みなさんこんにちは! 管理人のJing-Fuです。
今回鑑定をするのは『プロジェクトV』です。
アジアのレジェンドアクションスターであるジャッキー・チェン主演の最新作が公開されました!
ロンドン、アフリカ、ドバイなど、世界中を巡るスケールの大きいアクションが見もの!
そんな『プロジェクトV』のネタバレを明かしながら、感想と考察を鑑定していきますね。
過去のジャッキーアクションへのオマージュネタが盛りだくさん!?
目次
■『プロジェクトV』のあらすじと基本情報
まずは予告編をどうぞ☆
■あらすじ
国際特殊防衛部隊「ヴァンガード」の創設者であり、現最高司令官を務めるトン・ウンテン(ジャッキー・チェン)の元に、ヴァンガードの顧客であるチョン(ジャクソン・ルー)から一つの依頼が入る。とある事情で中東のテロリストから命を狙われてヴァンガードに保護されたチョンは、アフリカにいる娘のファリダ(シュ・ルオハン)も守ってほしいと願い出たのだ。トンはヴァンガードの仲間を引き連れ、早速アフリカに向かうのだが・・・。
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
■原題:急先鋒 Vanguard
■発掘国/制作年:2020年
■上映時間:107分
■キャッチコピー:
■監督:スタンリー・トン
■主要キャスト
トン・ウンテン:ジャッキー・チェン
ロイ:ヤン・ヤン
ホイシュン:アレン
ミヤ:ムチミヤ
ファリダ:シュ・ルオハン
チョン:ジャクソン・ルー
■『プロジェクトV』のネタバレ感想と考察
それでは鑑定していきましょう!
ネタバレ①:世界規模のエンタメアクション作品
ジャッキーが演じるのは、国際特殊防衛部隊のボス!
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
本作の監督であるスタンリー・トン。『ポリス・ストーリー3』から始まり、『レッド・ブロンクス』、『ファイナル・プロジェクト』、『THE MYTH/神話』、『カンフー・ヨガ』と、実はこれまでに何度もジャッキーとタッグを組んでいる人物なんです。90年代以降、ジャッキーは馬の合う監督とは複数回仕事を共にする傾向があるので、トン監督はジャッキーからラブコールを受ける盟友の1人なのだ。『レッド・ブロンクス』がジャッキーのハリウッド進出の足がけとなった作品であることも踏まえると、ジャッキーのキャリアにおいていかにターニングポイントとなった人物であるかが窺えるね。
トン監督はジャッキーと同じで元々スタントマンとしてキャリアをスタートさせた経歴があるので、アクション映画作りでは互いに深い以心伝心ができているんだろうな〜。
前置きが長くなったけど、トン監督のそれまでの作品を見ていれば分かる通り、彼は他の香港人よりも「ハリウッド映画のようなスケールの大きいエンタメアクション」作品を撮ることに定評がある。そして本作も例外ではなく、格闘アクション、ガンアクション、乗り物チェイス、スタント、銃火器に爆発などといった多種多様なレパートリーのアクションが集約。そしてロンドン、アフリカ、ドバイなどといった世界を駆け巡る気宇広大な物語と、トン監督お得意の十八番が揃い、派手で爽快、リラックスして観るにはうってつけのTHE・エンタメアクションに仕上がっていた。アクションの観点から見ると、同系色の作風である『ライジング・ドラゴン』や『カンフー・ヨガ』よりもダントツに楽しいものばかり。とにかくアクション中のテンポとキレが抜群に良く、臨場感溢れるカメラワークも支えとなっていて見応えがあるし、『ワイルド・スピード』みたいな序盤から導入するオープニングロールなんか、最高にクールでテンション上がるよ。
ストーリーは可もなく不可もなくというか、あんまり気にしなくても良いかな。ツッコミどころも多く粗が目立つのも事実だけど、意外にもコメディ要素は味付け程度で全体的にシリアスなこともあってか、近作のジャッキー同系色作品の中では比較的観やすい方になってるんじゃないだろうか。少なくとも『ライジングドラゴン』のポンコツ脚本よりはマシ。主要キャラがわちゃわちゃコメディをしなかったのはある意味大きいかも。ご存知の通り、日本人と香港人のコメディセンスは似通っているものの、中国大陸と日本人のコメディは絶望的に波長が合わないので、サブいくだりでテンポが狂わないのは良かった。
『レイルロードタイガー』とか極限にトリハダが立ったからね。
あと、本作は世界規模のストーリーと米軍が絡んでくることもあり、あんまり娯楽作品の中では意識をしたくない政治色も濃いめだった。昨今の米中関係が程よく作中に反映されているのが、いかにも中国大陸映画らしいスタイルだな〜と思ったけど、政治と文化は別物がモットーの管理人、詳しいことは割愛します。その中でも一つ、「キャプテン・アメリカよりもキャプテン・チャイナ(そんなキャラいない)の方が強いよね〜」というセリフだけは、あからさますぎだろ!って1人で突っ込んでたかな 笑
ネタバレ②:若手の活躍
ヨガ女王のムチミヤによる華麗なアクションにも注目!
