ハリウッド特有のジャーの魅力を損なう撮影方法がたまにキズだけど、他のジャーが出演したハリウッド作品と比べるとかなり頑張っている方。加えてジャーは刑事という役柄上、拳銃はもちろんポンプアクションの心地が良いショットガンをぶっ放すガンアクションにも本格的に挑んでおり、自身のアクション可動域拡大にも意欲的に動いている。
ストーリー自体はなんてこともないが、本作ではジャーに演技面でも成長を促しているのが評価に値する。それまで盗まれた偶像とか象を探しに田舎からやってきた野暮ったい青年を演じてきた彼が、スーツやジャケットでアダルトクールな衣装に身を包み、ここにきて『マッハ参!』以上にヒロインとの絡みやラブシーンという大人の演技に挑戦しているのだ。ストーリー上、決して華やかな恋路とは言えない関係性にちゃんと哀愁を機能させており、ジャーにいち俳優としての演技の度量を認知してもらえる良い機会になったと思う。ここで早いうちからアクションのみのバカ俳優の烙印を押されなかったのは大きく、小規模ながらもハリウッド進出の船出は順風満帆だったようだ。
ちなみに「ストーリーはなんてことない」と書いたけど、「子が親に平気で売られる」、「人を買う人間がいて商売が成り立っているから人身売買をする」など、人身売買という名の社会問題が結構エグめに描かれており、エンドクレジット前の「毎年2000~3000万人の人身売買が行われている」という文章にはぞっとした。安っぽい邦題の下にこんな社会派のメッセージが隠されていたとは。
・トニー・ジャーのパルクールとドルフのバイクアクション
ジャーの原点、パルクール・アクション!
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
タイのスラム街で繰り広げられる、ニックとトニーのエンジンフルスロットルな鬼ごっこ。ここではドルフがバイクで逃走し、ジャーが足でそれを追うという前半の見せ場だ。人と物で溢れる雑踏なスラム街ステージでは、狭い路地をバイクが走るのは危険に映るし、障害物を避けながら道を選ばず疾走するジャーにとっては自身のポテンシャルのアピールタイムにもなり、なかなか見応えがある。例によってカット割りが多めのため、ジャーのパルクールの魅力は薄れてしまっているが、『ワイスピ』よりは随分マシ。
ドルフはドルフで、一連のバイク操縦は全て自分でこなしているらしく、なんでも最初はスタントマンを使う予定らしかったのだが、ドルフ曰く「スタントマンに金髪のヅラを付けて撮影してみたら、どう見ても俺に見えねえんだよ!!」で、結局全部自分でやることになったらしい。流石IQ160の男、咄嗟に出る分析と行動力が違う。
・トニー・ジャーVSドルフ・ラングレン
ジャーのムエタイ殺法がドルフに炸裂!!
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
まさかまさかの対戦カードが奇跡の実現。ネームバリュー的には本作中で最も豪華な組み合わせで、ムエタイの闘神VS極真空手の人間核弾頭の死闘が繰り広げられる。ジャーはキャリアも年齢も上のドルフに臆することなく、脳天へのヒジ鉄、勢いの良い飛び膝蹴り、鋭角な後ろ側転蹴りなど、持ち前の破壊力抜群な殺人殺法で攻めに攻めまくる。ハリウッドの大先輩相手に安定のジャーコンバットが観れるのはもちろんだが、三角飛び蹴りじゃないけど、ジャーが壁や柱を蹴って飛び出した反動を活かしてヒジを突き出すという、新しいパフォーマンスに挑んでいるのも地味に興味深い。唯一惜しむらくは、ドルフの攻撃を受け流したジャーが、すかさずバック宙をしてドルフの顔面にサマーソルトキックを振り下ろす一幕。3カットに分けて映しているんだけど、ここをワンカットで見せてれば、「これぞジャー!」って感じで100点満点だったのになあ。変なところにカットを入れる、ハリウッドの悪い癖だ。
あとジャーのムエタイアクションの色が濃すぎて、パワー一辺倒に走っているドルフが物凄く地味に見えてくる。デビュー当時は最高の肉体とルックス、IQ160の知性、そして何より極真空手の有段キャリアと、クラスにいれば他の男子に物を言わせずモテるハイスペックを看板にしてアクション界に入ったドルフ。でもよくよく考えると、彼は白人アクションスターとしてはどちらかと言えばヴァン・ダムのような格闘キャラではなく銃と筋肉のパワータイプ寄りであったし、特に格闘映えしている作品があった記憶はない。それだけジャーの格闘アクションの個性が強いことが露呈しているってことだけどね。
ほとんどジャーのワンサイドゲームみたいな試合運びで、締め方もドルフが銃を向けて強引に終わらせるというものなので、もうジャーの勝ちってことで良いよね? 若い芽を摘むことなくひたすらサンドバックに徹した先輩ドルフの心意気と受け止めようか。
・トニー・ジャーVSマイケル・ジェイ・ホワイト
筋肉爆弾なのに、この打点の高さ!!
