ネタバレ/感想/考察『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』の鑑定結果【脂肪遊戯!太ったドニーさんが東京で大暴れ!】

アクション
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Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』です。

日本を舞台に、デブになったドニー・イェンが暴れ回る話題作がお正月映画として全国公開中!

それでは早速鑑定していきましょう!

■作品情報

・基本情報

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■原題:肥龍過江/Enter the Fat Dragon

■発掘国/制作年:香港(2020)

■キャッチコピー

太っても、最強。

 

・監督、キャスト

■監督:谷垣健治

 

■主要キャスト

チュウ・フクロン:ドニー・イェン

ソン・ホーイ:ニキ・チョウ

シウサー:バリー・ウォン

フォンワー:テレサ・モウ

島倉:丞威

遠藤刑事:竹中直人

マギー:ジェシカ・チャン

ファン警視:ルイス・チョン

東野太郎:渡辺哲

山本勇二:葉山豪

シウフー:チェイニー・リン

・あらすじ

強い正義感に燃える熱血刑事のフクロン(ドニー・イェン)は、女優で彼女のソン・ホーイ(ニキ・チョウ)との結婚写真撮影に向かう途中で銀行強盗に巻き込まれる。この事態を見逃せまいと行動にでるフクロンは逃げる強盗らの乗り込んだバンにしがみつき、必死に強盗たちを沈めていくフクロンだったが、バンごと警察署に突っ込んで署長を危うく轢き殺しかけた。それが原因で、フクロンは現場から証拠品保管室での勤務に左遷、大事な予定を守れなかったとしてソンからも別れを切り出されてしまう。デスクワークと失恋によって暴飲暴食に走ったフクロンは、半年後には体重が激増して以前の面影がなくなった超おデブ体形になってしまっていた。ある日、フクロンはファン警視(ルイス・ファン)より、とある事件の重要参考人になっている山本勇二(葉山豪)を日本に送還してほしいと頼まれる。太っても熱い正義感の変わらないフクロンは、この任務が完了すれば現場に戻れると聞いてやる気を出し、山本を連れて東京行の飛行機に乗り込むのだが・・・。

■ざくっと感想

Jing-Fu
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本作の鑑定結果は、、、

鑑定結果ミスリル映画(☆9)!!

往年のカンフースターの1人、サモ・ハン・キンポー。彼の名を世に轟かせた代表作こそ、『燃えよデブゴン』(未だに日本でBDはおろかDVD化すらしていないので、残念ながら未見 泣)である。そんなサモ・ハン作品と同タイトルである本作は、同作にオマージュを捧げ、宇宙最強のカンフースターのドニー・イェンがまさかのおデブ=デブゴンとなり、香港と日本をまたにかけて大暴れするコミカルアクションエンターテイメント作品です。

ドニーさんが日本で暴れる映画なんて、設定を聞いただけで興奮するなというのが無理な話。実際に日本の関東でも2018年初頭に本格的なロケを行っており、管理人も撮影当時にエキストラ募集に申し込みをして本作の撮影現場にお邪魔する予定だったんですけど、直前にその夢は叶わなくなってしまいました(詳しくは後述)、うえーん。

まあそれはともかく、本作では特殊メイクによりデブゴンと化した、ドニーさん演じるブルース・リー愛に溢れる主人公が、その見た目からは想像もできないほどのスタイリッシュでテクニカルなカンフーアクションを披露し、日本にはびこるヤクザたちをコテンパンにやっつけていく痛快さに呆気に取られてしまった。日本人として注目すべき点は、長年ドニーさんの右腕としてキャリアを積み、世界中の映画において監督・アクション監督・スタントコーディネーターとして活躍する谷垣健治 氏が本作の監督を担当していることでしょう。日本でも『るろうに剣心』シリーズや『新宿スワンⅡ』などでアクション監督を務めているお方、と説明すれば、本作のアクションのレベルの高さを想像できるはずだ。アクション監督には同じくドニーさんのもとでキャリア経験もある『HiGH&LOW』シリーズや『亜人』大内貴仁 氏が務めていることもあり、最高の演出力とそれに全身全霊で応えた超絶カンフーアクションが実現しています。

