【ネタバレ/感想/考察】実写版『アラジン』の鑑定【アニメとの違いは?】

ミュージカル
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Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは実写版『アラジン』です。

ディズニーアニメーション屈指の人気作品である『アラジン』の実写リメイク作品です。

魔法のランプの魔神ジーニー役にドル箱スターのウィル・スミスを迎えた本作は、基本は原作に忠実ですが、随所に現代ならではの社会的解釈による改変が組み込まれています。

そんな実写版『アラジン』のネタバレを明かしながら、アニメとの違い関する感想と考察を鑑定していきますね。

特に、ナオミ・スコット演じるジャスミンの描写にはかなりのテコ入れがあります。

 

■実写版『アラジン』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

「アラジン」MovieNEX 予告編

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■あらすじ

砂漠の王国アグラバーに住む、貧しい青年のアラジン(メナ・マスード)と相棒の猿のアブー。いつものように街の市場で盗みを働いていたアラジンは、王宮から抜け出し、侍女に変装して歩いていた姫のジャスミン(ナオミ・スコット)と出会う。出会って間もなく心を通わせる2人だったが、アブーがジャスミンの腕輪を盗んだことで幻滅されてしまった。腕輪を届けようと王宮に忍び込んだアラジンは無事にジャスミンからの信頼を取り戻すが、衛兵に見つかって囚われてしまい・・・。

 

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■原題:Aladdin

■発掘国/制作年:アメリカ(2019)

■上映時間:128分

■キャッチコピー:その願いは、心をつなぐ。そして世界は輝き始める。

■監督:ガイ・リッチー

■主要キャスト

アラジン:メナ・マスード

ジャスミン:ナオミ・スコット

ジーニー:ウィル・スミス

ジャファー:マーワン・ケンザリ

ダリア:ナシム・ペドラド

サルタン:ナヴィド・ネガーバン

イアーゴ:アラン・テュディック(声)

 

 

■実写版『アラジン』のネタバレ感想と考察

 

①アニメの魅力を引き継いだ実写化

②スピード感溢れるアクション

③魔法の絨毯のあざとすぎるかわいさ

④各キャラクターのアニメと実写の違い

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:アニメの魅力を引き継いだ実写化

 

画面のきらびやかさはアニメ以上!

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後述する通り時代を意識した細かい変更点はあるものの、基本的なストーリーは原作通りに足を進める本作。アニメ版の魅力を損なうことのない映像表現と脚本は巧みで、近年量産の進むディズニーの実写化作品の中でも、世間の評価とビジネス共にかなり成功した部類に入ると思う。何より素晴らしいのが独創的なアラビアの世界観で、物語の舞台となるアグラバーの宮殿の絢爛豪華さ、中東の文化が溢れるアグラバーの街並み、そしてファンタジーで派手なミュージカルシーンの数々と、アニメ版よりもカラフルできらびやかなシーンが多いのが特徴。アニメでは表現しきれない躍動感や奥行きのリアリティ、そして最新鋭のCGによる画面の情報量は凄まじく、画面をぼーっと眺めているだけでも楽しいね。
Jing-Fu
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さすがはエンタメの元締め、ディズニー。資金力が他とは違う。

「アラビアン・ナイト」、「一足お先に」、「フレンド・ライク・ミー」、「アリ王子のお通り」、そして「ホール・ニュー・ワールド」。どれを取っても名曲揃いだったミュージカルシーンの楽しさと美しさ、ムードも健在! いずれも演出の都合上、少なからずアニメ版から歌詞が変わっている部分も見受けられるけど、そこまで気になる点でもない。素直に観て聞いてて楽しいです。「フレンド・ライク・ミー」の途中でアニメ版にはないラップパートがあったのは、ラッパーの経緯をもつウィル・スミスに配慮したのかな。

ネタバレ②:スピード感溢れるアクション

軽い身のこなしがステータスのアラジンが主役だからこそ、アニメ版と同じくディズニープリンセス作品の中ではスピード感溢れるアクションシーンが多め。ここがアクション好き管理人の本作の太鼓判ポイントでもある。『コードネーム U.N.C.L.E. 』『キング・アーサー』など、手堅いアクションに定評のあるガイ・リッチーならではの手腕と言ったところか。

冒頭の「一足お先に」のミュージカルに合わせて始まるパルクールシーンは、アラジンの武器がアクロバットな動きであることを象徴する見せ場だ。実は劇中でアラジンが華麗な身のこなしを見せる場面がアニメ版よりもちょっと多くなっていて、このパルクールシーンがより鮮明な伏線になっていることが分かる。パルクールアクションは『アルティメット』『マッハ!』のようなリアルで卓越した技術を売りにしているわけではなく、奇想天外な楽しさに寄っててアニメ版に忠実。とは言え、アラジンが狭い路地を挟んだ壁を、背中と足を着けてクルクル下降していったり、氷の間でバック宙をこなしたりと、新要素としてアニメ版よりもかっこいい「技」に磨きがかかているのが素晴らしい。

魔法の絨毯に乗って空を飛び回るアクションシーンも申し分ない迫力。アニメ版でも時代を先取りしたダイナミックな映像表現が光っていたけど、実写で描かれるCGの絨毯ライドのGとスピード感のリアルさにはやはり敵わない。終盤には実写版オリジナル展開として、魔獣化したイアーゴと魔法の絨毯とのチェイスシーンが勃発するんだけど、ここも迫力がまー凄い。空中を自由自在に飛び回れる絨毯のケレン味を活かしたコース設定、そしてその中にランプを奪い合う熾烈なデッドヒートドラマを盛り込み、作品のラストを担うには十分すぎる楽しさだった。

 

ネタバレ③:魔法の絨毯のあざとすぎるかわいさ

本作にはディズニー映画の醍醐味の一つであるマスコットキャラクターが3体も存在している。アラジンの相棒の猿のアブー、ジャスミンのペットのトラのラジャ、ジャファーのペットであるオウムのイアーゴ、そして魔法の絨毯である。当たり前だけど、実写化に置いていずれもカートゥーン調からリアル寄りのビジュアルへと変化。リアルな描写でアニメチックなコミカルさを出すと違和感が引き立ちそうだが、そこは上手いことサイレント映画チックに調整されているというか、やりすぎず控え目すぎず、程よくマスコットキャラの立ち位置を守れていると思う。特にイアーゴは変化が著しく、アニメ版のように人間の意思を持ったような言動は見受けられず、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のコットンのオウムのよろしく、ほとんどタダのオウムに還っている。ラジャはめちゃくちゃリアルなトラのビジュアルで、愛嬌がなくなった分普通に怖い 笑

で、その中でも魔法の絨毯がかわいすぎるんだよ! 言葉や鳴き声を発することもなく、全身の素振りで喜怒哀楽を表現していた絨毯だけど、本作でも拍手したりノリノリでマラカス振ったり、いちいち行動がかわいい。言葉を発しないと言うシンプルなかわいさに妙に子供心をくすぐられてしまう。魔法の洞窟から脱出した直後、絨毯が密かに砂漠の砂で1人でセッセと砂のお城を作ってるあどけなさなんか、あざとすぎるだろ!! 笑

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しかもこの砂のお城、実はシンデレラ城なんです 笑

 

ネタバレ④:各キャラクターのアニメと実写の違い

 

・アラジンはちょっと草食系?

胸毛が濃そう

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トム・クルーズマイケル・J・フォックスの容姿と性格がモデルになっているとだけあって、アニメ版のアラジンはとにかくイケメンで勇敢なナイスガイだった。そんなアニメ版のアラジンと比べると、本作のアラジンはちょっとナヨっとしているというか、頼もしさが薄れたと言うか、なんとなく漂うモヤシ臭・・・。軽いフットワークと機転の良さが売りのイケメンであることに変わりはないんだけど、常に気さくでユーモアのあった性格のアニメ版に対して、気弱さや不安さが強めに表現されていて、特にジャスミンとの恋愛シーンでは不器用だったり奥手な言動が顕著になっている。恐らくは後述するジャスミンの女性を意識したキャラ改変を意識し、元々タフな男性像であったアラジンに弱みを追加することによって、よりジャスミンの強さが際立つように配慮した結果なんだろうなー。演じるメナ・マスードの目元がとても優しいマスクであることもそれの下支えになってるような気がする。

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それとも世の草食系男子の流行りの一環でもあるんだろうか。

 

・ジャスミンの自己主張には現代的なイメージがある?

世界中の老若男女と管理人を虜にした、ナオミ・スコットasジャスミン。

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実写化において、恐らくはアニメからのキャラ改変が最も大きい登場人物。『アラジン』はディズニープリンセス作品ではあるが、あくまでも物語の主人公はタイトルにもある「アラジン」であり、アニメ版のジャスミンははっきり言ってアラジンとの恋愛劇に華を添えている存在でしかなかった。アラジンの行動が主体になっていることもあり、他のプリンセスよりも自主的な行動場面が薄く、まさにTHE・プリンセスというべきキャラクターだ。しかし実写化されたジャスミンは、明らかに現代のジェンダー意識が反映されたキャラクターになっており、逆境の中で強い行動に出る女性像がかなり印象的に映った。

本作でジャスミンが歌う「Speechless(スピーチレス)」は、原作にはない実写化オリジナルの歌だ。女性では国王になれないと言う原作通りのレッテルを突きつけられたジャスミンが、自身の権利を主張し、運命を切り開くために一歩踏み出す、かなりメッセージ性の強い歌詞が特徴。演じるナオミ・スコットの力強い歌唱パフォーマンスも相まって、まさに本作におけるジェンダー要素の代表格とも言うべき見せ場になってました。

また、アラジンとジャスミンの初デートを飾る名曲「Whole New World」のミュージカルパートにもその名残が。アニメ版ではアラジンとイイ雰囲気になっていちゃつくだけだったジャスミンだが、本作では2人が乗る魔法の絨毯の舵を自ら握る場面があるんですよね。ロマンチックなムードの中に、男性と同じように女性が物事の主導権を握ることの象徴が何気なく組み込まれているのが上手い。

そして極め付けはラストシーン。「女性では国王になれない、王女は王子としか結婚できない」と言うアグラバーの法律は、アニメと実写ともに共通する設定だ。アニメ版ではジャファーを退治した後、国王が「王女は自分が認めた相手と結婚ができる」としてジャスミンはアラジンとゴールイン。一方、実写版では国王がジャスミンを新しい国王に任命し、「国王は法律を変えることができる」と言うアドバイスを受けた彼女は、自ら「王子としか結婚できない」と言う法律を変え、真の恋人としてアラジンとの結婚を実現させています。つまり、アニメ版では国王がただ法律を変えただけであって、ジャスミンは国王になったわけではない。それに対し、実写版ではジャスミンの身分に変化が生じて国王となり、結婚相手を選べるように自らが行動に出ている、僅かだけど非常に大きい意味を持つ改変がなされていることになる。

もともとアニメ版のジャスミンて、強気で男勝り気質があるというか、決してか弱いプリンセスというわけではなく、逆に実写版の方がか弱い描写があるんだよね。アニメ版では華麗な棒高跳びを決めてアラジンを驚かせていたけど、本作の冒頭のパルクールシーンでは「こんなの飛べるか!!」と棒高跳びの前に分かりやすくビビってたし(で、アラジンに松岡修造スタイルの背中押しをもらって飛んでいる)。強くなってると言う割にはなんだか矛盾してるような気もするけど、きっと実写版では性格の強さではなく、繰り返すけど自己主張ができる精神の強さを表現したかったんだろうな。棒高跳びを躊躇していたほどの女性が勇気を振り絞って一歩前進する様子は、心情表現のシーンにも連結して、確かに現代の女性像を強調することに一役買っているのかもしれない。以上、ジャスミンはアニメ版と比べて、女性としての自己主張に強く打って出る、現代的な人物像となっていました。

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女性という観点では、「フレンド・ライク・ミー」の最中にボンキュッボンの美女3人が登場してアラジンに色目を使ってたシーンも、当然の如く削除されてましたね。

 

・恋するジーニー?

間違っても『アバター』からのゲスト出演ではない

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ランプの魔神として圧倒的な存在感を誇る、本作の代名詞とも言えるキャラクターのジーニー。そんな彼もジャスミンと同じく、原作からの変更幅が大きく感じられた。

まず驚いたのが、本作ではジーニーが「人間」として描かれていることだ。とは言っても、アニメ版にはジーニーが人間である様子が描かれていなかったというわけではない。アニメ版でも、冒頭に登場したランプの話を始める商人はジーニーと言う裏設定があったし、「アリ王子のお通り」のパレードシーンでは、先導者や踊り子などの人間に化けていたりもした。でも前者は裏設定、後者はあくまでも仮の姿として描かれていたわけで、ジーニーに人間としての人生とバックグラウンドを与えたのは本作独自の解釈だ。そもそも本作の冒頭には妻子のいる人間ジーニーが登場するわけで、いきなり驚いた原作ファンも多いはず。ジーニーが彼自身がランプの魔神だった時代の話、つまり本作の物語を、彼の子供たちにおとぎ話として言い聞かせる導入方法が中々斬新だった。そしてラストでは、ランプのしがらみから解放されたジーニーが、アニメ版とは違い、青いままではなく人間の姿になることで冒頭に繋がることになる。アニメ版では自由の身になっても青い魔神の姿のままだったジーニーの真の姿が、なぜ人間に変更になったのか。

そして、実写版である本作ではジーニーが恋をするポイントにも注目したい。そのお相手は、ジャスミンの侍女であるダリア。この2人の恋路がこれまたベタベタのウブでね〜。お互いに一目惚れから始まって、ツンデレしながら距離を縮めてく様子が中学生みたいでなんとも微笑ましいのよね 笑 あんな恋、してみたい。・・・まあそれはともかく、気になるのは何故ジーニーは恋をする役に変化したのかということ。ここで、劇中のジーニーの「目的」を振り返ってみる。アニメ版では「自由」が彼の唯一の願いであったけど、実写版には「恋人とのゴールイン」という新たな願いが加えられていることになる。これはつまり、「貧困からの脱出=自由」と「恋人とのゴールイン」を心に掲げるアラジンと立場が一緒だ。アニメ版ではアラジンのサポートをしながら親交を深めていく「親友」だったのに対し、実写版では自らのために自発的な行動を見せ、アラジンと共に切磋琢磨して目標に向かって努力をする「同志」へ、2人の関係性に変化が生じていることになる。

人間らしい見た目と心。ハツラツな陽気さと時折見せる哀愁が魅力的だったアニメ版のジーニーに、実写版では「人間臭さ」をエッセンスしたのが大きな特徴だ。ジーニーと言うコクのあるキャラクターをさらに深掘りし、感情移入できるキャラクターに変化させたかったのが製作陣の狙いでしょうね。

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結果的に、物語もよりドラマチックなものに仕上がっているので見応えがあります。

 

・ジャファーには妖艶さと気品が足りない?

悪役としてのカリスマに欠けるジャファー

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実写版ジャファーの第一印象は「若い」。とにかく壮年。アニメ版では中年という位置付けで、ジャスミンとの結婚案を出した時に国王からも「お前はジジイすぎるだろうが!」とウィットにツッコまれていたくらいだから、ジャファーは決して若くないキャラクターだったのだ。ディズニーヴィランの中でも希少価値の高い男性ヴィランであり、その若干歳を刻んだ様子が、他のヴィランにはないような妖艶な佇まいを引き立たせていたわけで、彼を若返らせてしまったことによって、ちょっと悪役としてのインパクトが薄まってしまった感は否めない。

代わりにと言うべきが、実写版のジャファーはアニメ版よりも野心的で粗暴な言動が強い。ただしこれが新たな悪役像として立っているのかと言われればそうでもなく、2番という言葉に過剰に反応してブチギレたり、今日の国務大臣に至るまでの残酷で過酷な道のりが深掘りされていたりと、アニメ版にあった気品さが損なわれているのも惜しい。

そして致命的なのが、ジャファーからミュージカルシーンが取り上げられてしまったことだ。アニメ版では「アリ王子のお通り」のアレンジである「アバヨ、王子様」が唯一のミュージカル見せ場となっていて、あの独特な陰湿さの漂う曲調が地味に好きだったのに、これが観れないとは残念だ。まあ、多分ジャスミンの「スピーチレス」が新曲として挿入され、全体的なバランスを保つためにリストラされたんだろうな。

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若くて野心的な現代の若者を意識したのか(現代人にそんなイメージがあるのかどうか知らんが)、若い方がよりエネルギッシュに映ると思ったのか、いずれにせよ、実写版の数少ないがっかりポイントの一つになってしまった感じ。

 

■鑑定結果

 

Jing-Fu
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時代に合わせたキャラクターの改変が大きいけど、アニメ版が持っていた楽しさと美しさの基本は忘れられておらず、アニメ版のファンであってもそうでなくても楽しめる作風が魅力です。

 

鑑定結果:エメラルド映画(☆8)

 

 

■実写版『アラジン』はどんな人におすすめ?

 

・アニメ版『アラジン』が好きな人

・ディズニーやミュージカル作品が好きな人

・スピード感溢れるアクションを観たい人

 

■最後に

 

同じく、ディズニープリンセス作品の実写化として製作された『ムーラン』についても鑑定しています☆

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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