【ネタバレ/感想/考察】『新感染半島 ファイナル・ステージ』の鑑定【ラストの台詞の意味】

ホラー
(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

 

Jing-Fu
Jing-Fu

みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは『新感染半島 ファイナル・ステージ』です。

韓国産のゾンビアクションとして一世を風靡した前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』の世界のその後を描く続編が全国で公開中です。

それでは早速鑑定していきましょう!

■作品情報

・基本情報

(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

■原題:반도/Peninsula

■発掘国/制作年:韓国(2020)

■キャッチコピー

あれから4年。かつての祖国は、別世界となっていた。

 

・監督、キャスト

■監督:ヨン・サンホ

 

■主要キャスト

ジョンソク:カン・ドンウォン

ミンジョン:イ・ジョンヒョン

チョルミン:キム・ドゥユン

キム -:クォン・ヘヒョ

ジュニ -:イ・レ

ユジン – イ・イェオン

ファン軍曹 : キム・ミンジェ

ソ大尉 : ク・ギョファン

・あらすじ

韓国のバイオ団地で突如発生したゾンビウィルスが感染爆発を見せている中、軍人のジョンソク(カン・ドンウォン)は、姉家族と共に国外へ脱出するための船に向かっていた。しかし船の中でもゾンビとなった感染者が発生し、ジョンソクは姉と甥っ子を失ってしまった。それから4年後、ウィルスの発生した1日後に韓国は国家機能を停止しており、現在は完全にロックダウンされて見放された土地となっていた。ジョンソクは義兄のチョルミン(キム・ドゥユン)とともに香港に亡命をしており、失意の毎日を送っていた。ある日彼らを匿っている裏社会のボスから、「3日以内にソウル内に残されている2000万ドルを載せたトラックを回収する」というミッションの命令が下り、腐った状況から抜け出そうとするチョルミンと共に、ジョンソクもこの指令を受け入れる。4人チームとなったジョンソクらは裏ルートにて韓国内に潜入することに成功したのだが・・・。

■ざくっと感想

Jing-Fu
Jing-Fu

本作の鑑定結果は、、、

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)!!

本格派韓流ゾンビムービーとして一躍名を馳せた『新感染 ファイナル・エクスプレス』より4年後の世界を描く続編です。続編と言ってもあくまでも前作の世界観の延長線上に当たる話で、登場人物が続投していたり物語が連結しているわけではないので、前作を観ていなくても多分楽しめるはず。

列車内という閉鎖空間でのゾンビパニック、その中で巻き起こ様々な人間性晒しのドラマを描いた前作の作風から一新、銃撃戦やカーチェイスなど、ドラマ部分よりも荒唐無稽なエンタメアクション劇に特化しているのが特徴だ。前作のようなドラマチックな趣は弱くなり、ゾンビの印象と恐怖が若干薄まっているので面をくらうけど、それでも世界から見放されて無法地帯と化した韓国を舞台に繰り広げられるバトルアクションの見応えは中々のもの。無法地帯で生きる人間たちの狂気が反映されたストーリーも世紀末感があって良い。

アクション面で注目すべきは、中盤とラストに用意されているカーチェイスシーンだろう。思わずシートのひじ掛けを握りしめたくなるような迫力とスピード感は、ハリウッド映画に匹敵すると言っても過言ではないです。

感染爆発、ロックダウン、ウィルス差別など、皮肉にも今僕たちが直面している現実社会を映した笑い事ではない出来事がいくつも見受けられるので、単にエンタメ作品として高揚感に任せて楽しめばいい、と考えるとちょっと複雑でもあり、ますますウィルス社会の恐ろしさを浮き彫りにさせられた感じだ。

 

前作の鑑定もしていますので、良ければ併せてどうぞ☆

 

以下、ネタバレありの感想と考察になります。

作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!


 

 

 

 

 

 

 

 

■感想

・アクション要素が強めの作風

銃や車によるアクションの火力は高め!

