【ネタバレ/感想/考察】映画『ザ・ファブル』の鑑定【アクションシーンについて解説してみました】

アクション
(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

 

Jing-Fu
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みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。

 

今回鑑定をするのは『ザ・ファブル』です。

南勝久による週刊ヤングマガジンで連載中の人気漫画を原作に、V6のメンバーで日本映画界きってのアクション人である岡田准一を主演に迎えた実写化作品。

「絶対に殺してはいけない」という制限を設けられた、日本の裏社会で最強と呼ばれる殺し屋「ファブル」の、普通に励む日常と闘いを描くコメディ・アクションです。

そんな『ザ・ファブル』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。

岡田准一のアクションはエネルギッシュな熱量を帯びています!

 

■『ザ・ファブル』のあらすじと基本情報

まずは予告編をどうぞ☆

岡田准一主演『ザ・ファブル』主題歌予告(90秒)

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

 

■あらすじ

「どんな相手も6秒以内に殺す」と言われる戦闘能力によって、日本の裏社会で恐れられている伝説の殺し屋のファブル(岡田准一)。彼の育ての親であるボス(佐藤浩市)は、暴れすぎているファブルの正体が周囲にバレることを心配し、ファブルに対して1年間の殺し屋休業を命じる。佐藤アキラという偽名を与えられたファブルは、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹という設定にされ、大阪で静かに「普通」に暮らそうと励むのだが・・・。

 

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

 

■発掘国/制作年:日本(2019)

■上映時間:123分

■キャッチコピー:誰も殺さず、救えるか。

■監督:江口カン

■主要キャスト

佐藤アキラ/ ファブル:岡田准一

佐藤ヨウコ:木村文乃

清水岬:山本美月

フード:福士蒼汰

小島:柳楽優弥

砂川:向井理

田高田:佐藤二朗

浜田:光石研

海老原:安田顕

ボス:佐藤浩市

 

■『ザ・ファブル』のネタバレ感想と考察

①日本現代アクション劇の力作

②主演級豪華なキャストたち

③岡田准一の近接格闘術

④岡田准一であることの意義が薄いアクション設計

それでは鑑定していきましょう!

 

ネタバレ①:日本現代アクション劇の力作

格闘アクションの申し子、岡田准一が主演の現代アクション!

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

ここ20年の間に、格闘アクション映画の元祖である香港カンフー映画に触発されたアクション映画が世界中で産声を上げているんですよね。タイのムエタイ映画である『マッハ!』とか、フランスのパルクール映画である『アルティメット』とか、インドネシアのシラット映画の『ザ・レイド』などなど、カンフー映画をベースとしながらも、自国の格闘技やスポーツをテーマにした映画が誕生し、この界隈に真新しさを吹き込んで興奮を守り続けている。でも、この中にまだ日本って乗り込めきれていない気がするんだよね。いや、もちろん日本のアクション映画がてんでダメだと言ってるわけじゃないです。『ハイキック・ガール』とか『RE:BORN』とかインデペンデント映画でも目を惹く意欲作はあるし(『カラテキル』は酷かったが・・・)、『るろうに剣心』シリーズが世界中を圧巻させているのは記憶に新しい。あくまでも僕が言っているのは、日本を舞台にし、世界に通用する本格的な現代アクション作品の絶対数が少ないってこと。

それにはいろんな理由があって、まず日本は銃社会じゃないので、激しいガンアクションや街中でのドンパチを描くのが非常にやりづらいこと。そして日本映画では現代アクションに自国の文化を反映しづらいこと。香港がカンフー、インドネシアがシラットなら、日本が一番色を出せるのは「刀か忍術」なんですよね。でも今の日本には五右衛門みたいに刀を持参して歩いている人間もいないし、忍者がビルの上を走っているような、たまにハリウッド映画で見かける光景などは現実にあり得ない。つまり邦画の現代劇でそれをやっちゃうと違和感の塊でしかなく、日本独自のアクションとして光るツールは、現代劇に不向きということ。格闘技の空手や柔道は、スクリーン映えという点では他国の格闘技と比べると決め手となる個性が薄いように感じるし。あと、日本映画界にはアクションにお金を出す人が非常に少ないこともある。まあ、これはここ10年あたりでだいぶ変わってきているようにも見えるけどね。

とまあ、偉そうな前置きが長くなっちゃいましたけど、本作『ザ・ファブル』は、近年の邦画現代アクション劇と比べるとちょっと勢いが違う。岡田准一という圧倒的知名度とスキルの両方を満たす逸材を主演に選び、違和感のない範囲でドンパチアクションを描き、大作としての潤沢な予算と豪華なキャストが揃えられ、主題歌にレディー・ガガ、ハリウッド経験もあるスタッフを起用するなど明らかに世界市場を意識した目配り。アクションの見せ方が良いか悪いかはさて置き、ここまで力のこもった邦画現代アクション作品を観ることができたのには驚いた。違和感のないアクション演出と物語の流れというのは邦画のこの手のジャンルでは肝となるし、キャストが豪華なので自然と画面が映えていて、かつストーリー部分も退屈することなく眺めることができる。全体的にコメディタッチの演出が多めなので、観る人を選ばないハードルの低さもウリの一つだと思う。