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
こちらもドルフと同じ空手をはじめとして、他にも様々な武道で実績のあるMJW。彼もしっかりと動くことのできるアクション俳優なので、ジャーの対戦相手としては不足がない。で、MJW、劇中のドルフと比べるとビビるくらいメチャクチャに動く。ビシッと決めたスーツが悲鳴を上げているのが分かる巨体にも関わらず、打点の高いハイキックや旋風脚などテクニカルな技も連発。柔と剛を両方兼ね備えたMJWは、縦にも横にもジャーより一回り大きく、「絶対に喧嘩したくない」威圧感がハンパじゃないね! こいつに路地裏で絡まれでもしたらと、考えるだけでも生きた心地がしないよ~。
この対戦カードで度肝を抜かれたのが、ジャーが放つ渾身の必殺タイキックを、MJWがいとも簡単に「体感」で弾き返してしまう様子だ。かわしたりさばいたりせずに、敢えて当てて返すカウンターなわけで、恐ろしいジャー対策に「すんげえ!!」と開いた口が閉じなくなる。ジャーも負けじとヒジとヒザと跳躍力を駆使して応戦するのは観ていて胸が高鳴るし、屋内に入ってからの戦闘は複雑な立ち回りながらも長回しが採用されている。最後はジャーらしい大技で綺麗に決めることもあり、残念ながらドルフを差し置いて、本作で一番盛り上がる対決シーンとなってるのは言うまでもない。
・トニー・ジャーVSマイク・ドプド
恋人を守るためにキレるジャー!
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
劇中でのジャーにとってのラストバトル。ドラゴヴィッチ家の息子のゴランを演じるマイク・ドプトは元プロサッカー選手で、スタントマンや脇役として『デッドプール2』や『ザ・プレデター』など数多くの大作に出演しているものの、特に格闘アクションスターとして注目をされているわけでもない。だからこの対決では完全にジャーの引き立て役に回っているだけなので、最後のタイマンとしてはちょっと物足りなく感じる。でもジャーの連発させる大技を喰らうという名誉的な役どころなので、マイクのキャリアの中では自慢したいひと時になっているはず。ジャーのテンプレ殺法も充実しているので、決して観ていてつまらんという訳ではない。
ジャーはここで、『マッハ!』でもやっていた宙返りかかと落しの離れ業を炸裂させるんだけど、残念なことにここもカット割りが入っちゃってる。これは『ワイルド・スピード スカイミッション』でもやっちゃった失敗。でも物語の前半でジャーとセリーナが見せていた、何でもない恋人の戯れと思っていた防衛動作がこのシーンの伏線になっているのには舌を巻いたな。
一方のドルフVSロン・パールマンは重量級スター同士の殴り合いになっているけど、もうちょっと派手にシバき合ってくれても良かったのに。あと、ドルフVSケイリー=ヒロユキ・タガワという『リトルトウキョー殺人課』以来の交わりとなるか?と若干期待していたけど、かすりもしなかったなあ 笑
■日本がらみ
■鑑定結果
低予算ながらもアクション映画としては安心して観ることのできる面白さ。トニー・ジャーの潜在能力と併せて今後の伸びしろも楽しむこともできる、是非手にしておきたい意欲作です。
となります!!
トニー・ジャーについて知りたい方はこちらの記事もどうぞ☆
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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