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
『ライジングドラゴン』以降のジャッキー主演の中国資本映画って、5~6人の若手俳優が出演し、ジャッキープレゼンツな世界への羽ばたきの恩恵を受けている印象が強い。後輩育成を念頭におくジャッキーの気持ちは分からんでもないが、はっきり言って登場人物が多すぎてまとめきれておらず、話がとっ散らかっているイメージしかなかった。これらの機会で世界的に注目されたのってジャン・ランシンかムチミヤくらいしか思い浮かばないので、申し訳ないが素直に言って蛇足・見せ方が下手な演出だな〜と思ってた。本作でも後輩立ては顕著だったけど、近作よりもキャラは比較的コンパクトにまとめられており、前述の通りさぶいコメディ要素も少なめで、あくまでも見せ場はアクションシーンに重点が置かれている。見せ場を誰が観ても楽しいアクションに徹底させたのは、単純明快で分かりやすくてよろしい。
若手メンバーの中でも特に活躍が目覚ましかったのは、ロイ役のヤン・ヤンとミヤ役のムチミヤの2人。ヤン・ヤンは女性受けしそうな清楚系のイケメンで、見栄えの良い長い肢体から繰り出す総合格闘技ベースの技や体を張ったスタントが光る。一方のムチミヤは『カンフー・ヨガ』に続いてジャッキーと共演する「歴代ジャッキーガールズ」の1人で、前作以上に体を張ったアクションに挑んでいるのが素晴らしい。彼女は、その界隈では中国のみならず世界中から注目を集めるモノホンのヨガインストラクターのため、水のような体の柔軟性を併せた立ち回りが最大のセールスポイント。しなやかな体つきで相手を巻き取る制圧術、テコンドー仕込みの強力な蹴り技、歴代のジャッキーガールズの中でも一二を争うほどのかっこよさだった。
というか、こんなに美人でナイスバディなインストラクターにヨガを教えてもらっても集中できるわけが・・・笑
ちなみに、悪役となる傭兵組織「北極狼」のリーダー、ブロトを演じたのはブラヒム・チャプというフランス出身のアクション俳優兼スタントマン。これまでにもジャッキーとは『ポリス・ストーリー REBORN』や『ドラゴンブレイド』でも共演していたり、『スーパーティーチャー 熱血格闘』でドニーさんにストンプされて小便溜まりに顔を突っ込んでいたり、『デッドロック 絶対王者ボイカ』でスコット・アドキンスと回転が凄まじいバトルを繰り広げていたりと、この界隈では最近ちょこちょこ見かける顔の1人だ。本作ではジャッキーと拳を交えることはないものの、ヤン・ヤンとの手に汗握るバトルもあって役柄は大きかった。
ネタバレ③:ジャッキー・チェンの立ち位置
ジャッキーがライオンと戯れるのは3回目。
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
事前情報で何となく分かっていたけど、ジャッキーは主演のポジションを担うものの、彼の登場頻度とアクションは思っていたほど長くはない。近年のジャッキー主演作の中では、画面への滞在時間が最も短いのは間違いない。その最たる背景は、前述した通り若手俳優たちの活躍シーンが目立つことが繋がる。ちゃんと決めるところは決めてくれるジャッキーだが、ストーリー進行とアクションの中心は若手俳優たちが引き受けていた。ジャッキーはヴァンガードのボスとして且つ現実世界のレジェンド大先輩として、彼らのバックを隙間なく固めて見守っているという感じだ。ジャッキー主軸のアクションに期待をしすぎているとちょっと肩透かしを喰らう危険性はあるが、これはこれでジャッキーなりの後輩育成メソッドの集大成であるとして、快く受け入れたいと思う。ジャッキーの滞在時間が少ないからといって、本作のアクションがつまらないなんてことは微塵もなかったのでOK! むしろジャッキー節のアクションは、劇中で過去作以上に後輩たちに託されていたのが印象深かった。
出番は多くないながらも、ちゃーんとファンが期待しているようなジャッキーアクションを拝むことができたのも嬉しいポイントだ。拳銃やライフルを単に扱うだけでなく、立ち回りの中にそれらを格闘アイテムとして組み込み、鮮やかでかっこいい動きをクスッとした笑いと痛がる仕草で彩るのは、まさに老舗のジャッキースタイルアクション。撮影当時65歳の動きではないので、本当にこの人のアクション精神には頭が下がる。単純にライフルで相手を撃ち抜いて応戦するというガンアクションも、ジャッキーだからこそ珍しく見えた。ちなみに何度も「出番は多くない」と書いてるけど、それはあくまでも過去作と比較しての感想であり、作品として見れば普通に適度な登場頻度になっていると思う。仮にも「主役」だしね。
そもそも国際特殊防衛部隊の創設者でありボスという役柄が、ここにきて珍しく映る新境地だった。
ネタバレ④:また死にかけたジャッキー
ジャッキーと川の相性は悪い?