Jing-Fu
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後述するアクションの見せ方に不満点はあるものの、「日本を代表する現代アクションを作ってやるぜ!」という意気込みと可能性を感じる力作です。

ネタバレ②:凄まじく豪華なキャストたち

岡田くんのギャップコメディにも注目

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

主人公のファブル=アキラを演じた岡田准一岡田くんは普段はクールでイブシ銀な印象が強かったんだけど、本作でのキャラは中々の砕けっぷり。しかもファブルは単にコミカルな役柄というわけではなく、泰然とした態度で寡黙な表情の中、突拍子もないひょうきんな動きをしたりスットンキョーに爆笑したりとギャップがかなり目立つのが笑える。これをやっているのが岡田くんだからまた面白い。クールな佇まいでカンフーパンダのような殴られオーバーリアクション顔を披露するのも含めて、普段のイメージに対して落差が大きいから笑いが倍増しているんだよね〜。

脇を固めるキャストたちも無駄に凄まじく、木村文乃山本美月福士蒼汰柳楽優弥向井理佐藤二朗など、映画やドラマで主演を張ることができるメンツが勢揃い。ちょっとした役所にも、宮川大輔藤森慎吾ら人気芸人を持ってくる徹底ぶり。いずれも確固たる実力を持っているので、数が多い登場人物それぞれに光る個性が注がれている。特に柳楽優弥のキャラへの入り込みと快演技がエゲツなくて、やはり彼こそが将来の日本映画を支えていく存在になっていくんだなと再認識させられました。

Jing-Fu
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あと、山本美月ちゃんはやっぱ可愛かったな〜。実は管理人はハスキーボイスフェチだったりするので、可愛い彼女が天然しゃがれ声で大阪弁を発するとか、萌えポイント意外の何ものでもありませんでした笑

 

ネタバレ③:岡田准一の近接格闘術

技量が見せかけでなく本物であることが分かる岡田くんの動き!

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

岡田くんはジャニーズ、はたまた芸能界きっての格闘技オタクであることは広く周知されている。番宣とかでニュースとかバラエティに出演した際、熱が入りすぎて我を忘れてしまい、アナウンサーや芸能人を絞め技やサブミッションで決めかける光景はよく目にするもの 笑 プライベートではフィリピン武術のカリ、そしてブルース・リー創設のジークンドーのインストラクター資格を持ち、その技術をジャニーズの後輩たちに流布していることからも、彼の熱の入りようが強く伝わってくる。本作の中でも、岡田くん演じるアキラが頭の中で相手の攻撃を分析する描写があって、その説得力の強さはまさに素の岡田くんだった笑

で、やっぱり岡田くんのアクションスキルは凄まじかった。本格的な邦画現代アクション劇として、やっぱり自然とパワーが溢れ出てたんでしょーね。本作の格闘アクションは、派手に映える大きい動きと言うよりかは、至近距離で連撃と決め技を繰り出す近接格闘術がメインになっているのが特徴。どんどん間合いを詰めていって、相手の懐できめ細かに腕を捌く岡田くんの動きがとにかく速い速い。ファブルには「どんな相手も6秒以内に殺す」と言う特技設定があり、劇中では誰も殺せないと言う縛りはあるものの、相手を瞬時に制圧するという戦法の見せ方に筋の通った動きを見せつけていた。『ジョン・ウィック』のガン・フーや『エクスペンダブルズ』スタローンの高速発砲を彷彿とさせる、拳銃×拳のスタイリッシュな立ち回りにも興奮させられる。フィジカル的な凄さは格闘アクションだけでなく、スタントマンもワイヤーを使わずに壁の間を登っていく「壁登り」シーンも非常にダイナミックだった。10メートル以上はあろう高さの壁をあれだけスイスイと上り上げていく姿には、全盛期のジャッキー・チェンの姿が重なるんじゃないだろうか。

本作のファイトコレオグラファー(殺陣の振付師)には、『96時間』『ダニー・ザ・ドッグ』『ボーン・アイデンティティー』などハリウッド映画での経験もあるアラン・フィグラルツが直々に呼ばれている。アランは元々軍人であった経緯があり、本作の岡田くんの動きがエンタメ寄りではなくリアル方向の戦術に見えたのはその影響もあると思う。

ちなみに岡田くんも、アランと並んで本作のファイトコレオグラファーをも担当しているのが驚き。つまり主演を務めながら、アランとともに自分の殺陣の動きを設計・構築しているのだ。

Jing-Fu
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本当にジャッキー・チェンみたいな人だ笑

ネタバレ④:岡田准一であることの意義が薄いアクション設計

そこに最高級の食材があっても、腕を振るう料理人が無能であればいとも簡単に台無しな料理になる。岡田くんというアクションの逸材に恵まれ、彼の動き自体は素晴らしいのは間違いなく、強い意気込みを感じるにも関わらず、その見せ方にいささか不満が残るのも事実。漫画という原作があるため、原作の設定が影響している部分は仕方がないとは言え、そもそもアクション映画としての演出に難がある。岡田くんが主演であるにも関わらず、彼を起用した意義が薄いアクション設計。というか岡田くんに謝った方がいいくらいのレベルだ。