(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

前作もアクションシーンは大いな見所だったが、本作で描かれるアクションは同じアクションでも趣がかなり異なる。ギリギリの局面下におけるサバイバル・アクション劇で肝を冷やすような緊迫したアクションだった前作に対し、本作は娯楽作品用にケレン味を増したエンタメアクションがかなり押されている。銃や車といったアイテムがズラリと揃った環境なので、アクションの火力が増した分、サバイバル感は薄れた印象。リアリティで観るのであれば前作の方が格段に現実味を帯びた演出だったけど、本作のアクションはいずれもスクリーン映えの名に恥じないほど勢いがぶっ飛んでいるので、これを否定する気にはなれない。アクション好きとしては素直以上に楽しめるレベルだったので満足です。

主演のカン・ドンウォンイ・ジョンヒョンを始め、ゾンビ役者さんたちもみんな体を張って動き回っていたので画はかなり力強いです。

Jing-Fu
Jing-Fu

髪を伸ばした4年後のカン・ドンウォンは、ちょっとマックス・チャンっぽい色気を漂わせる女子殺しの魅力が溢れていたな。

・ハリウッド顔負けのカーチェイス

マッドマックス爆走な超絶カーチェイス

(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

『グラセフ』よろしく問答無用でゾンビを車で跳ね飛ばしていく爽快感、廃墟と化した危険地帯で火花を散らすカーチェイスなど、本作のアクションシーンの主役はカーアクションで間違いない。武装した車によるアタックやイカれたヒャッハー運転具合は『マッド・マックス 怒りのデスロード』から、ハイウェイと路地裏を縦横無尽に走り回るのは『レディ・プレイヤー1』からなどなど、多くのハリウッド作品からの影響を感じるカーチェイスは、まさにハリウッド映画を観ているのではと錯覚するほどで、香港からブルース・ローでも呼び寄せたんじゃないかと思わせるほどのほとんど絶賛クオリティ。ほとんどCGだとは分かっていようが、かえって独特な映像の味が出てて面白い。イルミネーションカーや宣伝カーなど、音や光でゾンビを利用するという、前作のゾンビの習性が活かされたアイデアも良かった。カーチェイスは前作のテーマから完全に逸脱したぶっ飛びっぷりで、本当に同じヨン・サンホ監督の作品なのかと首をかしげるが、とにかく映像が強すぎるのでそんな邪念を捨てて頭を空にしてても楽しめる。本当に韓国映画のポテンシャルは侮れんなあ。

Jing-Fu
Jing-Fu

ここでV8させる気か!!笑

・添え物になったゾンビくんたち

ゾンビたちのはしゃぎ方は前作にも劣らず!

(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

前作以上にアグレッシブに動き回るゾンビたち。廃墟の街の暗がりから集団でダッシュしてくるゾンビたちはさぞ恐ろしい・・・。はずなのに、銃や車というアイテムがあるだけで前作が持っていた独特の絶望感が弱くなってしまっているのは残念。集団と言っても『ワールド・ウォーZ』のような無茶苦茶な個体数が映るわけでもなく、音と光に振り回されるだけのゾンビたちには、野暮だけど「軍隊が頑張れば制圧できるのでは?」と思ってしまったので、数で押すというアプローチももう一息ほしかったところ。それに本作はゾンビとの追いかけっこよりも武装した人間同士のバトルがメインとなるので、ゾンビたちは完全に脇を支える添え物になってしまった。

でも、ガラス張りの向こうに蠢くゾンビたちがすし詰め状態になっていたり、「かくれんぼ」の試合場で複数のゾンビが肉塊のように固まってタタリ神みたいな恰好をしている個体が出てきたりと、インパクトが強い見せ場が皆無という訳ではない。特に「かくれんぼ」のシーンでは、床に水を張ることによってゾンビたちが躍動するたびにしぶきが上がり、アクション演出を強めているのが効果的でした。