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
本作で最も湧いたジャッキーのアクションは、アフリカの急流を下る水上バイクチェイスだった。実際の川で撮影をしていることもあり、ヴァンガードメンバーと敵グループが繰り広げる水陸両用車と水上バイクの激しいデッドヒートと、その上で繰り広げられる危険な格闘と跳躍、そして滝を目前にした落下ギリギリのドリフトなど、抜群にスリリングなアクションシーンに仕上がっていました。
ジャッキー自身もかなり体を張っていて、水上バイクに飛び乗って自ら操縦をこなす姿が眩しい。毎度死と隣り合わせのデススタントが珍しくないジャッキー、実はこの急流スタントでまたも死にかけたんだとか。川の撮影で溺れ死にかけたのは直近の『スキップトレース』が記憶に新しいけど、本作ではその一部始終をエンドロール中のNG集で克明に観ることができる。ジャッキーの操る水上バイクが横転、彼と後ろに乗っていたムチミヤが川に投げ出される。ムチミヤはすぐに浮かんだのに、ジャッキーの姿が見えずに周りのスタッフが素でテンパりまくっているのでかなりの緊張感が伝わってくる。この時、ジャッキーは水中で水上バイクの下敷きになって身動きが取れなくなっていたらしい! 怖え!! その後に助け出されたジャッキーが映るんだけど、「もがいても浮かべなかったんだよ!! マジで!!」と、かなりの興奮状態での受け答えになっていて、彼の全身にアドレナリンが巡っていることが一目瞭然だった。
生の音声入りでの死を回避した直後の興奮ジャッキーは、痛々しい怪我をしたジャッキーよりも遥かに生々しく映っていて結構ショッキングだったなぁ。
ネタバレ⑤:過去ジャッキー作品へのセルフオマージュポイント
物語やアクションの随所に、過去のジャッキーのアクションや映画をオマージュしたと思われるネタが用意されていて、ジャッキーファンとしては思わずニンマリしてしまいましたね。日本公開にあたって「ジャッキー映画の集大成」と謳われている本作だけど、そういう意味では確かに集大成と呼んでもおかしくはないかも。
以下、管理人が気づいた過去作のオマージュポイントです☆
①唐辛子をすり潰して相手の顔面に塗りつける。
→『プロジェクトA2 史上最大の作戦』のラストの格闘シーン。
②トゲトゲドリアンフルーツを投げて痛がる。
→『奇蹟/ミラクル』中盤の格闘シーン。
③アツアツ油に相手の手を突っ込ませる。
→『新ポリスストーリー』のラストの格闘シーン。
④ライオンやハイエナと戯れる
→『カンフーヨガ』
⑤白人社会の市街地でのお祭り、獅子舞とドラゴンのパレード
→『ファイナル・プロジェクト』
⑥ドバイでの公道カーチェイス
→『カンフーヨガ』
⑦停止車両群に装甲車が突っ込み、横断歩道の車椅子の男性が慌てて走り出す
→『レッド・ブロンクス』のラスト、ホバークラフトが市街地を暴走するシーン。
⑧水槽の中で血を流し、サメが群がってくる。
→『ファイナル・プロジェクト』
この内④〜⑧は同じスタンリー・トン監督作品からの流用であり、ジャッキーだけでなくトン監督のセルフオマージュも併せていることが分かる。⑦は特に細かいシーンの再現で、気づくことができて感心したな〜。おまけに本作でヴァンガードの顧客で彼らに仕事を依頼することになるチョンを演じた、一見するとヤン・スエのような強面だがよく見ると愛嬌もあるジャクソン・ルーは、『ファイナル・プロジェクト』に主要キャラとして出演していた俳優。つまりジャッキーとトン監督とは24年ぶりの仕事に呼ばれたことになる、『ファイナル・プロジェクト』同窓会でもあるのだ。
もっとオマージュポイントがあるかもしれないので、これらを探してニヤニヤするのがジャッキーファンならではの楽しみ方になってました!
■鑑定結果
肩の力を抜いて気軽に楽しむことができるポップコーンムービーであり、さすがはエンタメジャンルのプロであるジャッキーとトン監督のタッグ。こんな社会的状況だからこそ、多くの人に劇場で堪能してもらい、もっと日本に元気を与えてほしいです。
■映画『プロジェクトV』はどんな人におすすめ?
・ジャッキー・チェンの新作が観たい人
・ポップコーン片手に楽しめるエンタメアクションを堪能したい人
・過去のジャッキー作品のセルフオマージュを観たい人
■最後に
ジャッキー・チェンの他の主演作も鑑定しています☆
・『酔拳』
それでは今回の鑑定はここまで。
またお会いしましょう!
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