【ネタバレ/感想/考察】日本映画『CUBE 一度入ったら、最後』の鑑定【ラストは? 原作との違いは?】

スリラー
(C)2021「CUBE」製作委員会

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

今回鑑定をするのは『CUBE 一度入ったら、最後』です。

低予算ながらも世界中でヒットし、カルト的人気を誇っているカナダ産のソリッドシチュエーションスリラー『CUBE』を日本がリメイク。

原作の監督ヴィンチェンゾ・ナタリも製作に参加し、初の公認リメイクとして製作された本作には、菅田将暉斎藤工など豪華なキャストも参加しています。

そんな『CUBE 一度入ったら、最後』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

原作との違いは!?

 

■『CUBE 一度入ったら、最後』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

映画『CUBE 一度入ったら、最後』本予告|2021年10月22日(金)全国公開

(C)2021「CUBE」製作委員会

 

■あらすじ

エンジニアである後藤裕一(菅田将暉)は、謎の立方体の部屋の中で目覚める。状況が理解できずに困惑している中、女性の甲斐麻子()、おどおどしている越智真司(岡田将生)、寡黙な井手寛(斎藤工)、高圧的な安東和正(吉田鋼太郎)、そして中学生の宇野千陽(田代輝)ら、同じくここに集められた人々と顔を合わせる。上下左右に続く立方体の部屋にはそれぞれ死のトラップが仕掛けられていることが判明するが、ここからの脱出を決意した一行は井出を先頭に先を進むのだが・・・

 

(C)2021「CUBE」製作委員会

 

■発掘国/制作年:日本(2021)

■上映時間:108分

■キャッチコピー:死のトラップ迷宮。生きて出られるか。

■監督:清水康彦

■主要キャスト

後藤裕一:菅田将暉

甲斐麻子:

越智真司: 岡田将生

宇野千陽:田代輝

井手寛:斎藤工

安東和正:吉田鋼太郎

最初の男演:柄本時生

 

■『CUBE 一度入ったら、最後』のネタバレ感想と考察

①良くも悪くもリメイク作品

②日本の社会問題を反映

③黒幕の正体は・・・?

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:良くも悪くもリメイク作品

(C)2021「CUBE」製作委員会

海外作品の日本リメイク・・・。まあ、はっきり言って前評判の段階では期待ができるカードではないですよね。それでも「日本があのカルト作をリメイクしたらどんな風になるのか気になるっちゃ気になる」という想いもあったので、オリジナルは超えられないことは百も承知で、あくまでも本作は原作とは別の作品だと唱えつつ、敢えて地雷を踏みに行くような感覚で観てきました。結論から言うと、「原作とは大筋が一緒なだけであってやっぱり別作品と捉えるべき」が第一の感想。オリジナルへの愛が強いほどダメージを受けるやつですわコレ。

Jing-Fu
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まあハードルを下げて観れば、そこまで酷い作品というわけでもありませんでしたよ!

 

原作から継承されているのは設定のみであって、登場キャラの素性もストーリー進行もオチも全てが異なる。これはリメイクと言うよりかはリブートと呼んだほうが良いんじゃないかな〜。基本はオリジナルに忠実で、謎の空間に閉じ込められた男女グループが疑心暗鬼・信頼・暴走を繰り返しながら罠を回避して脱出を目指すというプロット。素数やデカルト座標などの文系泣かせなキーワードも鍵として機能していたり、原作をオマージュしたシーンもあった。

良かった点を挙げるとすれば、後述するけど日本独自の切り口がストーリーに組み込まれていたこと。後述はするけどこれが果たして映画として面白かったのかは別として、日本製作ならではのオリジナリティは感じられた。リメイクで完全に同じことをやってるだけならつまらないからね。また、キャストが全員豪華なことは、キャストが全員無名であった原作とは真逆の視点から「誰が死ぬのかが読めない」をなんとなく醸し出せていたと思う。キューブ内の殺人トラップも結構バリエーションがあり、天井から迫るプロペラ刃や感知式レーザー、人間の感情に反応して発動する(?)罠など、山田悠介の小説に出てきそうなエッジの効いた仕掛けにはそれなりの緊迫感がありました。ただしR指定作品ではないのでゴア描写は比較的マイルドです。

Jing-Fu
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原作とは違う描き方で、サイコロステーキの解釈に革命を起こしたのも凄い。サイコロステーキってああいう風にも描くことができるんだな〜。

 

ネタバレ②:日本の社会問題を反映

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キューブ側の人間や団体、キューブが作られた目的についての詳細や背景を一切説明せず、特異な状況に置かれた人間達がどういう行動に出るのか。その中で、仕掛けられているトラップが怖いように見せて実は極限状態に陥った人間の方が怖いと言う妙。そして各登場人物達の素性と性の炙り出しの巧さ。このシンプルでいて奥が深い語り口こそが原作の魅力だったと思う。それに比べると、日本リメイクである本作はとにかく説明が多くてシンプルな恐ろしさからは逸脱してしまってた。一番目立つのはキャラクター達のバックストーリーで、前半までの疑心暗鬼な空気はまだ良かったのに、色々な説明が入ってくる中盤以降の展開がダルい。原作では必要最低限の素性しか説明されていなかったのに対し、回想ではあるものの、キューブの外の日常生活が映るまでに掘り下げられてしまっているので、閉鎖的な環境の居心地の悪さが視覚的にも薄れる。かと言えば斎藤工が演じた井出が早く脱出したかった理由が何なのかが明かされないまま、井出はフェードアウトさせられてしまう。これはシンプルなのではなく、単に消化不良なだけである。さじ加減がよく分からんなぁ。