作風は全体的にコメディタッチで、80年代の古き良き香港アクション映画のゆる~いギャグとバカバカしさが豊富。香港映画慣れしている人であれば、肩の力を抜いて気楽に楽しむことができるはず。そういう意味でも、本作は難しいことなど考えずにゆったりしたいお正月に劇場で観るのにうってつけな作品なのです。万人が受け入れやすいコメディ仕立てのストーリーに、ドニーさんの魅力を余すことなく表現したアクションを堪能することができるため、ドニーさん入門作品としてもおススメの逸品です。アクションシーンのヤバさは、冗談抜きでここ最近の純香港映画の中でも突飛してヤバいっす・・・。

ちなみに東京が舞台ということもあり、日本からは竹中直人丞威渡部哲バービーなど国内でも知名度十分の俳優・芸能人らが物語に華を添えています。

 

 

以下、ネタバレありの感想と考察になります。

作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!


 

 

 

 

 

 

 

 

■感想

・令和最強のカンフーアクションがここに!

腹の出たドニーさんが東京に降臨!

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特殊メイクによって全身おデブになってしまったドニーさん。なんでも当初は「脂肪は筋肉に変えられるから俺太るわ!」とリアルな意味で太ろうとしていたらしい。ドニーさんといい、クリスチャン・ベールといい、エドワード・ノートンといい、役のために信じられない肉体改造を実現させる俳優さんたちのプロ根性には感服するばかり。でも本作の撮影後にはすぐ『イップ・マン 完結』の撮影が待っていたらしく、デブ体形から華奢なイップ・マンの体に戻すにはさすがに時間が足りないということで、結局は特殊メイクデブになったという経緯を聞いてるだけでも面白い。

特殊メイクで体形を変えるほどの異物を全身に取り付けた状態でアクションをするなんて、さぞ難儀でやりづらいことだろうな~と思ったのも束の間。そんな心配をもろともせず、デブのドニーさがキレッキレに動くこと動くこと。脂肪は無駄でも、アクションには全くもって無駄なし! 単にパンチやキックの可動域の広さに驚くだけでなく、空中技の跳躍力、建物の上に登って飛んでジャンプするパルクールと、僕たちの設定した高いハードルを余裕で飛び越してしまう異次元のアクションを爆発させています。そんでもって物干竿やセブンイレブンの看板などありとあらゆるものを利用する、いかにも香港アクションらしいバラエティに富んだ基本スタイルも忘れられてない。地元ヤクザに囲まれた四面楚歌の状況の中、ドニーさん演じるフクロンの一方的すぎる痛快無比な無双劇は、ここ最近の格闘アクション映画の中でも選りすぐりの爽快感とかっこよさ。それを披露するドニーさんがデブだからこそ、見た目と動きにギャップが生まれていて、いつも以上に格闘アクションのはインパクトも強い!

Jing-Fu
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逆に、長年デブ体形をキープしつつ生物学を無視した動きを見せ続けるサモ・ハンがいかに超人的なのかが分かる・・・。

チェーンパンチやローリングソバット、スープレックス、飛び付き式腕ひしぎ十字固めなど、ドニーさん印のエクストリームムーブメントがふんだんに取り入れていて、サモ・ハンと一緒のことをするのではなく、ちゃんと自分の色を出しているのが好印象だ。ここまでドニーさが生き生きと動いているのは、やはり監督を谷垣さんが務めているからだと思う。90年代からドニーさんと仕事を共にし、ドニーさんがどう動くことができるのか、どう動けばかっこよく映るのかを熟知している谷垣さんの演出力、そんな谷垣さんからのハード要求に全力で応えるドニーさんのポテンシャル。長年業界を支える過程で培われた2人のシナジー効果があるからこそ、本作のアクションシーンは極限なまでに洗練されていて、アクション映画を観る目の肥えた玄人さえも唸らずにはいられないのだろう。

・印象的なアクションシーンと丞威についての期待

「太っても、最強。」は的を得たキャッチコピー

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エンタメ性抜群のスラップスティック・アクションの連続だけど、その中でも特に印象的だったシーンが2つある。ます1つ目は築地市場内でのアクションシーンだ。パレット、発泡スチロール、カゴにマグロなど、ごちゃごちゃした空間でアイテムや環境を利用する立ち回りには、まるでジャッキー映画を観ているように心がときめくではないか!フォークリフトを使用した危険なアクションも見応えありです(つい昨日、フォークリフトの痛ましい事故がニュースで流れたばかりですが)!