 

・実はアクションが少ない

岡田くんの本格的な殺陣は序盤と終盤にしかなく、中盤はほとんどの割合をドラマが占めている。アクションシーンの中身は濃いけど、その頻度が意外にも少ないため、全編に渡る超絶怒涛のアクションの波を期待していればしているほど肩透かしを喰らうでしょう。120分ず〜っとドンパチやってくれてもバチは当たらんですよ。

 

・殺人ができないアクション

これは原作の設定があるから仕方がないことの一つ。岡田くん演じるファブルは劇中で休息期間に入っており、かつ誰も殺すことを許されていない状態。休息期間に入る直前の冒頭シーンのみ、岡田くんの殺人殺陣を観ることができるが、その後の格闘アクションは殴る蹴る締めるに限定されており、相手の骨を折ったりナイフやサックで相手をオーバーキルする描写はなし。銃撃も相手が傷つかない特殊な銃弾が使用されているため、基本的に相手が死なない。畳み掛ける相手を血祭りに上げていく勇士が似合いそうな、クールな見た目の岡田くんにとってはちょっとマイルドな印象に。やっぱり人がバタバタ死んでこそナンボのアクションなので、岡田くんにはもっと『ザ・レイド』やってほしかった。

 

・岡田くんの衣装

これも原作の設定があるためやむなし。休息期間で身バレ防止のために黒マスクを被って闘うファブル。アクション中は本当に常に黒マスクを被りっぱなしのため、これでは岡田くんである必要性が弱い。いや、管理人が心配するまでもなく、岡田くんの熱量を知っている人であれば彼が全部自分でやっていることは承知の上なんだけど、アクション中に顔が見えないとどうしても「吹き替え」とか「スタントマン」とかいう雑念がよぎってしまう。顔が見えていてこそ、「岡田くんが凄い!」という評価がより高まっただろうにな。あと敵のザコたちが黒いスーツなのに対し、岡田くんも黒マスクに黒い衣装で身を包んでいて、かつステージが薄暗いため、周囲に色が埋もれてしまっていて視覚的にも追いづらいのが残念。

 

・カット割の速さ

アクション中にカメラが切り替わるカット割が速いシーンが多く、せっかくの岡田くんの動きを流麗に捉えられない。前述の衣装の暗さと彼の動きが激しい分、もう少し観やすくこだわったカメラワークにしてほしかった。カメラの切り替わりが「速い」のと「スタイリッシュ」なのとは意味が違うよ?

 

・壁登りシーンの不満

本作を象徴するスタントアクションシーン。公開当時はニュース番組やバラエティで番宣がある度、「このシーンがスゴイ!」と紹介もされていたくらい。・・・にも関わらず、壁登りの途中でカットが一場面だけ変わってしまう。何やってんだよコレ。明らかに岡田くんがワンカットで壁を登っているのに、途中で1カメの映像の2カメに変えてしまう致命傷。こここそ、岡田くんの身体能力をフルで活かせる、ワンカットで撮るべきベストショットでしょうが〜!!

 

・岡田准一VS福士蒼汰を淡白にした罪

役所が奇抜なのにフェードアウトが呆気ない福士蒼汰

(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会

ジークンドーインストラクターの資格を持つ岡田くんに憧れ、岡田くん経由で自身もジークンドーを嗜む道を歩んでいる福士蒼汰。いわゆるジークンドー師弟の対戦カードが本作で実現するとのことで、果たしてどれだけ超絶な殴り合いを観ることができるのかと相当期待していた。『図書館戦争』でも共演済みの2人だけど、敵として対峙するのは初めてのことで、ハードルを上げるなと言う方が無理な話だ。

しかし! いざ2人の対決が始まると、至近距離での銃撃戦をちょこっとやっただけですぐに終わり!! これはアカンでしょうよ。日本中の老若男女が期待していたドリームマッチを、あそこまで薄味に仕上げて賄い料理のようにササっと終わらせてしまった本作の罪は大きい。このシーンが本格的な立ち回りと殴り合いで構成されていれば世紀の名シーンとして語り継がれただろうに・・・。

Jing-Fu
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アクションに対する意気込みは確かに伝わってくる。岡田くんが主演の現代アクションということで、日本の『ザ・レイド』になっていることを期待していたけど、演出の悪さが目立つため、決して首を縦に触れないのが実に惜しい。

 

■鑑定結果

 

Jing-Fu
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エンタメ作品として手堅い面白さと華やかさがあるものの、アクション好きとしては至る部分の粗がどうしても気になってしまう。続編ではもっと上手に岡田くんを料理してほしいものだ。

 

鑑定結果:プラチナ映画(☆6)

 

 

■映画『ザ・ファブル』はどんな人におすすめ?

 

・岡田准一の現代アクション劇を観たい人

・コメディ・アクションが好きな人

・豪華なキャストたちの演技を堪能したい人

 

■最後に

続編についても鑑定しています☆

『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』

 

 

それでは今回の鑑定はここまで。

またお会いしましょう!

 

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