虐待されて大人不信になる子供、高圧的で怒鳴り散らす会社役員のジジイ(いるいるこういう奴)、社会のストレスに抑圧されて職を転々としながらそんな社会を100%悪いと決めつけるフリーターなど、各キャラクターには日本の社会問題の数々が反映されていた。こういうのはアカデミー賞で名を馳せた韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』とかに明らかに影響されているのが分かる。日本らしさは感じられたとは言え、この映画でやるべきだったのかが微妙。「極限状態が人間の本性を曝け出す」と言うよりかは「社会生活の中でのストレスやトラウマが極限状態で爆発した」となっていて、「人間の潜在的な狂気や恐怖」を描いた原作とはスリラーの定義が別物になっているので、ここは好みが別れてくるポイントでしょう。

菅田将暉が演じる主人公の後藤は、過去に生きづらさの果てに救えず自殺してしまった弟の存在がトラウマとしてしこりになっていて・・・と、ここに書いているだけでも冗長なキャラクターである。本作はそんな後藤と弟の生涯に虐待とイジメ、根性論と強要の4拍子を交えつつ、後藤を過去のトラウマから立ち直る存在として描いていて、本作としてはこれが最大の足枷になっていることは否めない。何かと説明したがり、無駄にお涙頂戴、または情に訴えかけてくるところが、これまた非常に日本映画らしいと感じてしまったのは管理人だけでしょうか。いらないんですよ、別に・・・。シンプルにスリラーやってくれればそれで良かったのに汗

Jing-Fu
Jing-Fu

キューブ内を監視している第3者視点描写、後述のようにキューブ側の人員が登場してしまったりと、説明のしたがりが原作のミステリアスな魅力を削いじゃってます。

 

考察①:黒幕の正体は・・・?

ずっと眺めていたい杏ちゃん

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杏ちゃんが演じた甲斐麻子は、初見時はかなり特殊なキャラクターでした。他のキャラがあたふた混乱している中、1人だけ特に物怖じすることなく、常に凛とした表情と無機質な佇まいでみんなを眺めている感じ。甲斐麻子のみ、具体的なバックストーリーが語られることなくどんどん物語が進んでいくのもしっくりこない。これはまさか・・・と思った読みが的中、甲斐麻子はなんとキューブ側の人間だったのだ。ラストには、他者達のデータや部屋の第3者視点の映像は彼女の目の中に映っていたアーカイブ映像みたいなものだったことが判明して、『ソウ』みたいに黒幕が最前列で他者を監視していた事になる。彼女がキューブ側の人間だったことが分かり、後藤と越智が大声で壮絶な争いをしているのになんで部屋に戻ってきて「ちょっと何やってるの!? やめなさいよ!」とか止めに入らなかったんだよ!!? のモヤモヤは一応晴れる。

何故監視をしているのか、どういう原理で彼女の視覚にデータ映像が転送されていたのかは全く分からないけど、まるで貴志祐介『クリムゾンの迷宮』みたいなオチですね。ラスト、唯一出口へと辿り着いた千陽に対し「外に出ても何も変わらないかもしれない。それでも前に進む?」と問いかける甲斐麻子。首を縦に振って生き直すことを決めた千陽を送り届けるようにキューブの中に戻った彼女は、キューブの中に別で集められていたグループのもとに再度素性を隠して向かい、「あなた達は何者ですか?」と問いかけ、冒頭にループするという締めくくりでした。原作がキューブ側の人間を一切語っていなかったことと比べると、かなりキューブの内部事情が語られている感じ、いかにも日本作品ぽい仕上がりですね。「人生のどん底から生き直そうとする機会を他者に与え、それに応えて行動をする人間を導く」、甲斐麻子はそんなことをやりたかったんでしょうかね。

杏ちゃんはとにかく美人。もう大好き。彼女のアップと透き通るような美しい顔立ちを大スクリーンで堪能できるのは、本作の醍醐味の一つですね。彼女のギョロギョロ動きながらも不気味ではなく吸い込まれそうで美麗な目は、甲斐麻子の監視設定にピッタリだったと思うし、機械的で凛とした佇まいも様になっていた。杏ちゃんを眺めていたい人にはうってつけの映画ですね笑

Jing-Fu
Jing-Fu

子供である千陽を強い表情で抱きしめる甲斐麻子=杏ちゃん。なんかプライベートで巻き起こっている例の出来事が重なってしまい、ちょっと切なくなっちゃいました。本当にゲスのクソ男は許せねぇ。にしても監督、これ絶対狙ってるでしょ笑

 

■鑑定結果

Jing-Fu
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やはりオリジナルは超えられなかった。日本独自のテコ入れも面白いとは言えず、原作とはあくまでも別作品として観るべきです。

 

鑑定結果:ゴールド映画(☆5)

 

■映画『CUBE 一度入ったら、最後』はどんな人におすすめ?

 

・原作の日本リメイクに興味がある人

杏ちゃんを眺めてウットリしたい人

 

■最後に

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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