そしてもう1つは、ラストの東京タワーを舞台に繰り広げられるフクロンVS島倉の最終決戦。フクロンはヌンチャクを、島倉は両手にサイという武器を握って衝突する。ちなみにサイとは、あまり聞いたことがないかもしれないけど、言い換えると銭形警部が持っている十手のような武器だ。『七福星』では倉田保昭 氏がこれを使ってサモ・ハンジャッキーと闘っていましたね。というか島倉の武器にサイを選んだのは、谷垣さん流の同作へのオマージュなんだろうな。と、豆知識はさておき、このバトルシーンではドニーさん丞威(岩永ジョーイ)の動きがあまりにも速すぎてあっけらかんになる。いまやアクション界の伝説として語り継がれる『SPL 狼よ静かに死ね』ドニーさんVSウー・ジンによる、警棒VSナイフの対戦カードにも匹敵するほどの壮絶な手さばきの速さは瞬き厳禁。彼らを近距離で舐めまわすように動くカメラワークの臨場感、足場が悪かったり、ヘリコプターのプロペラを回避しながら戦うといった荒唐無稽な演出は、なんでもかんでもドンと来いなエンタメ作品のラストバトルに相応しい華やかさだった。

悪役の島倉を演じる丞威は、あまり知られていないけど日本のジャニーズ事務所に所属していた時期もあり、ジャニーさんからの勧めで海外での活動をしていた、いわばジャニーさんの秘蔵っ子的存在。本作でのパフォーマンスはもちろん、『HiGH&LOW』シリーズにも出ていて動ける俳優さんとしてアクション能力は折り紙付きなので、26歳という若さもあって今後の活躍が楽しみですね。

Jing-Fu
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とても管理人とタメとは思えない大人びた風貌で、普通に演技力も高いと思う!

あと、東京で中華料理店を営むフォンワーのお手伝いをする甥っ子のシウフー。子役ながらもヤクザを退治する時に見せる旋風脚のフォームの美しさと蹴り上げの垂直角度の美麗さに目が点になった。調べてみるとシウフーを演じたチェイニー・リンはテコンドーの神童らしく、『スーパーティーチャー 熱血格闘』では少年期のドニーさんを演じてたあの子だったのだ。そりゃ凄いわけだ。

・溢れるブルース・リー愛

痩せてるドニーさんもいつも通りの暴れっぷりを見せる。

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サモ・ハンの元祖『燃えよデブゴン』は、田舎町ブルース・リー大好き青年が都会に出てきて悪と戦うというプロットだったらしい。ブルース・リーの死後、香港の映画会社はこぞってブルースのソックリさんやパチモン作品を生み出し、その結果それらの事象が「ブルース・プロイテーション」と呼ばれるほどに低俗でお粗末な映画が大量生産されることになった。ジャッキー・チェンでさえ、デビュー初期には第2のブルース像を強制された過去があるほどだ(だからこそ彼はブルースとは違うコメディ路線を開拓できたので、結果オーライとも言える)。そんな質の悪い映画が量産される中、「マネするならリスペクトを!生半可な動きや声の真似でブルースを汚すな!!」とサモ・ハンがパチモン軍への戒めとなったのが元祖『燃えよデブゴン』なのだとか。彼は『燃えよドラゴン』の冒頭でブルースとサシで戦っているだけに、説得力が違うな。

本作も元祖のサモ・ハンが掲げていたテーマをしっかりと受け継ぎ、最初から最後までとにかくブルース・リー愛に溢れた作品だった。主人公の熱血刑事フクロンはブルースに心酔しており、彼の主演作のセリフを覚えるまでにリピートし、闘う前に握りしめた両こぶしを構えるだけでなく、「水の理論」などブルースの哲学にも精通していることが分かる。ラストのヌンチャクも物凄く楽しそうに振り回してるもんなあ、ドニーさん。おまけにスマホの着信音まで『ドラゴンへの道』の音楽になっているという細かい遊び心にはほっこりしちゃう。

本作のテーマ曲は『ドラゴンへの道』のテーマ曲のアレンジである。このアレンジ曲の耳障りの良さ、高揚感を掻き立てるリズム感は格別! テーマ曲に合わせてドニーさんが登場して暴れ出すと、全身にトリハダが広がっていくのと心拍数が上昇していくのが明白で、「今、自分は推しを観て興奮している!」と、まさにアクション映画が持つ醍醐味をつよ~く実感することができて大満足です。

ドニーさんも熱狂的なブルース信者であることは有名なので、本作は決して元祖の単なるリメイクやリブートではなく、ドニーさんサモ・ハンの作品が持つテーマ性をしっかりと継承し、自身の形でブルースへのリスペクトと愛を爆発させたオマージュ作品に仕上がっていました。

Jing-Fu
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死亡遊戯ではなく、まさに脂肪遊戯ですね、デブゴンだけに・・・。

・ドニーさんの微笑ましいセルフオマージュ

劇中でフクロンの過去の活躍回想として、ドニーさん主演の『導火線 FLASH POINT』のダイジェスト映像が使用されているという、ドニーさんファンなら思わず飛び上がりそうになるびっくりサービスシーンに大歓喜しました。同じ『導火線』繋がりでは、「俺太る前はこんなにムキムキだったんだぜ?」とフクロンがシウサーに見せる過去の写真には、『導火線』の砂浜シーンにおける胸筋爆発のドニーさん使用されている 笑 そして続けざまに『SPL 狼よ静かに死ね』の、路地裏での警棒VSナイフのシーンも流れるんだけど、こちらは過去の映像ではなくなぜか新規に撮り直した模様。実は『SPL』も過去映像しようとしたんだけど権利問題がどうしてもクリアできなかったらしい。諦めかけたその時、「だったらまた撮り直せばいいじゃん!」ドニーさんが提案したらしく、本当にあの時を再現してしまった行動力エピソードが微笑ましい。撮影現場がネットに出回った時には、『SPL』の時と全く同じ髪型と革ジャンで仕上げたドニーさんが、15年前と比べても全く変わってない(若々しい)! と全くファンの間で盛り上がってました笑

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↑これが2005年『SPL』ドニーさん

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↑で、これが本作の再現場面。ドニーさん、全然変わっていない!

 ちなみにウー・ジンが演じたナイフ使いの殺し屋ジェット(右)を再演したのは香港の人気俳優のフィリップ・ン。去年公開された『追龍』でもドニーさんと共演している。

 

余談だけど、実際に『SPL』の権利問題は僕たちの予想以上にクリアまでの道のりが泥沼化しているらしく(確か権利保有者の消息が不明?)、日本ではDVDも既に廃盤で未だにブルーレイ化もされていない。これは非常に嘆かわしい事態だ。

・80年代香港映画を思わせるコメディ

丞威演じる島倉(右)は、冷酷とコミカルを使い分ける特殊な悪役でもある。

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全体的に明るくコミカル調で進むストーリーが特徴だけど、本作のコメディ演出はとにかくコッテコテにくだらなくてしょーもない。谷垣さんは本作を『五福星』『悪漢探偵』のような雰囲気にしたかったらしく、なるほど、まるで80年代の古き良き香港アクションコメディを観ているかのような気分になるわけだ。辻褄が合わない、リアリティがない、全部無茶苦茶、寒いギャグという喜劇スタイルを+か−かどちらで捉えるかによって評価は変わるだろうね。管理人はもちろん前者です。これぞ香港映画の原点回帰というか、のほほんとしたお正月に観る映画としてはうってつけの作品。こういう整合性の欠けた緩さが許せない人もいるだろうが、細かいことは気にせずに、頭を空っぽにして楽しむという寛容さがあってもいいじゃない。やんちゃでチャーミング、恋に悩むメロドラマをも見せるドニーさんのコミカル演技は一種の萌えポイントで、ここだけ観てるだけでも心が和む。シリアス劇のイメージが多い彼が本格的にコメディに挑むのは、それこそデビュー当時の『ドラゴン酔太極拳』以来の快挙でもあるので、そういう意味でも本作のドニーさんのひょうきん演技とキャラは貴重なのだ。『スペシャルID 特殊身分』ではガラス越しに中指を立てて相手を挑発していたのに、本作ではガラス越しに手振りも付けて「ベロベロベー」で挑発するドニーさん。いくつだよ笑笑

この香港映画らしいコメディ演出には、本作に製作・脚本として名を連ね、本編にも東京でフクロンを助けるシウサー役として出演もしているバリー・ウォンの存在も大きく影響していることだろう。80年代〜90年代にいろんな名(迷)作をプロデュースしてきた彼らしい特色。というかポスターとかのクレジット名義がウォン・ジンだったから、彼がバリー・ウォンだとは観終わるまで全く知らず、気づきもしなかった。これが『シティハンター』ジャッキーと揉めたとされるバリー・ウォンだったのかぁ・・・。

コメディといえば、本作でも遠藤刑事を演じた竹中直人は非常にトリッキーで掴み所のない役柄でした。フクロンのことを「この怪獣め!」と罵る時に、セリフでは英語で「ユーアーモンスター!ポケットモンスター!」と言ってる。ポケモンは絶対アドリブだと思う。竹中さんらしいね笑 声質を敢えて変えているのか吹替なのか分からないけど、あのドスの効いた低音ボイスで喋っていなかったのはちょっと意外だった。

■考察

・ドニーさんが太っている意味は?

元祖『燃えよデブゴン』は、主人公が太っているけどめちゃくちゃ強いという意外性が勝利した作品。本作でも、元祖の通りデブと強さのギャップが売りになっているのはもちろん、純粋にドニーさんが太って最強アクションをするという設定だけでも面白い。でも本作には、主人公が太っている理由が単に絵面を意識した結果だけに留まっていない。劇中でフクロンは最初からデブだったわけではなく、過度なストレスによって太ってしまったのだが、太っても内に秘める正義感と強さは変わらない。外見は変わっても内面は変わってない。太った見た目を「怪獣」と呼んで外見で判断するのは愚かなことで、つまり人の魅力や個性は内面こそが真の姿だという、多様性へのメッセージを感じるバックストーリーが本作にはあります。

自分のやりすぎる性格を憂いながらも、自分にしかできないやり方でそれらが活かされる場所を見つけようとするフクロンの葛藤からも、多様性への意識を感じましたね。

■日本がらみ

・日本の描写について

実際に日本の関東でロケを敢行したこともあり、本作で描写される日本文化の在り方には、外国映画にありがちな「不自然さ」はほとんどありませんでした。新宿の裏町などはもちろんセットですが、適当な日本語を並べただけの看板やネオンが乱立されているわけでもなく、「天下一品」や「アコム」など日本人にとって馴染み深い実在の企業・店名が並んでいるのでリアリティを感じる。やはり日本人の谷垣さんが監督として映画の全権を握っているだけあって、他の外国映画とは手の入れ方が違う。

 

・オヤツ

フクロンが香港で食べている食事の中には、出前一丁、ポテトチップス、ブラックサンダーなどの日本の食べ物やオヤツが盛り沢山。特に出前一丁は香港内では非常にポピュラーな食べ物で、僕も旅行に行った時にスーパーやコンビニでズラっと並んでる光景を見て驚いた記憶があります。

 

・メンツ

ラスト、事件の真相をマギーがネットに投稿したことによって警察が重い腰を上げることになる。日本警察は明確な証拠がないからヤクザたちを逮捕できないと聞いていたマギーは、彼らが行動に出た理由を「日本人はメンツを大切にするでしょ!」と得意げに話す。中国人からすると、やはり日本人には尊厳の高さというか、恥に対する体裁を重んじるというイメージがあるらしい。

 

・エキストラ参加についての個人的な小話。
思えば今働いている会社に勤めてちょうど3年目だ。3年前、会社に入社した1週間後に千葉県の某所で本作のエキストラ募集中の宣伝を発見。ドニーさんをこの目で見れる千載一遇のチャンス! 土日に行われる撮影の応募が通ったので、新幹線(管理人は東海暮らし)の件も確保してウッキウキで出発しようとした直前、「主演俳優さん(ドニーさん)の意向で明日~明後日の撮影はなしになり、平日に変更です」とエージェントよりまさかの連絡。あ~、社会人に平日参加は不可能だ~。しかも入社したてだから有休も使えない。泣く泣く断念をしたというほろ苦いエピソードなのでした。もう少しニート期間が長ければ、エキストラ出演は実現してたんだろうな~。

■鑑定結果

Jing-Fu
Jing-Fu

期待を裏切らない、素晴らしい娯楽作品でした。カンフーアクションのレベルは文句なしのSSS級なので、アクション好き、ドニーさん好きは必見です!

鑑定結果:ミスリル映画(☆9)

 

となります!!

 

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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