・韓国世紀末社会

まるで『ウォーキングデッド』を彷彿とさせる構築された世界観

(C)2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

世界の世紀末を描いた作品はいくつもあるけど、世界は通常通りに回っている中で韓国のみが国としての機能を失っているという世界観が特殊だ。荒廃して無法地帯となった人間社会の様子はまさに『マッド・マックス』。武力と狂気で支配する独立コミュニティを形成する、かつてゾンビ制圧軍隊であった631部隊。カルト的な狂気や弱者とゾンビを戦わせることを娯楽とするネジ外れ具合は、ゾンビ映画や世紀末映画の基本に戻ったというか、法と秩序の概念がなくなった世界観の雰囲気がよく出ている。映画好きなら見慣れている光景かもしれないけど、アジア産の世紀末映画って観たことがなかったから、その点でもかなり新鮮な気持ちで眺めることができた。

前作で描かれた「自分だけが助かればそれでいい」という自己中心的な人間悪ではなく、本作では「金」という最も人間の黒い欲が湧く腐敗物を用意することによって新たな人間の内面を描いているのが痛烈だ。ジョンソクが受けたソウルから金を持ち出すというミッションも、結局裏社会の人間たちは分け前を配る気などさらさらなく、ミッション遂行者は用済みになれば消すだけのただのコマだったことが判明する。ロックダウンされた韓国内の生き残りを助けに行くわけでもなく、極限下になっても金のことしか考えない人間の下心は、ゾンビよりも恐ろしい。オーソドックスを遵守した皮肉メッセージですね。

■考察

・ジュニの最後の言葉

ラスト。元兵士のキムが密かに連絡を取っていた米軍の助けにより、ジョンソク、ミンジョン、ジュニ、ユジンの4人は軍用ヘリでからくも韓国脱出に成功します。ヘリ内で重傷のため横たわる母親ミンジョンの傍らで、ジュニとユジンは涙ながらに彼女を見守っていました。そんなジュニに対し米軍のジェインは「新しい世界が待っているわ」と、地獄を脱出したことへの慰めの言葉を贈ります。ですがそれに対しジュニは「私たちの世界も悪くなかったです」と静かに返すのです。

ジュニの発した言葉については一切言及なく、その直後に物語は幕引きとなるため、彼女の言葉の意図は直接的には分かりません。もちろん、ゾンビの蔓延した残酷で無慈悲な世界を褒めるなんてことはありえない。じゃあジュニにとって何が悪くなかったのか。それは言うまでもなく家族での生活のことを指しているんでしょう。彼女たちはもともと韓国から脱出しようなどとは思っておらず、過酷な世界で生き続けていくことを決めていたようです。平和と常識が崩れ去り、631部隊を含むあらゆる人間たちが正気を失ってしまった世界の中で、唯一人間らしい理性と行動を保つことのできたキムとミンジョン一家たち。苦しいながらも、そこにはきっとミンジョン一家の温かい家族生活、時間が送られていたはずです。だからこそ、ジェインの言葉に悪気がなくともそれらすべてを否定されたと感じたジュニは、「私たちの世界も悪くなかったです」と反論したんでしょうね。

■日本がらみ

避難先は日本
冒頭、ジョンソクと妹家族が韓国脱出のために乗った船の行き先は日本。しかし先に日本に向かった船の中から感染者が出たため、日本から韓国難民受け入れの拒否が出たことが語られている。「感染者の受け入れ、入国拒否」、これはコロナ禍の現実社会での問題と重なりますね。劇中でちゃんと鎖国できてるじゃん、日本。イギリスのコロナ変異種が日本に既に入ってきちゃってるし、ここら辺はもっと日本政府にしっかりしてほしい!

■鑑定結果

Jing-Fu
Jing-Fu

前作とは趣向を大幅に変えた続編。失い損なわれた部分はあれど、アクション好きとしてはそのケレン味を強めた激烈さで楽しむことができました。

鑑定結果:ダイヤモンド映画(☆7)

 

となります!!

 

前作の鑑定もしていますので、良ければ併せてどうぞ☆

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

よろしければシェアをしていただけると幸いです!↓↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました