みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『マッハ!』です。
実写版『モンスターハンター』公開記念!
ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアルテミスの師匠となるハンター役のトニー・ジャーを勝手に応援企画第1弾!
アクションスターのトニー・ジャーの全ては、この『マッハ!』から始まりました。
それでは早速鑑定していきましょう!
目次
■作品情報
・基本情報
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
■原題:องค์บาก/Ong Bak: Muay Thai Warrior
■発掘国/制作年:タイ(2003)
■キャッチコピー
・監督、キャスト
■監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
■主要キャスト
ティン:トニー・ジャー
ジョージ(ハムレイ):ペットターイ・ウォンカムラオ
ムエ:プマワーリー・ヨートガモン
ンゲク:ルンラウィー・バリジンダークン
コム・タン:スチャオ・ポンウィライ
ペン:チェータウット・ワチャラクン
ドン:ワンナキット・シリプット
サミン:チャタポン・パンタナアンクーン
・あらすじ
タイのイーサーン地方にある小さな村のノンプラドゥ。この村では、過去に数々の災いから村人たちを守った守護神として「オンバク像」が大切にまつられていた。とある夜、バンコクで暗躍する密売人の一人であるドン(ワンナキット・シリプット)によって、オンバクの首が盗まれてしまう。大切なオンバク像が盗まれたとして悲しみに暮れる村人たちは、何としてでもそれを取り戻さなくてはと慌てふためくが、そんな中でオンバク奪還のために立ち上がったのが、ムエタイの使い手である青年のティン(トニー・ジャー)だった。ティンは単身バンコクへと赴き、ノンプラドゥ村の出身者であるという詐欺師のジョージ(ペットターイ・ウォンカムラオ)に協力を求めるのだが・・・。
■ざくっと感想
本作の鑑定結果は、、、
微笑みの国 タイにて製作された本作は、タイ発祥の格闘技であるムエタイをテーマとしたアクション映画です。CGが猛威を振るうデジタル時代の真っ只中、「主演のトニー・ジャーが見せるノーCG、ノースタント、ノーワイヤーのアクション」という究極にアナログで刺激的な売り文句を前面に出した本作。そのあまりにも荒唐無稽な迫力が全世界に衝撃を与え、新星トニー・ジャーの存在とタイ映画を世に知らしめることに。香港のカンフー映画よろしくムエタイ映画という格闘アクションの新たな基盤を作り上げただけではなく、当時アクション業が下火になっていた本場の香港映画界において起爆剤的な役割を果たしたともされ、あらゆる意味で世に与えた影響は大きい。アクション映画の革命児とも呼べるし、現代アクションバイブル的な作品でもある。
特筆すべきはトニー・ジャーが見せる、今まで誰も観たことがないようなリアルヒッティングコンバットとパワフルな神業アクションの数々だ。同じ人類とは思えない身体能力でバイタリティに溢れて動き回り闘うジャーには心底驚かされてしまうでしょう。
残念ながら、管理人はリアルタイムで本作に出会うことができなかった身だ。でも公開当時には日本語吹き替えも併用で日本全国公開されているし、ジャー自身が来日して積極的かつ大々的に宣伝活動を行うなど、日本でもかなり話題になった作品らしい。それまで日本のお茶の間でのムエタイと言えば、某番組で山崎方正とかココリコの田中とかがタイキックされる罰ゲームくらいしか認知されていなかった中で、もっと危険でもっとかっこいいリアル・ムエタイを叩きつけた本作は、日本においてブルース・リーやジャッキー・チェンの登場以来の衝撃だったのかもしれませんね。
以下、ネタバレありの感想と考察になります。
作品を未見の方は鑑賞後の閲覧をおすすめします!
■感想と考察
・カンフー映画ではなくムエタイ映画
格闘アクションの基礎であるカンフー映画をベースにしながらも、決してカンフー映画の真似事で終わらず、ちゃんと自国独自の「ムエタイ映画」として派生させているのが賞賛に値する。監督のプラッチャヤー・ピンゲーオ、武術指導のパンナー・リットグライ、そして主演のジャーは本作の製作に当たってそこだけは特に意識を向けたらしい。
冒頭でジャーが披露する古式ムエタイの型は、初期拳シリーズのジャッキー・チェンを彷彿とさせ、「こいつはなんだか強そうだ」と否が応でも期待を高ぶらせることに成功している王道演出。王道ながらもそれをムエタイという自色でなぞり、カンフーの型とはまたことなる鋭利でどっしりとした動きには、香港映画で目が肥えている輩にとってもかなり新鮮に映る。
ジャーの肩のしなり具合と可動域の広さに、早速驚かされることになるでしょう。
格闘アクション中は徹底してジャーのムエタイ戦術が一貫されているのは言うまでもない。常に利き手を前に突き出す「ムエタイ 威嚇の構え」のスタンス。人体において最も硬いとされるヒジ・ヒザと跳躍力を武器の主体とし、相手の急所を的確に射貫くスマッシュ攻撃の数々。どこをとってもカンフーとは異なる個性を放つムエタイ一色! というか本作を観ていて、古式ムエタイがいかに対人戦に向いた格闘技であり、相手を沈めるために理にかなった動きをしているのかが、文字通り痛いくらい分かった。
・天性のアクション能力
本作でジャーの放つ超絶アクションに度肝を抜かれない観客がいるのだろうか。否、いるはずがない。ジャーが凄いのは何もムエタイの技術だけではありません。柔と剛を両方併せ持つムエタイコンバットに加え、器械体操やダンスの動きを取り入れたトリッキーすぎるアクロバット、そして地面を蹴る超人的な脚のバネ。ジャーを形成する方程式そのものが凄いのだ! 同じ人類とは思えない天性の身体能力のインパクトはとにかく尋常ではないレベル。倉田保昭 氏がブルース・リーの第一印象を「カミソリ」と言っていたのは有名な話だけど、管理人のジャーの第一印象は「殺人兵器」かな。それくらい、繰り出す攻撃の全てが決め技のごとき破壊力を誇り、都度敵を粉砕していくジャーのアタックは恐ろしい。いずれの技もガチで敵に当てており、リアルヒッティングの迫力と相手のリアクションもジャーの強さに拍車をかけている。各アクションシーンをスローモーションや別角度から2~3回繰り返して見せてくれくれるサービス精神も旺盛で、ジャーの神業アクションを心ゆくまで堪能させてくれるのも嬉しい。
実は本作、撮影完了までになんと4年の歳月を費やしているというから驚き。108分の本編のために、気の遠くなるような時間の中で汗水を垂らしていたのだ。ロケによる撮影に入る前に、ジャーの身体能力を最高峰に高める準備期間、全てのアクションシーンのデモンストレーションをスタジオで撮影してみてロケ前に試行錯誤を繰り返した下ごしらえ期間があったと聞けば、タイのアクション人たちの並々ならぬ情熱を救うことができるはず。つまりロケ撮影に至るまでの隙間のない入念なリハーサル、ジャーの類まれなる身体能力、ジャーの若さ、ジャーのベストコンディションが一直線に重なって出来上がった本作は、今後二度と実現不可能な奇跡のようなアクション作品なのだ。
ここからは、個別のアクションシーンで特に気になった部分についてを触れていきたいと思います。
・闘技場での戦い
必殺の脳天割り!!
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
ティンがアンダーグラウンドな裏闘技場に足を踏み入れるシーン。立ちふさがるのは白人や日本人などのパワー系ファイターたち。本作におけるジャーアクションの顔見せ的な場面であり、序盤の型披露からそこそこ焦らされているので、ジャーよりも巨体で強そうなやつらをギタギタにしていく様子の勢いが凄まじいく映える。白人のビッグベアーに対しては相手を上回る力でねじ伏せ、日本人トシロウはスピードで制し、ラストの白人マッドドッグには臨機応変に隙を削っていく。バリエーション豊かな戦況の中で、いずれも自慢のヒジ鉄を脳天に叩き込むリアルヒッティングな痛さと爽快感は、観ているだけでアドレナリンが駆け巡るのを肌で感じる!
ここで一番「すげえ!」と唸ったのが、ジャーの突進攻撃。ヒザを前に突き出しなが飛び出す、通称ボマイエと呼ばれるヒザ蹴り。これだけなら頑張ればなんとか防げるかもしれないが、ジャーはこれに加えてヒジも前に突き出してくるのだ!! こんなのどう防げばいいんだよ 笑! 格ゲーで言えば下段攻撃と上段攻撃をチートで同時に出されるようなもんだ。反則急な技ながらも、確かに実戦を考えれば、これほど合理的な攻め方はないだろう。
・燃えよ、ファイヤーキック!!
炎を本格的かつ効果的に格闘アクションに取り入れたのはこれまでに観たことがない!
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
ティンが悪のボス コム・タンの手下たちに小屋の中で殺されそうになるシーン。バカな手下がノロノロとサイレンサーを準備している隙にティンが反撃開始! まずこのサイレンサー君がジャーにボコられるんだけど、殴られた反動で机にぶつかってバウンドする勢いが良すぎてもうギャグにしか見えん 笑
ジャーは小屋の外に出てからも凄い! 爆発に巻き込まれて死んだかと思いきや、爆炎の中からヒザを突き出して飛び出してくる勇姿には気絶しそうになる。しかもここのジャー、なんと両脚が燃えているではないか!!! 脚に炎を纏わせた状態で、タカアンドトシのトシみたいなザコに空中きりもみキックをお見舞いするのだ。
炎の効果によるジャーの空中回転のビジュアルの強さ、諸刃の剣のようなデンジャラスさ。ここを観た瞬間、管理人はジャーに堕ちました 笑
その後はこちらに走ってくるバイクに跨るドン目掛けて、正面衝突の勢いで飛び上がって振り下ろしたジャーのヒザが一閃! スケバン刑事の鉄仮面のように、なんとヒザでヘルメットを一刀両断してしまうという荒々しさに思わず痺れた。ちなみにこの超絶技、撮影はぶっつけ本番で一発成功したんだとか!
・先取りガイバーキック
左足で蹴ると見せかけて軸の右足で蹴るガイバーキックの図
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
コム・タンを追って洞窟に辿りついたティンが、コム・タンのボディーガードたちと対峙するシーン。ここでの見所は、ジャーがムエタイの型を中心に、かなりド派手でアクロバティックな技を応酬させるコントラストの強さ! 二連旋風脚、空中トルネード蹴り落とし、宙返りかかと落しなど、人類の動きの常識を凌駕した大技の連続には圧倒されるばかり。
今改めて本作を観直すと、ジャーがこのシーンでガイバーキックを取り入れていることが分かりました。ガイバーキックとは非常に文字で説明しづらいキックの一種で、飛び後ろまわし蹴りをして相手に先に突き出した脚ではなく、軸足になっていた方の脚で蹴るという、物凄く高度なレベルのフェイントキック。『デッドロック』シリーズなどで後にスコット・アドキンスによって世間的に広く認知される技を、ジャーは既に本作で先取りしていたんですね~。
・トニー・ジャーVSチャタポン・パンタナアンクーン
ジャーのボマイエが突き刺さる!!
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
仏像探しの旅のハイライト、ティン VS コム・タンの側近ボディーガード、ビルマ人のサミン。ムエタイとビルマの格闘技であるラウェイが火花を散らすこのシーンでは、サミンは麻薬の過剰摂取、ティンは師匠から貰った薬草でドーピング状態となり、格闘シーンのリズムを無視した狂犬のような狂喜乱舞バトルを繰り広げる。
ドーピング設定のためか、ただでさえ熱の入った格闘アクションの中でもすこぶる暑苦しいド迫力! ジャーは自分の脚が引っこ抜けそうな勢いで回し蹴りをしたり、ボマイエをチャタポンに突き刺す勢いで突進したりと手に負えない状態になっている。特に一度蹴り回した脚を、軸足の回転を殺すことなくもう一回転させて放つプロペラキックには恐れ入った。一回避けたのにもう一回蹴りが入るんだよ? んなアホな・・・。
しまいには、ジャーはあらゆる角度からチャタポン(流石に一部付け髪をしたスタントマン)の頭部に執拗にヒジを振り下ろして場のターンを完全制圧。「フルコンボだドン!」とでも聞こえてきそうな、弱点にヒジを叩きつけまくってカチ割る爆裂コンボは引くくらいスカッとしてもうお腹いっぱいです、先輩。
・武器戦
素手だけでなく、武器を扱うシーンもちゃんとある。
洞窟のシーンではラストバトルの前座として、ジャーがタイ式の剣術や棒術、エスクリマのような両刀棒術などを次々に切り替えるサービスタイム。どんな武器でも華麗に力強く扱うことのできるジャーの度量が伺える。思いの外感心したのは、ジャーが両ヒジと両前腕を覆う武器を装着した後だ。なんていう武器なのかは知らないけど、多分トンファーにかなり近い代物だと思う。トンファーはジャッキー・チェンが『拳精』でさばいていたのが有名だけど、ヒジを操るムエタイ×トンファーの相性がここまで良いとは。思いがけない化学反応だなあ。
・タイ式パルクール
ガラスの間を華麗にすり抜けるこれは、アラビアンという技らしい。
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
ジャーの代名詞の1つ、それはパルクール。リュック・ベッソンが『アルティメット』を放つ前に、町中でのスピーディで危険極まりないパルクールを実践してたのか。あらゆる障害物を色とりどりなアクロバットと究極な脚のバネでかわしていくジャーの身体能力に心を奪われた人も多いんじゃないかな。
自転車、柵、子供、車など、動いている障害物も含めて「ここしかない!」という瞬間で走って避けて飛び越える。一つずつの動きは徹底してワンカットになっていて呆然となるし、ジャーが色んな避け方をしてくれるので飽きることもない、本作きってのエネルギッシュな名シーンだ。
超人ジャーを観ていると、本当に自分が彼と同じ人類なのかと疑わしくなってくるが、ジャー曰く作中で「最もキツい撮影」だったらしく、筋肉もスタミナも流れ出るように消耗したらしい。これをよく10日で撮り終えたな・・・。
・トゥクトゥク カーアクション
カーアクションを組み込むにも、タイ国内で普及している三輪自動車のトゥクトゥクを取り扱ったのは非常に独自性が強くて面白い。見慣れたはずのカーアクションも、トゥクトゥクの三輪という不安定さ、明らかに強度の弱い外観などによって、いつもよりはるかに危なっかしく見える。玉突き事故やハイウェイからの垂直落下など、実際にやっていることは中々ハードだ。
■愛国心の強いストーリー
盗まれた仏像を取り戻しに行く。ただそれだけ。メチャクチャ単純明快で質素なストーリーである。アクションありきの映画なので全体的なストーリーはアクションの繋ぎと化しており、今自分が観ている物語はどんな展開になっているのかを気にする必要は特になし。味気ないストーリーだが、不真面目で村を捨てたジョージの葛藤だったり、ムエとンゲク姉妹のすれ違いと涙など、意外にも情に訴えるドラマ箇所もあって単なるバカ映画ではなかったりもする。そして神聖な仏像を足蹴にする奴を許さないという怒り、タイ人をさげすむ白人や日本人たちを主人公が成敗する英雄像など、総じてタイの愛国心が強い作風が印象的だった。
アクションは超人的なジャーも、まだまだ演技面では青い。喜怒哀楽の起伏が平坦と言うか、はっきり言って素のままで立っているので、野暮ったい衣装もあって精悍な顔つきながらもどこかパッとしない兄ちゃん的な佇まい 笑
でもジャーは将来的に演技面で本当に化けることになります。
詐欺師ながらもティンに協力をすることになるジョージを演じたペットターイ・ウォンカムラオ。こちらはタイのコメディアンで、達者な話しぶりと親しみやすい見た目で作品の随所に微笑ましい華を添えている。ギャグシーンには彼のアドリブによる演出やアクションも多いらしく、観ていて普通に面白かった。
■日本がらみ
(C)2003 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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■鑑定結果
観終わった後には確実に自分が強くなっている気がする。それほどジャーのアクションは個性的で分かりやすく、純粋にカッコいいのです!
となります!!
トニー・ジャーについて知りたい方はこちらの記事もどうぞ☆
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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